2010年4月9日金曜日

私のなかの「ユダヤ人」

氷は融け始めると、徐々に融けるペースが加速していきます。秋の日の釣瓶(つるべ)落としの如きその様子は、氷の「表面積÷体積」という比率がどんどん大きくなっていくからです。いまの自民党の状況を「融解が始まった」と譬える多くの諸先輩に、今週出会うことが出来ました。

かつてこのブログで取り上げた中曽根康弘氏を筆頭に、現在「立ち上がれ日本」を立ち上げようとしているメンバーのひとりも含め、これまで自民党の要職にあった多くの政治家が、「日本は単一民族国家だから、云々」という失言を、驚くほど性懲りもなく、繰り返してきました。

保守主義というものは、往々にして、市場原理主義だけでは満足せず、伝統や宗教、民族の矜持という要素が漏れなく付随してくるので、仕方の無いことだったのかも知れません。問題は、「日本は単一民族国家だから、云々・・・」の「云々」の部分です。それらの失言の多くは、やれ、だから「教育水準が高い」だの「文化水準が高い」だの「知的水準が高い」だの、挙句の果てには「世界に冠たる国力を持つことができた」などと、昭和の価値観というアナクロニズムに酔い痴れたものが殆どなのです。

少数民族の融和を進めるべきかどうか、とか、言語の統一を徹底すべきかどうか、については一長一短があります。それを措くとしても、失われた20年を経ての今日の日本は、自民党の古臭い政治家の多くが安住、虚栄してきた「単一民族国家」もどきの負の部分のほうが噴出してしまっていると認識すべきではないでしょうか。

勿論、子ども手当がベストの政策であると申し上げているわけではありませんので、念の為。

このようなことを考えさせられたきっかけのひとつが、冒頭、「自民党の融解が始まった」と口々に説明をされた、現役の政治家の先生や高級官僚や経営者諸先輩の本音トークでした。これから先の日本に対する徹底的な悲観論で満場一致となったものの、何故か却って意気軒昂とならなかったのは、「政治家としては自分に嘘をついてでもポピュリズムに迎合しないと選挙に勝てない」一方、「官僚としては自分に嘘をついてでもイエスマンを続けないと偉くなれない」。。。つまり政治も行政も、判っていながら、日本を変えられない、悪い方向にどんどん行っているのを抑止するどころか傍観、放置しているという現状でありメカニズムであるということです。

そして、もうひとつのきっかけは、ワイナリーツアーに御参加いただいた中で、ユダヤ系ポーランド人の御両親のもとに生まれたフランス国籍で日本在住のルティさんとの出会いです。

過去の自民党幹部の問題発言を批判しつつも、「単一民族国家」という表現が、一定の程度においては当て嵌まる日本の微温湯(ぬるまゆ)では想像も出来ない「ユダヤ人とは何か?」「国籍とは何か?」「シオニズム」「戒律」等々の問題と真剣に取り組まなければならなかった女性の半生の実録を、今週一気に読了しました。

「私のなかの『ユダヤ人』」

行政の故意なのか過失なのか判らない理由で、長い間、無国籍状態を強いられた逸話に始まる同書は、御両親がどのようにして辛うじてナチスを逃れたか、そして「ユダヤ人の正史」から削除されている本当の起源に纏わる話など、コンパクトながら意味深長な内容が満載ですが、私を最も魅了した箇所は、イスラエルで生まれフランスで育った彼女が、どのようにして執筆当時彼女の夫であった広河隆一さんとの出会ったのかという部分です。シオニズムの実像と併せ、広河隆一さんのような日本男児、、、、草食系が跋扈する(若者だけでなく、既述のとおり、政界や官界も!)なかで、本物の肉食系に出会えた気がしました。

最後に、宣伝。体を張ってパレスチナ問題やチェルノブイリ問題などを追い掛け続ける広河隆一さんの 写真展4/21(水)~23(金)、文京シビック1階で行われます。そして、翌4/24(土)13:30~わたくしも登場する「チェルノブイリ24周年救援キャンペーン 最新現地報告&チャリティコンサート」です。
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2010年4月1日木曜日

