2021年2月17日水曜日

中国共産党の権力闘争に翻弄されたアリババの実像

大河ドラマと半沢直樹の使用上の注意

わたくしのアヴァトレード・ジャパン勤務も、今月で丸8年となってしまいました。これまでのところ、日本証券業協会の壁も厚く、また昨年10月、ちょうどわたくしの誕生日に暗号資産デリバティブ業務からは撤退をしたので、正真正銘、法定通貨関連店頭デリバティブ(早い話がFX)専業となっております。

その割には、法定通貨と関係のない、ビットコインやリップルなどお騒がせ気味の暗号資産貴金属や原油などのコモディティ、株式、はたまた政治・経済・歴史と、役に立たないブログ感がいよよ満載となっております。

以上は、ビットコイン50,000ドル突破の話の前置きというわけでもありません。


今週注目したニュースをふたつご紹介したいと思います。

ひとつは、

アリババ創業者ジャック・マ氏の裏には、上海市場への上場時に必要な「目論見書」のうえでは不鮮明な影の大株主が実は存在。それら影響力のあるステークホルダーのなかには、習近平国家主席の(元)ライバルもいる

もうひとつは、

フェースブックとアップルの鍔(つば)迫り合い

いずれもウォールストリートジャーナルの記事で、前者はスクープっぽいですが、後者はそうでもありません。

ご紹介したいと思ったのは、共通点として、テクノロジー関連のニュースなのですが、いずれも、米中のテクノロジー覇権争いという、聞き慣れた「枠組み」で、取材・記述されたものではないこと。慣れ親しんだ工業社会を情報処理技術の発展が変容させてきた過去・現在・未来を展望するうえで、有効な視座を与えてくれること。この二つが理由です。

まったく話が飛んでしまうようですが、、、わたくしはテレビドラマというのを余り見ないほうです。決して、忌み嫌っているわけでもないですが、ノンフィクション志向ゆえかも知れません。それでも、前回日本とミャンマーは紙一重でご紹介した松ちゃんこと松村邦洋さんのように、ただ観るだけでなく、背景を別途独学し、出演者の芸能歴まで徹底して学習するという態度があれば、見えてくるものも異なってきます。

しかし、注意すべきは、、、

ノンフィクション(だとわたくしたちが考えたい現実)とドラマ(が描きたい理想なる虚構)の違いは、ドラマには善人と悪人が登場することです。ノンフィクションには悪人しか登場しません(主役級に限っての話です)。

「勧善懲悪に仕立てなければ視聴率は稼げない」とまでは言い切らないものの、正義と非道を対立させないことには、平均的なリテラシーのオーディエンスにはなかなかあらすじを理解してもらえないという現実はあるのだと思います。

ただ、質(たち)がわるいことに、このような高視聴率ドラマで飼い馴らされた思考回路は、現実の歴史や政治の登場人物を、正義の側か否かという二項対立に直結してしまうことです。

トランプ、バイデン、習近平、プーチン、菅義偉、森喜朗、小池百合子(敬称略)、、、どうでしょうか???

これはポピュリズムやプロパガンダの原点であって、古今東西、ありとあらゆる政治権力とマスメディア(4th Estate)が(しばしば結託して)利用してきた枠組みです。古代ギリシャの僭主政治や議会制民主主義から独裁を勝ち得たナチスドイツなど枚挙に暇はありません。

しかし、

時期的に言うと、

①米国でトランプ政権が出現した前夜、

②アフリカ・中東からヨーロッパにかけてはアラブの春とその不時着地シリアからの難民問題激化(イスラミック・ステート問題)、とくに、

③ヨーロッパ各国での極右勢力の台頭、

④中国のほんとうの大躍進(一帯一路によるヨーロッパ・アフリカへの取り込み、米中対立激化)

このころから、「米国と中国とはたしてどっちが(より一層)悪玉か?」「さて、ロシアは?」「イランや北朝鮮は論外なのか?」みたいな、雑過ぎる議論が罷り通るようになってきたのではないでしょうか???

習近平は現代中国の源頼朝か?金正恩も?

