2008年9月23日火曜日

再び、投資銀行っていったい何ですか?

●野村ホールディングス、リーマンブラザーズのアジア部門を買収(9/22各紙)
英系2社(バークレイズ銀行とスタンダード・チャータード銀行)との三つ巴の争いの末。買収金額は2.25億㌦(5千万㌦の暖簾代が含まれる)。

一方、
●三菱東京UFJ、モルガンスタンレー株の20%を取得へ(9/22各紙)
この報道を受け、モルスタ株はニューヨーク朝イチ急騰するも、ほぼ行って来いの展開。

昨夜は、金融株が急反落。ドル安、原油高となりました(勿論、貴金属も高い)。金融株の中で印象的だったのは《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》JPモルガン・チェース株の暴落。

長年、筆者の相場見通しは、当たるのに時間が掛かりすぎると批判をされてきました。だいたい2ヶ月早過ぎるのです。米国の展開の速さのお陰で、ドル安商業銀行の株安も意外なスピードで当たってしまいました。

問題は、米国ほど展開が速くない経済圏が依然として存在すること。大陸欧州と英国がそれです。先程、JPモルガン・チェースのことを《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》と申しましたが、此れ即ち欧風のユニバーサル・バンキングに他ならない。《証券》が《銀行》より破綻させやすいのは、預金保険機構に守られた退屈な調達手段に頼れないことだけでなく、有価証券~証券化商品を含めより広範囲に時価会計に晒されている宿命によるところが大きいと言えます。

さて、《証券》≒《投資銀行》の筈ですが、既に巨大な証券会社の機能を持つ三菱と野村が《投資銀行》機能取得に懸命なのは何故でしょうか?M&A仲介・助言、株式引受、証券化、、、これらの機能強化が狙いでしょうか?これら手数料ビジネスが競争激化で成り立たなくなり、「レバレッジを効かせて資金をお付けするので、どうかひとつM&Aにも噛ませてください」流の商売しか出来なくなったのが、ブローカーだった筈の証券会社が(銀行なのか証券なのか判然としない)『投資銀行』に変貌せざるを得なかった理由なのでは?リーマン⇒ライブドア⇒ニッポン放送にしても、BNPパリバ⇒アーバン・コーポレイションにしても、ブローカーとしての販売能力が評価されているわけでは全くなく、情報とか知恵の対価として手数料を稼ぐ伝統的な投資銀行部の仕事を大きく逸脱しています。投資銀行業務の超過利潤の源泉が人材でもなければブランドでもない。そして勿論バランスシートでもないという現実を吟味したうえで作業に入ってもらいたいものだと、三菱と野村には期待します。
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