エイプリルフールではありません【PR】

あの、フェニックス証券が!?と思われる方も少なくないかも知れませんが、フェニックス証券の店頭外国為替証拠金(店頭FX)取引「フォレックス・ライン」は、本日よりドル円のスプレッドを0.9銭~と致しました。

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2010年3月30日火曜日

桜、、、桜、、、


地元駒込の大名庭園「六義園(りくぎえん)」の名物は、同地発祥のソメイヨシノよりもむしろ、そのちょっとまえに満開を迎える筈のしだれ桜です(写真右)。
一方、フェニックス証券のすぐそばの「日本橋さくら通り」の名物は、ソメイヨシノです(写真左)。クローンで株を増やすことで、同一箇所(同一気候)の桜の開花時期を一緒にさせていることがこの改良品種の特徴ですが、東西に細長く延びる「日本橋さくら通り」は、北側歩道上の木々のほうが日当たりが良いので、南側よりも明らかに開花が進んでいます。本日で6~7分咲きくらいでしょうか。
夜桜見物の皆さま、どうか風邪など召されませぬよう。
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2010年3月26日金曜日

中国の不動産バブル

中国政府が再びバブル対抗策を出したものの、効果は期待できず、焼け石に水との記事(3/26【金】財新網)。
http://www.caing.com/2010-03-24/100129169.html
フェニックス証券の優秀な働き者が以下の通り翻訳してくれました。「悪貨は良貨を駆逐する」シリーズに続けてお読みください。 ギリシャやポーランドはおろか、ドイツからも「国債を買って下さい」と財務次官クラスが日参する(3/24【水】英FT紙)
http://www.ft.com/cms/s/0/e344b88a-376d-11df-9176-00144feabdc0.html
「双子の黒字」国家(?)中国の実像が垣間見られます。世界経済が、中国を決して例外としない形で、借金貨幣の膨張合戦というそソブリンリスクのポーカーゲームに突入していると考えると空恐ろしいことであります。

中国中央政府は新たな不動産価格抑制策を打ち出した。
☆初回住宅購入者へは優遇金利を(むしろ)引下げ
いっぽう、
★2軒目の頭金は40%へ、3軒目は60%へ引上げ
かつ、
★住宅ローン利率は銀行側自ら 引き上げられる
ようにしたという。

この一連の策の下で、不動産市場の売買高は下落したものの、不動産業者等は意外にも慌てていない様子が見受けられている。というのは、過去を振り返ると、類似する「引き締め策」が幾つかあったが、何れも市場がやや冷やされた直後に再び金融緩和策等で過熱状態を繰り返させたからである。

原因は地方及び中央政府の不動産関連収入の大幅減少という。

<中略>

住宅、商業用不動産及び地方政府が銀行に差し入れた抵当物件の合計金額は中国GDPの3倍以上
にのぼる。こんにちの資産バブルは継続し続けるだろう。銀行の流動資金が豊富である理由の一つが、中国国内に流入したホットマネーだ。

<中略>
現代社会の安定は健全のミドルクラスが存在するか否かが鍵になる。高地価政策は事実上ミドルクラスへの課税に過ぎず、大富豪以外は不動産を購入できずの現状は長期的な社会安定に害を及ぼす恐れがある。

合理的な不動産政策の前提条件は財政収入改革にある。固定資産を主な投資対象とする政府支出
は制限すべき。去年、政府財政収入、中央及び地方政府の借款、国有企業支出、 これら三者の合計は中国GDPの半分以上を越えているのだ。政府支出の削減は喫緊の課題であろう。

<中略>

政府部門の高速成長(過度な膨張)はミドルクラスにとっては(インフレ期待を通じた)利殖への妄想を刺激している。不動産バブルに注ぐエネルギーが、そう簡単には潰えない理由がそこにある。信頼可能な財政改革なくして、不動産バブル抑制は実現しない。
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