●麻生内閣、支持率53%―衆院選の支持は自民と民主が伯仲(9/26日経)
あれほど盛り上がりに欠けた自民総裁選でも効果があったというべきか、選挙民が愚弄されているというべきか、選挙民が阿呆だというべきか?米国での7000億㌦法案で「ばらまき政策」への抵抗がなくなっている雰囲気もプラスなのでしょうか?
「ばらまき政策」が意味を持つのは、勤労者に支払われる名目賃金の伸びが物価上昇に追いついていなくても平気または気付かないことが前提。これを貨幣錯覚money illusionと言いますが、情報化社会⇒ネット社会においては貨幣錯覚を前提とすること自体が幻想。「ばらまき政策」で作為的にインフレ経済を実現しても、それ以上に名目賃金が上がらなければ、勤労者は豊かさを感じ得ない。物価統計の取り方を変えるという奥の手はあるでしょうが、それを言うなら作為的インフレを起こさなくても勤労者は今直ちに豊かさを感じることが出来ます。ヘドニック法、、、なんて言うと難しくなってしまいますが、敢えて想像してみて下さい“5年前と同じ性能の”パソコン、デジカメ、薄型テレビ、携帯電話を。。。これらに対する支出が家計に占める割合に沿って物価バスケットに反映され、低価格化に高品質化を加味して計算すれば、我が国の実質賃金、実質成長率は恐ろしく高くなることでしょう。「ばらまき政策」は無意味なうえに、モラルハザードをもたらすので百害ありて一利なし、というのが持論です。
金融インフラの根幹であるインターバック市場。インターバンク市場からの調達が許される退屈で平凡な商業銀行業務と愚直に手数料を追求するブローカー業務または投資銀行業務。これらをヘッジファンド業務(含む裁定取引)や投資業務と切り離すことで、インターバンク市場は健康を取り戻せる筈。決して7000億㌦は必要ない。投資銀行と呼ばれる金融機関が“投資銀行業務”と“投資業務”をごっちゃにしたところが、過当競争下の禁断の果実だったのではないでしょうか。
残念ながら筆者の意見は極々少数派。ここまで来たら7000億㌦を通さないと、インターバンク市場も含めどうにもならないのかも。。。
そんな中、
●英中央銀行、インターバンク市場への流動性供給を大幅削減(9/25FT)
先週が£250億⇒今週は£50億£。インターバンク市場の参加者がイングランド銀行に低金利で預けるくらいならお互いに貸し付け合ったほうがましと判断しているため、とFT紙。
最後に、日本時間昨夜11時台のCNNで、7000億㌦法案の是非について視聴者アンケートを行なっていました。結果は53:47で反対多数。メールで寄せられた意見のなかに、「叩き上げのアジアの企業経営者が、その何倍~何十倍もの役員報酬を貰っているハーバードやウォートンのビジネススクール卒業者よりも優れていることを思い知れ!」というのがありました。アジアに日本は含まれるでしょうか。
2008年9月26日金曜日
2008年9月25日木曜日
7000億㌦の行方
●今週末予定の大統領候補による討論会、マケイン候補が延期を提案するもオバマ候補は拒否(9/25WSJ)
「今こそ討論しなければならない時だ」とオバマ候補。マケイン候補は議会に戻り7000億㌦の金融“システム”救済法案の審議に参加したいので、木曜日の選挙運動も中断したうえでの提案だったのだが。
ポピュリズムはモラルハザード批判が苦手。オバマ候補も、貸し手批判は出来ても借り手批判は出来ない。加えて、筆者の知る限り、ファニーメイとフレディマックにも民主党の仲間は多い。
ちなみに、WSJ/NBCの共同調査では、オバマ/マケインの支持は現在48対46と僅差。同調査は7000億㌦計画についても数字を明かしています。31%が賛成、33%が反対、28%が意見無しとのこと。
●米中古住宅販売、8月は再び下落(9/24WSJ)
市場予想を下回り、発表直後はドル安、株安。
ところで、米国の住宅価格というのは幾ら位なのでしょうか。米国は大きな国で、ニューヨークもあれば田舎もある。格差社会でもある。そこで平均値では誤解を招きますので、中間値(メジアン)で表しますと、去る8月の1戸当たり価格の中間値は203,100㌦だそうです。昨年同月は224,400㌦でしたので1年で約1割も下落したことになります。
