●スウェーデン・クローナ、対ユーロで史上最安値(10/16FT)
バルト海沿岸諸国への貸出“Baltic exposure”の多さ、失業率の急増が懸念されていると。
●ハンガリーとウクライナ、IMF等に支援要請-アイスランドの二の舞を演じたくない?(10/16FT)
ハンガリーに対してはECB(欧州中央銀行)が50億ユーロの信用枠を設定。過去15ヶ月の信用収縮“credit crunch”のなかで、IMF(国際通貨基金)のような多角的機関“multi-lateral agency”が大陸欧州の国家を救済する動きは初めて。信用に餓えた市場“credit-starved markets”から資金繰り難に陥っている債務国の危機の深刻さを象徴しているとFT紙。ウクライナの株式は年初来80%値を消している。
資本を輸出している国だから投融資が焦げ付いて駄目。資本を輸入している国だから投融資が引き上げられて駄目。というのでは、為替の下落の説明にはなりませぬ。世界金融危機という言葉。米国発という枕詞がしばしば付けられております。その米国自体は、通貨ドルが日本円以外では最も堅調であるという皮肉な現象。リーマンショック以降1ヶ月間書き続けた私の捻くれた貿易理論でないと説明がつかないのでは。
多角的multilateralの反対語が一方的unilateral。自分勝手な、とも意訳されるこの単語。ブッシュ大統領率いるネオコン政権の形容詞として随分頻繁に使われて来ました。昨日ブログに書いたスイスの公的資金案はunilateralの局地でもあります。
unilateralな周辺国の政策にspeedyに対抗したイギリスのブラウン首相は、支持率が急回復しているとのこと。世界中の報道機関や経済専門家は略一様に「米国発の危機なのに、米国の対策が一番遅くて中途半端だ」という論調。いまさらモラルハザードが、何て言っているのは地球上で私だけかも知れません。が、ヨーロッパ諸国がモラルハザード問題を強引に無視してunilateralな政策を競うように公的資金をばら撒く最大の理由はuniversal bankingの国(銀行と証券の兼営が堂々と許される国)においては、自己投資で失敗しても自業自得である筈の事業部門が社会インフラとしての商業銀行部門を人質に取っているからです。銀行と証券の兼営を禁じた米国1934年及び1935年証券法(いわゆるグラス・スティーガル法)が撤廃されグラム・リーチ・ブライリー法に切り替わったもののインフラ整備が対応し切れていない米国との決定的な差になっています。
こんなことを言うと、証券村のなかで村八分にされるでしょうが、私は旧証券取引法65条(現金商法34条)には20年間一貫して反対です。しかし、投資銀行業務と似て非なる自己投資部門で穴を開けた責任を取らせず、血税に責任を取らせるためでは全くありません。ファイアーウォールを置くべき場所は、銀行と証券の間ではなく、銀行証券(投資サービス業)と自己投資業との間であるべきだと考えるからです。
2008年10月17日金曜日
2008年10月16日木曜日
ユーロ参加へ。デンマークと貿易依存度
今朝の日経1面に「デンマーク、ユーロ参加検討」とあります。
マーストリヒト条約の批准を真っ先に国民投票で否決し世界を驚かせたデンマーク。ユーロ圏入りについても同様に否決されており、同国の通貨はデンマーククローネとして流通しています。
日経新聞は、「デンマークは財政規律や物価安定などのユーロ導入に必要な基準を満たしており、国内の承認が得られれば導入はほぼ確実だ」と報じています。また、同国は農業国でもあり農業の生産性が非常に高いことでも知られています。しかし、貿易依存度が高い小国であることも事実です。
世界各国の貿易依存度の推移
現在のユーロ加盟国よりも物価・財政の優等生で国内経済の基礎的条件が整っているデンマークですら、同国首相をして「ユーロ圏外に留まるコストが大きくなっているのは明らかだ」と語らしめる世界金融危機。アイルランド(これはユーロ採用国)やアイスランドよりは農業の生産性は高いのですが、貿易依存度が高い加工貿易立国において為替の適正水準が市場の暴力に翻弄されざるを得ないという例は続きます。
●韓国ウォン、1日で10%弱も下落(10/15FT)
異常な下落率は11年振り。「これは『暗黒の木曜日』ではない。『血みどろの木曜日』だ」と地元高官。