温故知新のために、こんな雑なカタチから入るのもアリかも知れませんが、そこでとどまってしまっては、見えるものも見えません。

ビットコイン50,000ドル突破にしたって、世界の一握りのお金持ちヤクザの陰謀だと片づけてしまったら楽ですが、たとえ一握りだったとしても、お金持ちヤクザ間で抗争がないはずはないのです。どんな相場にも、買い方と売り方の熾烈な綱引きがあって、その一瞬の結果として最新約定価格があるだけのことです。

アリババ(≒ジャック・マ?)の話にもどりましょう。わたくしもこの記事に目を通すまでは、アントフィナンシャルの株式公開延期(とそれに伴い?ジャック・マさんが表舞台から姿を消した問題)は、アントグループがもたらす金融・資金決済の技術革新が、国営銀行による旧態依然としたシステムや既得権を脅かすこと、技術革新(による新たな超過利潤減)は国家権力が主導し独占すべき公共財であるという(共産主義に限らない)「理念」から来ているものと思っていました。ゆえに、アントフィナンシャルVSデジタル人民元という構図です。

実際のところ、アントフィナンシャルがやろうとしていることは、決して中華思想に特有の「反米のプラットフォーマー志向」(この点、ファーウエイはどうでしょう???)なのだと思い込まないほうが良いのだと思います。このような技術が、例えば、イスラエルや、米国のシリコンバレーから出てきてもまったく不思議ではないこと。実際、日本の銀行決済やクレジットカード決済は、アントフィナンシャルのそれに比べて周回遅れであることを思い知らされます。

そこに来て、アントグループ株式公開延期が、習近平に蹴落とされ続けてきた中国共産党のなかのライバルのなかで最後までしつこく踏みとどまっていたアリババの影のスポンサーの振るい落としであると読み解く記事がでてきたわけです。

えっ?さっき、大河ドラマ脳になってはいけないと言っていたばかりではないか?習近平がやっていることは、いまはじまったばかりのその次の、NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」みたいな話ではないのか?と突っ込まれそうです。そう突っ込まれても、まだあらすじもわかりませんので反論しようもないですが。。。

では、続いて、フェイスブックとアップルの対立について。こちらも、この記事によって、ざっとリーマンショック前夜あたりから、iPhoneが登場し、対してGoogleのandroidも登場し、そのころからアップルとGoogleは熾烈な競争をしていたが、途中で、両者は、中国に譬えると(わたくしの勝手な解釈です)国共合作みたいな構図になって、フェイスブックへと(とりわけアップルは)矛先を向けた。その論点は、

①個人情報の監視と取得、それを悪用~濫用しての、

②広告出稿や世論を操作するだけでなく、

③国政選挙にも関与するようになる(ケンブリッジ・アナリティカ事件)

この点、②③はフェイスブックグループ独自の極端な問題も考えられますが、注目したのは①についてです。これは、今世紀最大級の内部告発者エドワード・スノーデンによれば、米国の大手IT企業、インターネットメディア企業は、巧みなマネーロンダリング操作(※)を経由して得た、NSA(CIAと一体ではないが)からの巨額報酬の対価として、個人情報を共有させている(情報機関に売り渡している)。GAFAはその最たるもの、ということなのです。

この記事自体は、どちらかというと、アップル寄り(他のWSJの記事で、アップルとGoogleの癒着を追求したものもあり)である点は留意すべきですが、アップルの現在のCEOであるティム・クック氏は、この①の点について、アップルは潔白である。それに対してFacebookは滅茶苦茶である。よって、アップルとしては、iPhoneなどでのFacebookのアプリに制限を掛けることは正当である、と繰り返していることが書かれています。マイク・ザッカーバーグ氏の反論や怒りも書かれてはいます。


※マネーロンダリングが米CIAの自家薬籠中のモノであることは、先日のブログでご紹介した児玉誉士夫 巨魁の昭和史(有馬哲夫著)につまびらかに描かれています。


で、結論はいったい何なの?という話ですが。。

結論がないのが結論です。結論を急ごうという思考回路のなかに、右が正しい、左が間違いみたいな短絡を招く病理があります。アリババ対習近平の逸話と、フェイスブック対アップルの逸話は、この病理を癒す冷湿布かと思い、紹介しました。予想どおり、前者にはソフトバンクの孫正義さん、後者にはエドワード・スノーデン氏が、登場しています。