筆者はこれから、日本の住宅価格の中間値、それと住宅ローンとの絡みで、主として勤労者世帯の年収の何倍(何年分)まで銀行が貸して住宅取得が可能になっているか、米国と比較するべく調べてみたいと思っています。調査結果が月曜日間に合えば、オンラインセミナーでお話しする予定です。
「今こそ討論しなければならない時だ」とオバマ候補。マケイン候補は議会に戻り7000億㌦の金融“システム”救済法案の審議に参加したいので、木曜日の選挙運動も中断したうえでの提案だったのだが。
ポピュリズムはモラルハザード批判が苦手。オバマ候補も、貸し手批判は出来ても借り手批判は出来ない。加えて、筆者の知る限り、ファニーメイとフレディマックにも民主党の仲間は多い。
ちなみに、WSJ/NBCの共同調査では、オバマ/マケインの支持は現在48対46と僅差。同調査は7000億㌦計画についても数字を明かしています。31%が賛成、33%が反対、28%が意見無しとのこと。
●米中古住宅販売、8月は再び下落(9/24WSJ)
市場予想を下回り、発表直後はドル安、株安。
ところで、米国の住宅価格というのは幾ら位なのでしょうか。米国は大きな国で、ニューヨークもあれば田舎もある。格差社会でもある。そこで平均値では誤解を招きますので、中間値(メジアン)で表しますと、去る8月の1戸当たり価格の中間値は203,100㌦だそうです。昨年同月は224,400㌦でしたので1年で約1割も下落したことになります。
筆者はこれから、日本の住宅価格の中間値、それと住宅ローンとの絡みで、主として勤労者世帯の年収の何倍(何年分)まで銀行が貸して住宅取得が可能になっているか、米国と比較するべく調べてみたいと思っています。調査結果が月曜日間に合えば、オンラインセミナーでお話しする予定です。
2008年9月24日水曜日
リーマン、モルガン、ゴールドマン。
フェニックス証券オンラインセミナーも回を重ねること第6回。来週9月29日(月)夜8時から。
今回の演目は「リーマン、モルガン、ゴールドマン」。既に、ご愛読いただいているブログでの考察を更に深め、立法府や市場参加者の中にも浸透し始めた財政負担や国債需給の問題にも言及しつつ、従来どおり&期待通りの“ひねくれた”視点で、これから先の為替相場動向を占ってみたいと思います。
お申し込みはこちらから_m( 。。)m_
http://phxs.jp/
どうぞお楽しみに!
今回の演目は「リーマン、モルガン、ゴールドマン」。既に、ご愛読いただいているブログでの考察を更に深め、立法府や市場参加者の中にも浸透し始めた財政負担や国債需給の問題にも言及しつつ、従来どおり&期待通りの“ひねくれた”視点で、これから先の為替相場動向を占ってみたいと思います。
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どうぞお楽しみに!
良い銀行と悪い銀行
●バークシャー・ハザウェイ、ゴールドマン・サックスに出資―永久優先株50億㌦など(9/24WSJ)
永久優先株の配当利回りは年10%。加えて新株予約権も購入(普通株50億㌦分)。GSは同時並行で普通株公募増資により最低25億㌦調達予定。
ソロス氏登場かと思いきや、バフェット氏でした。長期投資に値する割安条件と判断したということか。
●バーナンキFRB議長とポールソン財務長官、議会証言で7000億㌦の「非流動性」資産買取予算の重要性を強調(9/23各紙)
日本時間昨夜10時台(米国東部時間朝9時台)、英BBCは国連総会の開会演説を、米CNNはフィンランドの大学内での銃乱射事件を、そして日経CNBCは、本件米国上院銀行委員会をそれぞれ特番で臨時中継していました。
GS勤務時代に稼ぎまくって個人資産500億円以上と噂されるポールソン氏が、議員たちから袋叩きに遭っている姿が痛々しい。やはり幸せはお金では買えません!
