2009年2月3日火曜日

BNPパリバ・ショック、再び

●資金流出の懸念-中国(2/2ITH)
中国国民が海外送金で資産を逃避させる動きや、中国国内に投資していた海外資本が一転引き揚げる動きが加速していると報じています。

●出稼ぎ農民の7人に1人が失業-春節後の中国(2/2FT、IHT、WSJ、日経)
暴動が起きてもおかしくない状態だとFT紙。社会不安が、資本逃避の一因だとは上記IHT紙。

資本逃避の最大の犠牲者は、東欧や中央アジアかも知れません。

●カザフスタン、国内最大の銀行を国営化へ(2/2FT)
国営化後、ロシアの国営貯蓄銀行への売却も検討だとか。本件で解任される銀行の会長は、野党立ち上げに関与したり、汚職の疑惑で、7年前に逮捕された経験を持つ。銀行会長復帰後も、政治活動は禁止されていたとか。

いわゆるBNPパリバショック(2007年8月)の時点では、カザフスタンの銀行全体で450億㌦以上もの海外資本を調達していたそうです。理由は、国内の預金や借入よりもコストが安かったから。昨年12月ひと月だけで、海外資本の引き揚げと預金の取りつけ騒ぎ、そしてやむを得ず進んだ貸し剥がしで、カザフスタンの銀行全体で1.54億㌦の純損失を招いたとされます(上記国営化のために投与される公的資金は20.6億㌦)。

BNPパリバと言えば、

●不正利益没収へ-アーバン問題で日証協、過怠金10億円超も(2/3日経)
業務改善命令に留めた金融庁よりも自主規制機関の処分のほうが厳しくなった点に、日経は着目。

ちなみに、私の着目点は「外部検討委員会という仕掛けまで作ったのに、金融庁の業務改善命令を免れなかったのは、●●●●の力不足だ」とトップを批判する下々の金融リテラシーの低さ。過怠金云々ではなく、かつてのシティバンク同様、日本から退場命令が下される程度の悪質な事犯だという認識は、証券六法を読んだことがあるかないかの問題ではなく、証券会社の役職員として肌で感じなければいけない常識。実行犯本人は論外として、そこに牽制すべき法務、監査のイノセンスこそ、セレブな勤務環境や報酬に値しない。
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2009年2月2日月曜日

双子の赤字、ニッポン

●温家宝総理、更なる景気刺激策を約束(2/1FT)
昨年暮にぶち上げた4兆元(約60兆円)の財政パッケージに加え、新たな対策を検討。国内経済を刺激し、個人消費に火をつけたい、とFT紙の独占インタビューで。だからと言って、「中国国内に淀む莫大な貯蓄が世界金融危機の一因だ」という馬鹿げた非難には一切与しない、と。

景気刺激の方法として、人民元の切り下げをハッキリとは否定しなかったものの、中国政府が人民元相場を「均衡のとれた妥当な水準」に保つべく努力してきたことを強調。「多くの人々はこの点に気づいていない。もし人民元がグローバル市場に翻弄され(ユーロ/ドルやポンド/ドルなどのように-筆者注)ジェット=コースターみたいな乱高下をしていれば、事態はより深刻だったであろう」と語った。

「今後も米国債を買い続けるか?」というFT紙記者の質問にはハッキリと返事せず。「外貨準備は国内需要刺激のために必要。一方、そのためには既存のドル建て資産の価値を維持しなければならない」。

これこそが、日経CNBCにて申し上げた、中国政府の外貨準備にまつわるジレンマです。ちなみに温総理は、IMFや世界銀行への融資目的で外貨準備を使ってほしいという世界の期待に応えるつもりはないとピシャリ。これら国際機関(という名の米国傀儡組織-筆者注)の組織改革が先だろうと語った。