(本日は、敬称が略されたりされなかったり、社名がカタカナだったりアルファベットだったり、一貫性がありません。ご容赦ください。)

2021年2月4日木曜日

日本とミャンマーは紙一重

いきなりですが、、、と来れば、、、ウチのオカンがどうしても思い出せない何何、、、というのが試行錯誤を経て確立された、2019年М-1グランプリのミルクボーイのテンプレートでしたね。

いきなりですが、漫才の話を進めると、

漫才には、時事漫才という分野があります。この分野では、爆笑問題さんとナイツさんが、両雄です。スポーツ、芸能、などなど、昨今も、いじるべき時事問題に事欠かなくなってきました。漫才でいじりづらいのが、ほんとうの時事問題でしょう。スポーツ、芸能、はたまた有名女子アナウンサーの旦那の不倫は措くとして、ビットコインや、リップルなどの暗号資産もびっくりするような、米国株ゲームストップの乱高下。学べば学ぶほど、株式投資は、大口投資家が、さらには投資銀行が、より儲かりやすいような構造になっていて、個人零細投資家は、それらの掌のうえで踊らされているだけだと、諦める。。。けど、その射幸性ゆえに、やっぱり諦められない。。。そういうスーダラ節みたいな常識が蔓延していたところ、

SNSを通じて、ネット投資家の集団が、往年の仕手筋顔負けの革命劇を演じたのです!

NHK「ダーウィンが来た」に譬えると、天敵のスズメバチに巣を襲われたミツバチが体の大きなその敵を囲んで体温を集中して蒸し風呂状態にしてスズメバチを殺すようなものです。

もうちょっと難しい話をすると、古細菌と同レベルで進化から最も取り残された「生物」とも言えなくはないウィルスが、周期的ではあるが、進化の頂点にいると勝手に自覚している人類を襲うことがあるのとも似ています。


経済・マネーの分野とともに、漫才のネタにしづらい(???)のが、国際・政治でしょうか???

ミャンマーの軍事クーデターも、実は謎めいています。どちらかというと左よりのニューヨーク・タイムズの記事(記者)も、「当然にアウンサンスーチー女史を擁護する」という論調一辺倒かと思いきやさにあらず。実は、彼女は軍事政権以上に独裁的だったのだとか、軍事政権から「民主」政権への移行はどこの国でも簡単ではない。「民主」側が、軍事政権の既得権益をはく奪するのを急ぎ過ぎてはいけない。南アもチリもそれでどうにかうまく行った。アウンサンスーチー女史は、徹底的に、だが拙速にやってしまったので、軍事政権側にも身内(の民主政党側)にも敵を作りすぎたという記事もあります。

このあいだ話題にしたワシントン国会議事堂襲撃事件と同様、もうちょっと慎重に研究したいところ。

真実はまだ謎です。

そして、日本は、まさか、米国やミャンマーみたいにはならないだろうと、肌感覚で思っているひとが多いと思うのですが、戦後の日本も、ミャンマーみたいになるか、北朝鮮みたいになるか、または戦前の日本みたいになるか、思いのほか微妙な、薄氷を踏む歴史を辿っていたことがわかります。

政治は時事ネタにしづらい、、、と書きましたが、東京オリンピックがらみでの、森喜朗さんの失言は、いじりやすそうですし、ロッキード事件で、田中角栄(前)首相が逮捕されたときは、コロンビアトップさんがネタにしていたのをいまでも記憶しています(自身も政治家)。

しかし、ロッキード事件は、金権政治=悪玉、クリーンな政治=善玉、というバイナリーな価値観で片づけられるほど単純なものではないようです。

ロッキード社は、60年安保闘争においても重要なプレーヤーです。戦闘機・哨戒機を日本にどれだけ買わせるかという点で、ロッキード社とダグラス・グラマン社が争っていたのでした。ロッキード事件は、ニクソン大統領の時代です。米国はベトナム敗戦の処理で、巨額の貿易赤字に苛まれていて、これがニクソンショックに繋がり、1ドル=360円という固定相場から離脱となったのです。60年安保改定前夜と異なり、自国の航空機開発技術を高めてきていた日本にとって、ロッキード社の戦闘機・哨戒機さらに民間機は、押し売りでしかありませんでした。