貿易構造にはそれぞれ違いはありますが、昨夜たった3時間で20%も下落した南アフリカ(ランド)。ほかにもハンガリー(フォリント)など、小国の通貨が地滑り的に狙い撃ちにされているのは、巷間言われている経済悪化や外国資本依存だけでは説明がつきません。米ドルの日々の調達が難しいので、苦肉に策としてスポットで米ドルに交換せざるを得ない状況と、繰り返し申し上げている加工貿易モデルの小国の為替の適正水準は翻弄されやすいという二つの要因を見逃してはならないのです。
時に、際限ない銀行資本注入と各国中央銀行協調による米ドル供給により米ドルのスワップ市場(≒日々の資金調達)は急速に回復していることにメディアはもっと注目すべきです。ユーロ通貨もそうなのですが、金融危機の震源地に近い筈の米ドルやユーロが日本円以外の通貨に対しては下落率が大人しかった特殊要因が剥がれ始めているとすれば、次のシナリオは本格的な米ドル安かも知れないのです。
●スイス政府、UBSの不良債権(約6兆円)を買取。更に資本注入(約5500億円)(10/15WSJ)
同じ非同盟中立とは言え、アイスランドとスイスでは随分違うもの。さすがスイス、と思う反面、本当にこれで良いのか・・・
マーストリヒト条約の批准を真っ先に国民投票で否決し世界を驚かせたデンマーク。ユーロ圏入りについても同様に否決されており、同国の通貨はデンマーククローネとして流通しています。
日経新聞は、「デンマークは財政規律や物価安定などのユーロ導入に必要な基準を満たしており、国内の承認が得られれば導入はほぼ確実だ」と報じています。また、同国は農業国でもあり農業の生産性が非常に高いことでも知られています。しかし、貿易依存度が高い小国であることも事実です。
世界各国の貿易依存度の推移
現在のユーロ加盟国よりも物価・財政の優等生で国内経済の基礎的条件が整っているデンマークですら、同国首相をして「ユーロ圏外に留まるコストが大きくなっているのは明らかだ」と語らしめる世界金融危機。アイルランド(これはユーロ採用国)やアイスランドよりは農業の生産性は高いのですが、貿易依存度が高い加工貿易立国において為替の適正水準が市場の暴力に翻弄されざるを得ないという例は続きます。
●韓国ウォン、1日で10%弱も下落(10/15FT)
異常な下落率は11年振り。「これは『暗黒の木曜日』ではない。『血みどろの木曜日』だ」と地元高官。
貿易構造にはそれぞれ違いはありますが、昨夜たった3時間で20%も下落した南アフリカ(ランド)。ほかにもハンガリー(フォリント)など、小国の通貨が地滑り的に狙い撃ちにされているのは、巷間言われている経済悪化や外国資本依存だけでは説明がつきません。米ドルの日々の調達が難しいので、苦肉に策としてスポットで米ドルに交換せざるを得ない状況と、繰り返し申し上げている加工貿易モデルの小国の為替の適正水準は翻弄されやすいという二つの要因を見逃してはならないのです。
時に、際限ない銀行資本注入と各国中央銀行協調による米ドル供給により米ドルのスワップ市場(≒日々の資金調達)は急速に回復していることにメディアはもっと注目すべきです。ユーロ通貨もそうなのですが、金融危機の震源地に近い筈の米ドルやユーロが日本円以外の通貨に対しては下落率が大人しかった特殊要因が剥がれ始めているとすれば、次のシナリオは本格的な米ドル安かも知れないのです。
●スイス政府、UBSの不良債権(約6兆円)を買取。更に資本注入(約5500億円)(10/15WSJ)
同じ非同盟中立とは言え、アイスランドとスイスでは随分違うもの。さすがスイス、と思う反面、本当にこれで良いのか・・・
2008年10月15日水曜日
格差だけでなく「相場も作られている」
ポール・クルーグマン『格差は作られた』の真骨頂は、
「ここ数十年の米国の格差拡大の原因が経済のグローバル化によるものでは必ずしもなく、黒人差別に起因する。そして共和党レーガン政権こそ、黒人という言葉を直接使わずに巧みに黒人≒虐げられた貧困層を一層虐げる黒人差別政策を正当化し実現化した」
という部分です。クルーグマン教授自身はレーガン政権の経済諮問委員を務めたことがあるのですが。
氏の最新の著書で具体名は明かされていないのですが、『格差は作られた』を読む限り、クルーグマン教授の立場はオバマ候補支持と見て良いと思われます。
そんなクルーグマン教授をして、ノーベル経済学賞受賞直後に「大筋でOK」(10/14CNN)と言わしめたポールソン財務長官の米銀救済策。リーマン・ショックから約1ヶ月が経とうとしている中、いまだ腑に落ちない点を挙げてみると、
★ポールソン長官の7000億㌦公的資金投入案。「政府による市場介入は少ないほうが良い」ネオコン仲間の代表者ブッシュ大統領を如何なる論法で説得したのか?
