2009年6月8日月曜日

クライスラーへの暗雲と雇用統計の好転?

先週、お伝えしたフィアット=クライスラーに「ちょっと待った」を掛けたインディアナ州の年金基金。米国控訴院は、「不良債権を安く買い叩いた筈だったのに、足が出た」ために、怒り心頭の同投資家の主張、(営業権のフィアットへの売却)処分禁止の仮処分を認めるという判断をしました。

既報の通り、フィアットは6/15(月)まで処分禁止仮処分が続いていれば、クライスラー購入を敬遠することが出来ます。世界中で54,000人(うち米国内で38,000人)を雇用するクライスラーの受け皿が消えてしまっては、クライスラー清算による雇用へのインパクトは部品メーカーを含め深刻で、オバマ政権が描いた処方箋を脅かす試金石だとWSJ紙は改めて報道しています。

同紙は、クライスラーで発生した「しゃっくり」はGMにも移る可能性があり、事態がより複雑になると予測すると同時に、リストラおよび財務立て直し先行のおかげで旧ビッグスリーのなかで唯一生き残ったフォードは、思わぬ「国営自動車」(Government Motors)の出現で競争上劣勢に立たされる恐れありとも論じています(但し、ゴールドマンサックスの分析は、フォードはGMが喪失したシェアの25%を獲得すると見込む)。

ドライバーを振り回した結果、どんなに左右の深いラフに打ち込んでも、ボールがフェアウェイにまで転がり落ちてくるゴルフ場では、飛距離だけでなく球を真っ直ぐ飛ばす技術を磨いた真摯なゴルファーは馬鹿を見るでしょう。雇用のセイフティネットを声高に叫ぶのは、米国の政権も、日本の野党も似たようなものですが、果たして自動車産業以外の衰退産業と公平に扱おうとしているか冷静に問う必要があります。

ところで、金曜日の雇用統計。NFPRは予想ほど悪くなかった、減少幅が縮小しているということで、ドル高、株高。しかし、雇用主申し出ではなく個人家計から集計した失業率のほうは9.4%と1983年以来の最悪数値。どちらが真実か?というよりも、減少幅縮小で喜んでいる市場参加者は、速度と加速度との区別がつかない人達か?(不動産は動きだしましたが)ドルと株式は一旦売りを推奨。
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