7000億㌦という金額が尋常でないこと、それがMain Street(一般庶民)のために使われると言うが、庶民の犠牲のもとにWall Streetを助けるのが目的ではないか?という声が議員の間で少なくないという現実。
筆者は、モラルハザードの問題はもう少しわかりやすく理解すべきだと考えています。この先、不動産相場が上がると読む人は(借金してでも)自宅住居を買うでしょう。逆に、下がると読む人は賃貸を選ぶでしょう(但し、金利と賃料利回りの差《機会費用考慮後のネガティブ・キャリー》を無視した議論ですが)。今回、米国で発生し、恐らく日本にも伝播spilloverするであろう状況は、「賃貸派の皆さん、相場観が当たっていました。おめでとう」を意味します。7000億㌦等の使われ方次第では貸し手だけでなく借り手も救済されるべく、インフレ期待を通じて【不動産価格】【長期金利】【賃料水準】が三つとも上昇するでしょう。かくして固定金利で住宅ローンを組んで土地建物を買っていた人は救われ、賃貸派の皆さんは賃料アップという形で収奪されることが予想されます。FXも株式も不動産も、相場変動で損をした人がいれば、得をした人もいる。金融は所詮その程度の虚業に過ぎないと謙虚に構えなければなりません。
野村證券がリーマン・ブラザーズの欧州部門のうち、Fixed Income部門(FXや国債などを取り扱うブローカー・ディーラー部門)には興味が無いかも知れないとの報道があります。
出来る限りこのFixed Income部門を核として各銀行がGood Bankを切り離す。不動産リスクを背負い込んだBad Bankは整然と破綻処理を進めてもらう。モラルハザードをなるべく回避(経営責任と株主責任は利得の範囲内で取らせる)。無リスク金利でしか運用させてもらっていないインターバンク市場は国債と同じ信用リスクのインフラであるという本来の姿を取り戻す。。。Fixed Income部門でCDOが組成されている等、実務上難しいところはあるのでしょうが、FX業者の社長としては精一杯のポジショントーク?否、正論であります。
永久優先株の配当利回りは年10%。加えて新株予約権も購入(普通株50億㌦分)。GSは同時並行で普通株公募増資により最低25億㌦調達予定。
ソロス氏登場かと思いきや、バフェット氏でした。長期投資に値する割安条件と判断したということか。
●バーナンキFRB議長とポールソン財務長官、議会証言で7000億㌦の「非流動性」資産買取予算の重要性を強調(9/23各紙)
日本時間昨夜10時台(米国東部時間朝9時台)、英BBCは国連総会の開会演説を、米CNNはフィンランドの大学内での銃乱射事件を、そして日経CNBCは、本件米国上院銀行委員会をそれぞれ特番で臨時中継していました。
GS勤務時代に稼ぎまくって個人資産500億円以上と噂されるポールソン氏が、議員たちから袋叩きに遭っている姿が痛々しい。やはり幸せはお金では買えません!
7000億㌦という金額が尋常でないこと、それがMain Street(一般庶民)のために使われると言うが、庶民の犠牲のもとにWall Streetを助けるのが目的ではないか?という声が議員の間で少なくないという現実。
筆者は、モラルハザードの問題はもう少しわかりやすく理解すべきだと考えています。この先、不動産相場が上がると読む人は(借金してでも)自宅住居を買うでしょう。逆に、下がると読む人は賃貸を選ぶでしょう(但し、金利と賃料利回りの差《機会費用考慮後のネガティブ・キャリー》を無視した議論ですが)。今回、米国で発生し、恐らく日本にも伝播spilloverするであろう状況は、「賃貸派の皆さん、相場観が当たっていました。おめでとう」を意味します。7000億㌦等の使われ方次第では貸し手だけでなく借り手も救済されるべく、インフレ期待を通じて【不動産価格】【長期金利】【賃料水準】が三つとも上昇するでしょう。かくして固定金利で住宅ローンを組んで土地建物を買っていた人は救われ、賃貸派の皆さんは賃料アップという形で収奪されることが予想されます。FXも株式も不動産も、相場変動で損をした人がいれば、得をした人もいる。金融は所詮その程度の虚業に過ぎないと謙虚に構えなければなりません。
野村證券がリーマン・ブラザーズの欧州部門のうち、Fixed Income部門(FXや国債などを取り扱うブローカー・ディーラー部門)には興味が無いかも知れないとの報道があります。
出来る限りこのFixed Income部門を核として各銀行がGood Bankを切り離す。不動産リスクを背負い込んだBad Bankは整然と破綻処理を進めてもらう。モラルハザードをなるべく回避(経営責任と株主責任は利得の範囲内で取らせる)。無リスク金利でしか運用させてもらっていないインターバンク市場は国債と同じ信用リスクのインフラであるという本来の姿を取り戻す。。。Fixed Income部門でCDOが組成されている等、実務上難しいところはあるのでしょうが、FX業者の社長としては精一杯のポジショントーク?否、正論であります。
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