否、その前に、
★「リーマンだけは特殊。財務の体質も経営の品格も極端に酷かった。救う価値が無かった」と例外的に扱ったとしても、遙かに体質が良かった筈のゴールドマン・サックスのCDSも10%近くまで跳ね上がり、結局は公的資金を強制注入される始末。ポールソン長官ほどの頭脳+戦略+情報(≒人脈?)があれば、出身母体が被る火の粉は想定出来たと私は思う。何故に単純破綻処理を採用して市場を驚かせたのか?
次は、再出ですが、
★上記ポールソン長官の7000億㌦法案。ブッシュ大統領を説得。オバマ、マケイン両党候補をも一枚岩にさせておいた直後の、下院採決での共和党議員の大量造反。マスコミや専門家の多くが言っている「下院選挙前の特殊事情」または「ブッシュ政権末期のダッチロール(レームダック)状態で、大統領自身が求心力を失っている」という見方は正しいのか?
繰り返します。筋書きのないドラマを演ずるほど、米国の保守勢力が柔じゃない。想像を絶する資金力と影響力があると思われます。
★7000億㌦の使われ方。特に、法案修正で議論が喧しかったのが公的資金を使用した(恐らく資本注入と不良債権買取の両方を含む)銀行の経営者に対する「報酬制限」
過去20年、我が国の銀行経営と金融行政を“体感”してきた身としては、長銀・日債銀の経営者の逮捕⇒起訴⇒私財に及ぶ損害賠償請求。しかも、不良債権を作ったときの経営者ではなく、引き継がされた負の遺産を隠さざるを得なかった経営者を、です。米銀経営者の報酬制限と聞くと、殺人犯が罪状認否で「私がヤリました。間違いありません」という裁判が、本来なら死刑か無期懲役かを争うべきところ、禁錮か罰金かを争っているようにしか思えない!そんなアンバランスな議論で世界中のマスコミも専門家も同盟国首脳も市場も必要以上に踊らされはいませんか?
「過去20年」だ何て言うと後ろを振り返り過ぎではないかと思われるかも。1985年のプラザ合意後の円高デフレ(資産バブル)期、我が国の都市銀行は未曾有の利益をあげていました。活発な不動産融資と市場関連収益。しかし一方で、同時に進行していた金融自由化(⊃金利自由化)で伝統的ビジネスモデル≒間接金融依存の世の中は時価発行増資の普及やコマーシャルペーパーまたは大口定期預金の解禁等で間違いなく蝕まれていたのです。当時、日経新聞を読み始めていた私が不思議でならず、未だに不思議なのが、どの都市銀行も“仲良く”株式含み益を実現しては払わなくても良いはずの法人税を喜んで払っていたこと。まともな経営者なら、金融自由化(⊃金利自由化)対策でビジネスモデルの転換やリストラに備えるか、またはその経費が嵩む時期まで含み益を温存し、無駄な法人税を払わないという判断をしたと思われます。実際、そんな判断をした銀行はなく、業界一斉に益出し+余計な税負担を行なったというのは、単に護送船団の横並びでは説明が付かないものを感じます。思うに、都市銀行やメガバンクの役員には余程の人格者か余程の悪党でなければなれない、ってことは端折ると市井人には見えざる手で非合理的な経営判断を押し付けられたと察するのです。
財金分離の見直し論が何処からともなく聞こえてくる昨今。私にとって古くて新しい疑問を何故読者の皆さまにご紹介するのか?現在の米国の保守政治と金融業界(特に大手。含む旧投資銀行)との関係も曰く言いがたい密室の持たれ合いという切り口を持たないと、上記の疑問点が解決できないからなのです。
七転び八起きブログは、経済教室でもなければ政治暴露ブログでもないのですが、単純に、
銀行救済⇒円安
銀行破綻⇒円高
