2008年8月25日月曜日

五輪終了。いざ仕事です。

●ファンフレッドの優先株、ムーディーズも格下げ(8/23WSJ,FT)
「地球規模のインフレは落ち着きつつある」と発言したバーナンキFRB議長も、金融問題に関しては政府系2社の名指しこそ無かったものの、ベア・スターンズの時と同様、体系的な手段で破綻処理を行なうべきと発言。

ムーディーズの格下げはA1⇒Baa3とジャンク債(投機的格付)の一歩手前。

一方、先に格下げをしているS&PはAA-⇒A-と対応は穏やか。

ムーディーズ、S&Pともに、シニア債については最高格付け維持なので、現時点で破綻処理または救済方法が不鮮明な2社について、ムーディーズは「普通株だけでなく優先株も含め大幅減資のうえ米国政府が増資」、S&Pは「普通株についてだけ大幅減資のうえ米国政府が増資」というシナリオを前提に描いていると推測されます。いずれの方法であれ、シニア債に対する暗黙の保証は流動性支援という形で履行されることになります。

この点に関する外国為替市場としての解釈は、今晩のオンラインセミナーで触れる予定です。

●バイデン氏、オバマ候補の副大統領候補に指名(8/23~24WSJ他)
バイデン氏を紹介するオバマ候補「一貫して弱者underdogの味方だった人だ」と。グルジア問題勃発で共和党マケイン候補に逆転との報道もある中での電撃指名。

グルジアに続きアフガニスタンでも軍事衝突が再発、マッチョな米国の将来もまた、外国為替市場は注目。余裕があれば、オンラインセミナーで触れます。
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2008年8月22日金曜日

為替タックル

●フレディマック、民間の投資家からの資本調達を打診(8/22WSJ)
とは言え、公的資金が投入され株式等が紙屑になる恐れが高いと多くの投資家が恐れている中では、悪足掻きに過ぎないのでは、とWSJ紙。

8月初旬より堅調を続けていた米ドルが昨日急反落。米ドルの今後の動きを占う三大要因は、①ファン・フレディ問題、②グルジア問題、③原油高騰問題、でしょうか。

昨日の相場分析については、上記①は関係が無いという説も有力。②と③については、米ドル急反落に対して、どっちが原因でどっちが結果か、これまた諸説あり。少なくとも「有事のドル買い」という公式がもはや当て嵌まらなくなっていることは確か。

問題はやはり、①その他米国金融危機の深刻化や米国政府の救済“手段”によって米ドル相場がどう影響を受けるか。これは大変難しい。難しいことをわかりやすく説明するのが筆者ブログの役目かも知れません(汗;)。が、一方で相場は単純明快な材料で二項的にか反応しづらいものだということも事実。多くの職業専門家が、ファン・フレディ問題を煽りこそすれ真摯な分析からは逃げ腰なのも気持ちはわかります。

●米ドルが弱含んだので原油が強含んだ(8/22WSJ)

一方で、

●金融セクターに対する不安が米ドル高を刈り取った(8/21FT)

ちょうど20年前のこと。数々の奇行と問題発言にも関わらず今もテレビの人気者として驚異的なサバイバルを続ける元自民党代議士の浜田幸一氏。「所詮、日本は米国の植民地だ」と言い放つ氏が、竹下内閣で衆議院予算委員長という似合わない立場に居た頃、日本は円高バブルの真っ只中でした。氏がその要職を辞するキッカケとなった自らの爆弾発言「日本共産党の宮本賢治委員長は殺人鬼だ」。予算委員会の司会者でなくても許されない割り込み発言で、共産党高森議員(当時)の宮澤喜一大蔵大臣(当時)への質疑「米国債や大蔵省証券(為券など)を我が国の銀行は嫌々買わされている。三菱銀行(当時)もそう言っているんですよ」に対しる答弁は遮られ、結局このまま国会は空転。

共産党ならではの正鵠を射た質問に政界随一の知能指数と機転で宮澤氏がどう答えるか固唾を呑んでいた筆者はガッカリしましたが、今思うと、あの宮澤氏ですら、日米関係と金融行政、すなわち暗黙裏かつ秘密裏に、ドル安と判って居ながら米国債の押し売りを甘受する体制について、センス良く答弁でかわすことが難しいとして、浜田氏は犠牲になったという解釈もあるのではないでしょうか。

何故、このような話をしたかと言えば、ファン・フレッドが発行する暗黙の保証付の機関債もまた様々な経路で我が国の(今のところ)巨額な貯蓄を吸収しているからなのです。

2008年8月21日木曜日

引受責任とインサイダー

オバマ氏のリード殆ど無くなる―共和党マケイン候補に対して(8/21WSJ)
WSJ/NBCの最新調査。マケイン氏の反撃、クリントン夫人支援陣営取り込み失敗に加え、グルジア情勢がオバマ氏の足を引っ張っている。REUTER調査では逆転とも。

やはり米国人の多くはマッチョな指導者がお好きなんでしょうか?