日経CNBCと先週のオンラインセミナーでお伝えしたもう一つのメッセージは、

「中国は、景気刺激のための財政ばらまき政策が効果的かつ実効性が高い、世界で唯一の国」

であるということ。財政赤字、貿易赤字、家計赤字の国では、ばらまき政策は高インフレを起こすだけ。これを機会に生活水準を見直すしかないのです。日本は米国に近いでしょうか?中国に近いでしょうか?直近は、家計以外の二つは赤字。いわゆる双子の赤字に陥っています。

2009年の為替を見通すために、人民元VS米ドルは、難しいながらも重要な視点。この機会に是非、

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を是非お読みください。

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2009年1月30日金曜日

為替操作国呼ばわりされた中国と偽ドル工場呼ばわりされた北朝鮮

●為替操作国と名指された中国、米国新政権に対して、最大級の非難-欧州外遊中の温総理(1/29FT)
ダボス会議出席をはじめとする欧州各国歴訪で、自国に次ぐ世界2番目の輸出大国ドイツを訪れた温家宝総理。メルケル首相との対談後の記者会見で「人民元政策は市場のニーズに合致したものであり、柔軟性に富んでいる。

先週、ガイトナー米財務長官が、長年の“タブー”を破り、中国に対して、輸出を保護するために人民元を人為的に操作していると批判したことに対する声明。世界の為替相場がジェット・コースターのようなボラティリティに晒されているが、それが中国のせいにされるとはけしからん、と。

ところで、温首相が訪ねたドイツは、ほんの20年弱前までは半分は共産圏でした。2月号のFACTA(月刊:ザ・ファクタ)で、人気コラムを連載中の手嶋龍一さんは、東ドイツ出身の欧州中央銀行(ECB)政策担当者をベルリンまで訪ねてきた北朝鮮高官が、

「わが朝鮮民主主義人民共和国が偽ドルを刷っていると中傷するものがいる。笑わせてはいけない。偽ドルというが、ニクソン・ショックで金とドルの兌換をやめてしまったドル紙幣のどこがホンモノだと言うのか」

と語ったという話を伝え聞いたと書いておられます。偽物のようなホンモノ、ホンモノのような偽物。このテーマは、昨年来、当ブログで追っかけていたものですが、北朝鮮高官の「不換紙幣自体が偽物」発言はさすがに詭弁。しかし、通貨とは何ぞや?不換紙幣とは何ぞや?基軸通貨とは何ぞや?なかなか痛いところを突いた、見事な詭弁です。

西側社会への意外にも太い地下水脈、贋金作りという大罪を平然と弁護する詭弁能力。勿論、皮肉で申し上げているのですが、北朝鮮の国力はあなどれないと感じます。

【本日最大のニュース】
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2009年1月29日木曜日

意外とミーハーな私【号外】

只今、打ち合わせ先から銀座線で会社に戻ったのですが、日本橋で地下鉄から降りたところ、福井日銀前総裁が乗り込んでこられました。先方は、高島屋の買い物袋を持っておられ、当方は、フェニックス証券謹製のエコ・バックを偶然持っていたので、「これからはコチラをお使い下さい」と差し出そうかと一瞬考えましたが、どうしても直ぐにトイレに行きたかったので諦めました。

福井前総裁を間近に拝謁するのは実に17年振り。初回である前回は、福井氏が日銀理事として金融制度審議会に出席されていたとき。大蔵省(当時)の一室で、色んな人が色んなことを言うのですが、その中で福井理事(当時)の発言は断トツに切れ味があったのを今でも覚えています。

果たして、グリーンスパン氏が五番街で買い物をしたあと、地下鉄で家に帰るでしょうか?細かいことを言うときりがないですが、日本は良い国だと一瞬思った、夜の一こまでした。速水総裁の時期の議事録が公開され始めています。そのうち、福井総裁時期のも詳しくわかるわけで、とても楽しみですが、そのころは日本は景気が回復しているのでしょうか?わたしは、日本の景気回復は、中国より遥かに遅く、米国にすら先を越されると見ています。短期=円高、長期=円安。そのココロは、是非、『“為替力”で資産を守れ!』を御笑読ください。
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