ではこの先は間違ってしまうと思われます。格差容認、自由放任の米国保守勢力が何故に変節し市場介入を演じているのか。今日はこれから、角川書店さんの『月刊ビジネスアスキー』+『マネージャパン』共同企画第5弾の収録で、大阪大学社会経済研究所のチャールズ・ユウジ・ホリオカ教授と対談します。クルーグマン教授にノーベル賞が渡ってしまったので、ホリオカ教授の受賞はちょっと先になってしまいそうです^^;が、「経済学の7不思議のひとつ」の呼び声高いフェルドスタイン=ホリオカ論文は世界中の経済雑誌で最も頻繁に引用されているもののひとつ。国際貿易金融の分野ではクルーグマン教授に勝るとも劣らない成果をあげておられ、我が国では貯蓄理論の分野で第一線の研究者として、日系アメリカ人では最もノーベル賞に近い学者です。クルーグマン教授とは異なる角度で日米政権やIMFの中枢をご覧になって来られたホリオカ教授に、本日の★疑問★をぶつけてみようと思っております。
「ここ数十年の米国の格差拡大の原因が経済のグローバル化によるものでは必ずしもなく、黒人差別に起因する。そして共和党レーガン政権こそ、黒人という言葉を直接使わずに巧みに黒人≒虐げられた貧困層を一層虐げる黒人差別政策を正当化し実現化した」
という部分です。クルーグマン教授自身はレーガン政権の経済諮問委員を務めたことがあるのですが。
氏の最新の著書で具体名は明かされていないのですが、『格差は作られた』を読む限り、クルーグマン教授の立場はオバマ候補支持と見て良いと思われます。
そんなクルーグマン教授をして、ノーベル経済学賞受賞直後に「大筋でOK」(10/14CNN)と言わしめたポールソン財務長官の米銀救済策。リーマン・ショックから約1ヶ月が経とうとしている中、いまだ腑に落ちない点を挙げてみると、
★ポールソン長官の7000億㌦公的資金投入案。「政府による市場介入は少ないほうが良い」ネオコン仲間の代表者ブッシュ大統領を如何なる論法で説得したのか?
否、その前に、
★「リーマンだけは特殊。財務の体質も経営の品格も極端に酷かった。救う価値が無かった」と例外的に扱ったとしても、遙かに体質が良かった筈のゴールドマン・サックスのCDSも10%近くまで跳ね上がり、結局は公的資金を強制注入される始末。ポールソン長官ほどの頭脳+戦略+情報(≒人脈?)があれば、出身母体が被る火の粉は想定出来たと私は思う。何故に単純破綻処理を採用して市場を驚かせたのか?
次は、再出ですが、
★上記ポールソン長官の7000億㌦法案。ブッシュ大統領を説得。オバマ、マケイン両党候補をも一枚岩にさせておいた直後の、下院採決での共和党議員の大量造反。マスコミや専門家の多くが言っている「下院選挙前の特殊事情」または「ブッシュ政権末期のダッチロール(レームダック)状態で、大統領自身が求心力を失っている」という見方は正しいのか?
繰り返します。筋書きのないドラマを演ずるほど、米国の保守勢力が柔じゃない。想像を絶する資金力と影響力があると思われます。
★7000億㌦の使われ方。特に、法案修正で議論が喧しかったのが公的資金を使用した(恐らく資本注入と不良債権買取の両方を含む)銀行の経営者に対する「報酬制限」
過去20年、我が国の銀行経営と金融行政を“体感”してきた身としては、長銀・日債銀の経営者の逮捕⇒起訴⇒私財に及ぶ損害賠償請求。しかも、不良債権を作ったときの経営者ではなく、引き継がされた負の遺産を隠さざるを得なかった経営者を、です。米銀経営者の報酬制限と聞くと、殺人犯が罪状認否で「私がヤリました。間違いありません」という裁判が、本来なら死刑か無期懲役かを争うべきところ、禁錮か罰金かを争っているようにしか思えない!そんなアンバランスな議論で世界中のマスコミも専門家も同盟国首脳も市場も必要以上に踊らされはいませんか?