ここで、注目したいのは、事件当事者とされる田中角栄氏、中曾根康弘氏も、そして児玉誉士夫氏も、ホンネは、憲法も防衛力も自前が良いという信念を持っていた、、、という確かな証拠があるということです。

ロッキード事件は、ニクソン大統領自身が、CIAを使って民主党本部の盗聴をしたというウォーターゲート事件の発覚(による民主党の加勢)、日中国交正常化を実現したかった田中角栄首相への米国からの圧力などの複雑な要素が、3氏の政治的野望に絡んでいたと考えるべきです。

サンフランシスコ講和条約で戦後日本は独立したというのは形式論に過ぎず、もっと本質的な、つまり理想は、米軍の基地が日本から撤去されるような独立だ、、、という思いを、3氏は共有していて、児玉誉士夫氏が、CIAと、自主独立派保守政治家とのあいだの二重スパイだったのは、現実と理想の狭間(先立つものはカネ)で、清濁併せ吞む姿勢に由来すると考えると、見通しがよくなります。

米軍出ていけ」なんて言うと、日本共産党みたいじゃないですか!?

わたくしは、高校時代から、極左と極右は近親憎悪だと考えておりましたが。。

米英による占領下(ソ連がはいってなくてほんとうによかったとは思います)、武装解除を半永久に求める憲法を押し付けられたその直後に、朝鮮戦争で、旧日本兵が徴発されているのです。そうやって考えてゆくと、戦後の平和と発展は、様々なラッキーと、理想と気骨のある複数のリーダーのおかげで、なんとかぎりぎり実現しえたものであることがわかります。

日本とミャンマーは紙一重なのです。

(参考文献)

「児玉誉士夫 巨魁の昭和史」有馬 哲夫(文藝春秋)

「Permanent Record (English Edition)」Edward Snowden

How a Deadly Power Game Undid Myanmar’s Democratic Hopes Feb. 2, 2021 (New York Times)

After Coup, Myanmar Military Charges Aung San Suu Kyi With Obscure Infraction Feb. 4, 2021 (New York Times)

(2021年2月8日 「ためにならない」追記)

日曜日の夜のNHKは、ダーウィンが来たあとに麒麟がくるはずが、昨夜の最終回「本能寺の変」のあと、明智光秀は山崎の合戦後ナレ死かと思いきや、、、実は亡くなってはおらず(天海僧正として徳川幕府を支える、つまり実は麒麟がきたという)思わせぶりな結末でした。

本能寺に向けての明智十兵衛光秀の心象風景がおおいに変わったのが、松永久秀の平蜘蛛という茶道具。はたしていまこの名器がどこにあるのか。稀代の大河ドラマ通、松村邦洋さんによると、既述の爆笑問題の太田光さんの奥様の太田光代社長(旧姓松永光代さん)が、実は、松永久秀の末裔であり、意外と彼女が経営する芸能事務所に飾っていあるのではないかとのことです。ほんとうに詳しいですね。


松村邦洋さんのタメにならないチャンネル、実はほんとうにためになります。

2021年1月21日木曜日

国会議事堂襲撃の資金はビットコインだった!?

 

年末年始、市場の話題を攫って(涼って)いたビットコインが、またもや踊り場に来ています。

 

思い出したかのようにアップさせていただくBTCUSDのチャートがこちら。



「サラリーマン投資家が登場すると、相場もそろそろ大詰めというのは、洋の東西を問わない」と溜息をつきたくなるところですが、そうとも言い切れません。サラリーマン投資家の最たるものである中央銀行や年金が、7年以上、買いあさってきた日本株は、いま昭和バブル期を凌駕する高値圏にいるのです。

 

わたくしの過去のブログのアップでも、おおいに反省すべきものがあるのが、相場はファンダメンタルズで分析しても意味がない、先は読めないということです。インサイダー情報はここで言うファンダメンタルズではありません。

 

ビットコインをフォローするなかでぶち当たった気になるニュースがこちらです。

 

米国国会議事堂襲撃事件関与たAlt-Right Group主要人物フランス人極右青年50ドル相当ビットコイン寄付てい!!!