なお、このWSJの速報記事にはファン・フレッド問題について言及がありません。新旧FRB理事(含むグリーンスパン前議長)が丁丁発止を繰り広げているなか、クリントン政権時代の財務長官だったサマーズ氏の見解は、以前CNBCでのインタビューを聞く限り、経済学者らしくない要領を得ないものでした。

●ファニーとフレディの危機、深まる(8/20FT)
新たな信用枠供与、資本注入の権限を握った米財務省。だが、ここに来て政府の介入=モラル・ハザードという批判を受け、ついに財務省報道官も事態を静観と態度変更を表明。両社の株価は今週初から35%前後下げている。

リーマンブラザースの50%増資-秘密の話し合いは物別れに終わっていた(8/20FT)
韓国と中国の投資家を相手に8月第一週に話し合われていたが、リーマン側が主張する条件(新株の株価)が高すぎたらしい。リーマン側はノーコメント。

リーマンと言えば、旧ライブドアのMSCB(転換価格下方修正条項付新株予約権付社債)800億円超の引受(資金使途はニッポン放送買収)とか、アスクレピオス詐欺(丸紅の偽保証書)に引っ掛かるとか、日本では椿事が続いていますが、リーマン勤務の方々に言い分を聞くとやはり「自分達は可愛いもの。BNPパリバのアーバン転換社債でスワップ裏取引の隠し技には度肝を抜かれた」ということでした。本件、今後は、裏取引の存在と内容について転換社債の発行⇒引受⇒払込と同時に適時開示するべきとして発行会社アーバンに指導しなかった(不作為犯)のか、適時開示をするなと指導した(作為犯)のか、が当局捜査の焦点になってくるでしょう。
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2008年8月20日水曜日

縄文時代の資本市場

月曜日のブログ白馬の騎士は誰なのか?に対してコメントを頂いた読者の方が、米国内にこんなサイトもあると指摘して頂き、わざわざ日本語訳を送って下さいました。大手マスコミからは全くと言って良い程聞こえて来ない論調ですので、長文ですが敢えて引用します。

(以下引用)
ブッシュ、チェイニー、ライスと議会に告ぐ「アメリカはロシアとグルジアから手を引け!新たな戦争反対、NATOはすぐ終わりにせよ」

アメリカ政府は、こんどはロシアに対して、新たな戦争の危険をもたらす新たな軍事行動でもって、脅迫し始めています。私たちはこれに深く関心を寄せています。

ブッシュ政権とアメリカの商業メディアはロシアに対する中傷活動に乗り出しました。しかしアフガニスタンとイラクの占領や、イランへの脅迫と同様、直面するロシアとの軍事対決もまた、ウソなのです。

商業メディアのほとんどが隠している真実は「グルジア大統領ミハイル・サーカシビリは南オセチアという小さな自治州に対し、アメリカとイスラエルによる装備と訓練を受けた彼の軍隊を展開し、市民を殺し、そこに駐留していたロシアの平和維持軍を攻撃した」ということです!そのあとで、ロシア軍が応戦したのです。

サーカシビリはアメリカ主導のイラク占領にグルジアの若者2000人を派遣した大統領で、アメリカは彼の軍隊に武器を支給しています。そして米特殊部隊、イスラエル軍事顧問、傭兵請負会社がグルジア軍を指揮しています。7月には、グルジア軍は米陸軍、米海兵隊と3週間の合同演習を行いました。私たちは、イラクやイラン同様、グルジアもまた、アメリカ石油会社の「獲物」 だということに、気づかねばなりません。グルジアは中央アジアの石油の、重要な中継地点なのです。

アメリカによるグルジアの武装とNATO加盟への圧力が、グルジア軍の南オセチア侵攻の背景にあること、そしてそれが新たな大きな戦争の脅威を創り出したことはたしかです。また、現在ワシントンは、ポーランドとチェコに、その国民の圧倒的反対に逆らってミサイル基地をおくことで、ロシアに脅威を与えています。
新しくNATOに加盟した国々による軍事同盟でロシアを包囲することは、地球全体の平和と安定にとって、最大の危機です。

例えば、以下を思い出してください。

○ ユーゴスラビア= 弱小国民を守るためというウソに基づくアメリカーNATO軍の介入と空爆が、多民族国家ユーゴスラビアを崩壊させ、バルカン諸国をアメリカと西欧列強に支配される小国の集合に変えた。

○ アフガニスタン= テロリストに対する警察行為だというウソに基づき、アメリカーNATO軍は、この国を荒廃と奴隷状態におきながら7年間の占領を推し進めてきた。

○ イラク= ここに来てようやく、大量破壊兵器というウソが明らかとなりアメリカの立場が弱くなったので、NATOのほとんどの国々は、イラクの酷い破壊と占領に加わることを拒否した。

プッシュがグルジアに平和を押し進めるなどということは、誰も信じれません。今や、この(戦争)拡大を止めるだけでなく、NATOを消滅させることで、NATOという戦争マシーンを止めるときが来ています。

グルジアの人びとが自らサーカシビリ勢力を非難する声明を発したことは、戦争に反対する世界中の人びとを勇気づけています。グルジア平和委員会は、こう述べています。「亡くなった数千の子ども、女性、高齢者たち、そして南オセチアとグルジアの住民たちという、この同胞殺しの全責任は、現大統領とその議会とグルジア政府にあります」 (8月11日)

原文は下記サイトから
http://www.iacenter.org/anti-war/handsoffcaucasus
(引用終了)

決して筆者がロシア寄りだから上記引用をしたわけではないことは読者の皆さまにはご理解いただいていると思います。大切なことは、通説という名の“勝てば官軍”歴史観を疑えということ、ナチスのホロコーストや旧日本軍の南京大虐殺のように誰が見ても「悪いのはお前だ」という事案でさえ、軍事裁判で断罪されてはならず、せめて国選弁護人は付けてあげなきゃいけないということです。

●不信を招いた破綻前の起債(8/20日経社説)
アーバン⇔BNPパリバの裏取引付き転換社債。音無しの構えを続けてきた日経新聞が何と社説で牙を剥く。

●ATL社長に呉氏が昇格(8/20日経12頁)
日本アジアホールディングスが筆頭株主であるATLが株式交換で同社の完全親会社に。同社は完全子会社の
社名に変更し、子会社の呉社長が社長に。

念願だった裏口上場が遂に実現。おめでとうございました。
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