「過去20年」だ何て言うと後ろを振り返り過ぎではないかと思われるかも。1985年のプラザ合意後の円高デフレ(資産バブル)期、我が国の都市銀行は未曾有の利益をあげていました。活発な不動産融資と市場関連収益。しかし一方で、同時に進行していた金融自由化(⊃金利自由化)で伝統的ビジネスモデル≒間接金融依存の世の中は時価発行増資の普及やコマーシャルペーパーまたは大口定期預金の解禁等で間違いなく蝕まれていたのです。当時、日経新聞を読み始めていた私が不思議でならず、未だに不思議なのが、どの都市銀行も“仲良く”株式含み益を実現しては払わなくても良いはずの法人税を喜んで払っていたこと。まともな経営者なら、金融自由化(⊃金利自由化)対策でビジネスモデルの転換やリストラに備えるか、またはその経費が嵩む時期まで含み益を温存し、無駄な法人税を払わないという判断をしたと思われます。実際、そんな判断をした銀行はなく、業界一斉に益出し+余計な税負担を行なったというのは、単に護送船団の横並びでは説明が付かないものを感じます。思うに、都市銀行やメガバンクの役員には余程の人格者か余程の悪党でなければなれない、ってことは端折ると市井人には見えざる手で非合理的な経営判断を押し付けられたと察するのです。
財金分離の見直し論が何処からともなく聞こえてくる昨今。私にとって古くて新しい疑問を何故読者の皆さまにご紹介するのか?現在の米国の保守政治と金融業界(特に大手。含む旧投資銀行)との関係も曰く言いがたい密室の持たれ合いという切り口を持たないと、上記の疑問点が解決できないからなのです。
七転び八起きブログは、経済教室でもなければ政治暴露ブログでもないのですが、単純に、
銀行救済⇒円安
銀行破綻⇒円高
ではこの先は間違ってしまうと思われます。格差容認、自由放任の米国保守勢力が何故に変節し市場介入を演じているのか。今日はこれから、角川書店さんの『月刊ビジネスアスキー』+『マネージャパン』共同企画第5弾の収録で、大阪大学社会経済研究所のチャールズ・ユウジ・ホリオカ教授と対談します。クルーグマン教授にノーベル賞が渡ってしまったので、ホリオカ教授の受賞はちょっと先になってしまいそうです^^;が、「経済学の7不思議のひとつ」の呼び声高いフェルドスタイン=ホリオカ論文は世界中の経済雑誌で最も頻繁に引用されているもののひとつ。国際貿易金融の分野ではクルーグマン教授に勝るとも劣らない成果をあげておられ、我が国では貯蓄理論の分野で第一線の研究者として、日系アメリカ人では最もノーベル賞に近い学者です。クルーグマン教授とは異なる角度で日米政権やIMFの中枢をご覧になって来られたホリオカ教授に、本日の★疑問★をぶつけてみようと思っております。
2008年10月14日火曜日
格差は作られた
●ノーベル経済学賞、ポール・クルーグマン氏に(10/13WSJ、FTほか)
昨日のブログ(とは言え、祝日はアクセス数が低いのですが^^;)で御紹介した『複雑系経済学入門』のなかで著者の塩沢由典氏はクルーグマンの著書『経済政策を売り歩く人々』(原題は「経済的センスとナンセンス」)を好著として紹介、クルーグマン教授を米国若手三指のひとりとして大活躍中の経済学者とベタ褒めしています。
実は日曜日に池袋ジュンク堂で購入したのが、菱山泉著『ケネーからスラッファへ』と同時にクルーグマン著『格差は作られた』(早川書房、2008年6月)でした。米国で深刻化する格差。その原因はグローバル化による途上国との競争が原因だから優勝劣敗は自己責任で仕方が無いものだと決め付けている規制緩和論者に対して、ブッシュ政権に象徴される白人、もっと言えばWASP、更には一握りの既得権益を有する超金持ちの独り勝ちを確実にするための屁理屈に過ぎないと看破。中流破壊と絶望的格差の根源が黒人差別にある、と主張する本です。これだけ言うと、何だか朝日新聞の記者がジャーナリスティクに書いた本みたいですが、平易な文章ながらも数字と論理を緻密に積み上げた研究成果だと言えます。
そのWASPの金融版権化と言えるモルスタ。ブッシュ政権の目の黒いうちは大丈夫と思いつつ、フェニックス証券のFXのカバー先(カウンターパーティ)のひとつなので一抹の不安もありましたが、
●三菱UFJ、モルスタへの払込を完了(10/13WSJ、FT)
払い込まれた金額は予定通り90億㌦。