 

このニュースが気になった理由は、いくつかあります。

 

ひとつ。ワシントンのキャピトルヒルの襲撃は、現職の大統領が暴力を首謀するとは、前代未聞だとか、言語道断だとか、さまざまな感想や意見が寄せられています。いっぽうで国会議事堂のセキュリティはいったいどうなっているのだなど、言われてみれば確かに解せない指摘もあります。

この点、トランプ前大統領に近い情報機関からは、同前大統領は集会や示威行動までは教唆したが暴力にまで走らせたのには別の首謀者がいるだとか、その別の首謀者は俗に言うアンティファという反トランプ陣営で、BLM運動などを通じて米国社会の破壊を企んでおり、その資金源は中国などの米帝転覆を狙う筋だとの陰謀論的な情報まで飛び交っているからです。

アンティファ云々は、絵空事のようにも思え、まともな情報機関は相手にしていないように見えますが、とにかく、歴史、政治、経済、、、科学(新型コロナウイルス感染症の関係を含みます)について、先入観を持たずに、権威の言説を猛進せずに、というのが我がブログの精神なので、そういう意味で、この事件は素直な気持ちで情報を収集し、冷静に分析をしたいと思っていたところなのです。

 

ふたつめ。ビットコイン(をはじめとするブロックチェーン)については、しばしばその本質に迫りたくて分析をしてきました。そのなかで、ビットコインの匿名性というのがあります。この記事によれば、500,000ドル相当のビットコインの送り主も受取人も把握できているわけで、とくに送り主についての詳細など、どのようにして「足がついた」のかについても、記事では開示できないが、ChainAnalysisとしてはしっかり把握できているのだと書かれているのです。

 

ChainAnalysisの記事には、フランス人で、ビットコイン送金後に自殺を図ったプログラマーの遺書が紹介されています。自殺の直接の原因と考えられる自身の体調不良についてのほかに、欧米諸国全体に対する「憂国」が綴られているのです。フランス国内に限らず、また米国にも限らず、欧米社会全体の伝統を蔑ろにする風潮、寄付者の言葉でワイマール共和国的な悪がはびこっているとし、その一例としてBLM運動が参照されています。

 

ところで、巨額のビットコインを誰が送り、誰が受け取ったか、このようにほとんど判明している理由は、わたくしにはよくわかりませんが、送金に使われたとされるフランス版暗号資産取引所のKYCがしっかりしていたからか、送金で使われたウォレットやノードのなかにあるExtremist Legacy WalletExtremist Donor Walletが何らかの理由でChainAnalysisの技術でトラッキング可能だったのかも知れません。

 

それによると、

 

ビットコインの寄付金はひとりの送り主から20口座近くのアドレスに送られていて、一部アドレスの「名義」がわからないものも含まれているようです。しかし、総額の約半分は、米国極右の代表格であるNick Fuente青年ひとりに送られているのです。

 

名うてのYouTuberだったらしい同青年は、同アカウントを凍結されるほどの筋金入りの極右で、有色人種排斥だけでなく反ユダヤでもあるようです。そうすると、ユダヤ人を娘婿に迎えたトランプ全大統領とは政治信条が完全一致するのかと、やや疑問を挟みたくもなります。米国の保守主義というのも幅があるようで、トランプ大統領のユダヤ人贔屓というもどう考えても打算の代物でしょう。Nick Fuente青年がトランプ前大統領を心底惚れ込んで応援団長を買って出ていると考えて間違いはなさそうです。

 

なんとかあらすじを拾ってみようと書いてきましたが、興味がある読者の皆さんは、まずは、ChainAnalysisの記事そのものをご覧ください。わたくしが書ききれなかった細かい情報やニュアンスが詰まっています。

 

この大スクープによって、トランプ派報道機関(Fox NewsNew York Post など)が言う「集会させたのはトランプだが襲撃までさせたのはトランプ(と同じ考え方の人物)ではない」という言説は、さらに怪しいものに思えてきます。さらには、立場が真逆のアンティファが、トランプ派の振りをして、暴徒に混じるどころか、率先して国会議事堂に侵入し暴力行為を働いたというのは、やはり陰謀論にように思えるところです。かと言って、アンティファや一部のBLM運動にも許しがたい問題を引き起こしているものも厳然とあります。

 

自殺したフランス人プログラマーの、ワイマール共和国という譬えに沿うならば、まさに現在の米国は、ワイマール共和国成立後、国家社会主義労働者党と共産党が対立し、中道派が瓦解したドイツの状況に似ているのかも知れません。記事中のAlt-Rightとアンティファ、どちらが正義でどちらが悪者なのか、、、という観点でしか物事を判断できないひとが蔓延してきていることこそが、人類社会の崩壊の証左なのでしょう。

 

最後に余計なひとこと。実はアンティファだったというのが陰謀論ではなくて事実であったみたいなことは歴史上いくらでもあろうかと思います。我が国でも、安保闘争を暴徒化させた資金は、大東亜戦争後は代表的な右翼となった田中清玄から全学連に渡っていたものだったとされますが、なかには元外交官の孫崎亨氏のように、田中清玄を経由させた資金の出どころはCIAであり、その狙いは、岸信介で退陣あって、見事に狙い通りになったと説かれています。もちろんこの説が出鱈目だというひと(とくに安保闘争の当事者だったひとたち)もいます。

 

2021年1月7日木曜日

コロナ第三波で、世界のお金持ちは、何を考えているのか?

お陰様で、Daily WiLL Onlineのおカネに関する連載が6話完結したいま、人気記事ランキングのトップファイブを独占するに至りました。

もうこれ以上は記事が更新されないので、あとは、陥落のみです(苦笑)。

 

MMT(現代通貨理論)を皮切りに、金(ゴールド)・銀・銅を切り口とした異説日本史を経て、最終回はいま熱過ぎるビットコインなどの暗号通貨の話題で締めくくったことが、反響を倍加した感じです。

 

MMTをきっかけにしたのは、怪しい経済理論であるにもかかわらず、コロナ禍のもとで、先進諸国は議論する余裕もないまま、未曽有の財政赤字の急増がなし崩し的に意思決定され、ロックダウン(日本では緊急事態宣言に伴う時短などの自粛要請)とセットでの給付金対応を迫られているからです。

 個人的には、給付金はフェアであってほしいですが、それそのものを否定したくはありません。

 「コロナ勝ち組」、「コロナ負け組」などという、品(ひん)の無い言葉もあります。

 人間たるもの、いまどちら(側)の産業に従事しているかには、運の要素が強すぎて、努力で克服できるレベルを超えていると思うからです。

それにしても、「コロナ勝ち組」の連中や、これまでしっかりと現預金を溜め込んできた世界のお金持ちが、いま、何を考えているかを想像してみることは重要です。2021年の相場を見通すために、十分ではないが必要な、考察です。

彼らの多くは、景気循環のひとつの局面である景気後退期から不況または恐慌の時期にあっても財政支出を支持しないものなのです。ましてや、とりわけ今回のようなショックは、資本主義に内在する景気循環の結果ではなく、外生的なものです。ならばなおさらのこと財政出動で和らげられる性質のものではないと考えます。

しかし、民主主義の政体は、「外生的ショックの緩和には財政赤字は有害無益」という《正論》では支持を得られません。次善の策として、資産防衛のために、インフレーションやスタグフレーションに耐えられる資産(アセットクラス)は何か無いものかと、死に物狂いで模索します。

この候補者選びもまた《正論》は存在しません。ケインズの美人投票のような過程で絞り込みがなされてゆきます。

ビットコインも第三波!?暗号通貨からマネーの本質を探るで、

「金(ゴールド)など貴金属には実体(としての価値)があるが、暗号通貨は実体が空っぽである」

という言説は誤りであると、連載全体の結論として締めくくりました。金(ゴールド)やビットコインなど、通貨(貨幣)の代替候補に人気が出てきている(法定通貨に対する相場が急騰している)のは、物体(使用価値)としての実態(実体)とはほとんど無関係の、決済手段としての信任です。

その信任には、《合理的な根拠》は不要ですが《緩やかな合意》は必要です。信任される通貨(の代替候補)は、どんな物体(ハードウエアとソフトウエアの両方を含む)でも良いわけではありません。《絶妙な程度の希少性》が必要で、地球上に少なすぎても多すぎても候補から漏れます。すなわち、

造幣する費用≦偽造する費用≦市場価値(流通価格)