モルスタ株の急落により条件見直しが注目されていました。以下は私見ですが、モルスタ側(WASP?)としては日系企業の議決権は20%程度に留めたいという気持ち。三菱UFJ側としては、株価下落を反映せずに議決権割合(シェア)が調整されないというのでは株主代表訴訟に耐えられないという気持ち。両者の利害が一致して、出資形態は根本的に見直され、優先株(うち大半が普通株への転換権付)で配当利回り10%となったのだと察します。
三菱がモルスタを戦略的にどうしようということはひとまず措き、ショッピングとしては絶妙。生命線を握りながらのファイナンスはハゲタカビジネス同様、成功する筈。
敢えてどの局とは言いませんが、似非ポピュリストのニュースキャスターが「三菱には金だけでなく口も出して、日本の金融機関の存在感をアピールして欲しい」と言ってますが果たして如何なものでしょう?北朝鮮テロ支援国家解除を寝耳に水で聞かされつつ、アフガン・イランという遠方での紛争戦争でミカジメ料をふんだくられ続ける我が国。これら全てにWASPの利害が絡んでいる以上、日米関係の手綱を引くのはそう簡単なことではないでしょう。
●ポールソン財務長官、主要銀行トップをワシントンに呼びつける(10/13WSJ)
バンカメ、JMモルガンC、GS、モルスタ、シティが含まれる。
●米財務省、米国の主要9銀行に総額2500億㌦の公的資金注入を決定(10/14WSJ)
以上2本は臨時ニュース。
昨日のブログ(とは言え、祝日はアクセス数が低いのですが^^;)で御紹介した『複雑系経済学入門』のなかで著者の塩沢由典氏はクルーグマンの著書『経済政策を売り歩く人々』(原題は「経済的センスとナンセンス」)を好著として紹介、クルーグマン教授を米国若手三指のひとりとして大活躍中の経済学者とベタ褒めしています。
実は日曜日に池袋ジュンク堂で購入したのが、菱山泉著『ケネーからスラッファへ』と同時にクルーグマン著『格差は作られた』(早川書房、2008年6月)でした。米国で深刻化する格差。その原因はグローバル化による途上国との競争が原因だから優勝劣敗は自己責任で仕方が無いものだと決め付けている規制緩和論者に対して、ブッシュ政権に象徴される白人、もっと言えばWASP、更には一握りの既得権益を有する超金持ちの独り勝ちを確実にするための屁理屈に過ぎないと看破。中流破壊と絶望的格差の根源が黒人差別にある、と主張する本です。これだけ言うと、何だか朝日新聞の記者がジャーナリスティクに書いた本みたいですが、平易な文章ながらも数字と論理を緻密に積み上げた研究成果だと言えます。
そのWASPの金融版権化と言えるモルスタ。ブッシュ政権の目の黒いうちは大丈夫と思いつつ、フェニックス証券のFXのカバー先(カウンターパーティ)のひとつなので一抹の不安もありましたが、
●三菱UFJ、モルスタへの払込を完了(10/13WSJ、FT)
払い込まれた金額は予定通り90億㌦。
モルスタ株の急落により条件見直しが注目されていました。以下は私見ですが、モルスタ側(WASP?)としては日系企業の議決権は20%程度に留めたいという気持ち。三菱UFJ側としては、株価下落を反映せずに議決権割合(シェア)が調整されないというのでは株主代表訴訟に耐えられないという気持ち。両者の利害が一致して、出資形態は根本的に見直され、優先株(うち大半が普通株への転換権付)で配当利回り10%となったのだと察します。
三菱がモルスタを戦略的にどうしようということはひとまず措き、ショッピングとしては絶妙。生命線を握りながらのファイナンスはハゲタカビジネス同様、成功する筈。
敢えてどの局とは言いませんが、似非ポピュリストのニュースキャスターが「三菱には金だけでなく口も出して、日本の金融機関の存在感をアピールして欲しい」と言ってますが果たして如何なものでしょう?北朝鮮テロ支援国家解除を寝耳に水で聞かされつつ、アフガン・イランという遠方での紛争戦争でミカジメ料をふんだくられ続ける我が国。これら全てにWASPの利害が絡んでいる以上、日米関係の手綱を引くのはそう簡単なことではないでしょう。
●ポールソン財務長官、主要銀行トップをワシントンに呼びつける(10/13WSJ)
バンカメ、JMモルガンC、GS、モルスタ、シティが含まれる。
●米財務省、米国の主要9銀行に総額2500億㌦の公的資金注入を決定(10/14WSJ)
以上2本は臨時ニュース。
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