これを満たしていて、過去~現在~未来も安定的にそうであると、通貨として採用するコミュニティ内で合意形成されるものでなくてはなりません。長い時代、それが一部の貴金属に限られていたこと、刑務所や強制収容所などではタバコが、貴金属が「絶妙な程度の希少性」を超えて希少過ぎた古代中国においては、コミュニティから十分距離の離れた海外で採れた貝殻が、使われていた事例などは、この《法則》を裏付けるものです。

コロナショック(2020310日)の週【赤くて太い点線の長方形】は、条件反射的にリスクオフで軒並み急落した、以下の代替通貨候補が、波打つように、その後は(対法定通貨=チャートは対ドル)相場を回復させていること、そのピークは、例えば金(ゴールド)とビットコインとを比べると、特に理由はなく、有意にずれていることなどがわかります。

【金/ドル】


ビットコインのチャートは、Daily WiLL Onlineの記事では、第一波(20141月のマウントゴックス破綻まで)、第二波(20181月のコインチェック事件まで)、第三波(コロナショックから現在)の三つのピークがよくわかるように、対数表示にさせていますが、以下では、通常の表示で、過去1年分の動きをご覧いただいております。

 【ビットコイン/ドル】


連載の最終回を書いたのは、先月つまり2020年12月の中旬で、そのころビットコインは20,000ドルを超えて大騒ぎしていたときです。それが、本日2021年1月7日のただいま現在は、その倍である40,000ドルを超えるのは時間の問題みたいな雰囲気です!!

おまけで、年末にご紹介した「リップル疑獄」にちなんで、リップル/ドルも挙げます。年明けも比率で見れば異様な乱高下ですが、《リップル送金手数料闇補助金問題》が解決されておらず、この先も不透明です。

【リップル/ドル】

更に、年明け一層のモメンタムが出ている原油相場について。こちらは、コロナショックから1か月経ったところで、先物限月交代に伴う《買手が現物を受け取るタンクがない》問題で未曽有の価格がマイナスという現象がありましたが、気がつけば、コロナショック前の価格を回復しています。これも、貴金属、暗号通貨と並べて、代替通貨選択にノミネートさせてあげるべきです。原油の倉庫証券は立派な代替通貨候補です。しかし、引き取り手の倉庫がなくなるのは困るので繰り返されたくないところです。

【原油(WTI)/ドル】


大まかに振り返ると、コロナショック後、世界のインフレヘッジャーたちは、タイムラグを経つつ、金(ゴールド)、ビットコイン、原油を現預金の疎開先としてコンセンサスをうかがおうとしてきて、またそろそろ次は何か?不動産や株式は、ほんとうなら、コロナ禍で実体価値は減耗しているのだが、金やビットコインでの相場操縦の成功体験は、不動産や株式をも例外とさせない可能性は大いにあるのです。

最後に、暗号通貨関連でおまけ。ビットコインも第三波!?暗号通貨からマネーの本質を探るで、ブロックチェーンの歴史を超絶わかりやすく(?)振り返るために名脇役を演じてくれたのがステーブルコインでした。ドルなどの法定通貨とずっと(?)一対一で交換を発行体が約束する暗号通貨のことです。これを、米国の通貨監督庁(OCC※)が、米国内の銀行間の決済手段として(例えば、Fed Wireなどの代わりに←筆者注)利用して構わないというニュースが流れました。

FederallyChartered Banks and Thrifts May Participate in Independent Node VerificationNetworks and Use Stablecoins for Payment Activities

こちらは、それを日本語に翻訳して紹介しているニュースですが、これだと、米国内の銀行が、日本でいう仮想通貨交換業(現行法の暗号資産取引業の一部)の兼営が許され、さらに日本では許されていないステーブルコインの取り扱いまで許されるのかとも読めるのですが、そのようなB2Cの話ではまだなさそうです。

米通貨監督庁(OCC)、国法銀行にステーブルコイン利用とノード運営を許可

これは、年末年始の暗号通貨界の話題としては、リップル疑獄に次ぐマグニチュードのものであると評価されます。

※暗号通貨に関与する米国当局には、SEC(証券取引委員会)、FinCEN(金融犯罪捜査網)があり、各当局の態度が異なるので、なかなか困った状況なのだと考えられます。