2008年6月11日水曜日

インフレ“のど自慢”

●露ガスプロム社、原油価格は来年250㌦に達すると予言(6/10FT、WSJ)

IEA(国際エネルギー機構)の主張「アジアを中心とする石油需要を抑え込むことで世界全体の需給バランスを整えるには、記録的な価格の高騰は必定であり必要であった」と平仄を合わせるもの。

一方、先日お伝えしたジョージ・ソロス氏のように異なる立場を取る向きも少なくない。

一日に10%近くも乱高下する相場が、投機のせいではなく実態経済に即したものだだと言い切るのは違和感を感じます。

●「Libor改革」は混乱を招くだけ-銀行側が警告(6/10FT、WSJ)
銀行の貸出やデリバティブの契約書で日々の参照金利となっているLibor(ロンドン銀行間貸出金利)。短期金利のベンチマークとして【特に米ドルLiborが】正確でないという批判に応え、ニューヨーク市場が開いたのちに新たな米ドルLiborを指標化しようというアイデア

銀行側は「ダブル・スタンダード」は混乱のもとだと非難。調達金利の上昇による経営逼迫を避けたいというポジショントークであることは明らかですが。

先週から今週にかけて乱高下を演じたユーロ・ドル相場。

突然ですが、為替の話です。先程のLiborで、ロンドン市場で貸借される米ドルのことは昔はユーロドルと呼ばれていましたが、現在はヨーロピアン・ドルと言うそうです。これはややこしい!

「うちの国(経済圏)のほうがインフレが懸念されるぞ」と市場参加者を驚かせたほうが、金利上昇という経路を辿って、自国通貨が防衛されるという一言に尽きます。

インフレを自慢したほうが、通貨の威信が保てるというのは、何だか変じゃないでしょうかねぇ?
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2008年6月10日火曜日

新興国の新興市場

●英国ヴェダンタ社、インドへの投資を拡大ー4年間で200億㌦(6/9FT)
IT産業でカースト制度の壁をぶち破りつつあるインドは世界有数の資源国でもある。石炭(世界3位)、鉄鉱石(4位)、ボーキサイト(6位)、アルミニウム(10位)、、、ところが、十分な投資が行なわれて来なかったためにインド国土の9割以上が未開発。

ヴェダンタ社のアニル・アガワル会長は、ロンドンをベースに世界的な鉱山会社を築いたインド人。世界最大の鉄鋼会社アルセロール・ミタル社のラクシュミ・ミタル会長と酷似。

88億㌦が、インド国内での鉱山開発に投下されるほか、発電・送電事業のために100億㌦活用の予定。

昨年、同社は三井物産からゴアの鉄鉱山を購入している。

インド系イギリス人と言えば、皆カレー屋さんかタクシー運転手だと思っている方。そのうちカレーも食べられなくなり、タクシーにも乗れなくなります。

●サファリコム社、IPOで鮮烈デビュー(6/9FT)
ケニアの携帯キャリア、東アフリカで史上最大の株式公開。約4倍のオーバーサブということもあり、初日、株価は50%上昇。

同社はケニアの携帯市場の80%以上を独占。このIPOで時価総額45億㌦は、ナイロビ証券取引所の時価総額の1/3に相当。

ケニア政府は25%株式を放出し、引き続き35%を保有。残りのうち40%はボーダフォングループが保有。

今年行なわれた選挙後の混乱からの立ち直りを国際社会に訴えるため、ケニア政府が同社のIPOを利用したとの説も。

●インドネシアのアダロ社、同国で最大のIPO(6/9FT)
インドネシア2番手の石炭会社、13.2億㌦を調達。6.57倍のオーバーサブは需要予測の81.3%が海外の株式投資家から来ていると。

インドネシアの国内企業の株式公開は、2007年は前年比6倍。通信会社のメディア・ヌサンタラ・チトラのIPOが最大だったが、今回は更にその3倍以上に規模。

●ガスプロム、米国企業を買収へ(6/9FT)
北米でもLNG(液化天然ガス)を売りたいと。

●シンセティックCDOの企業リスク版も、信用収縮の犠牲者か(6/9WSJ)

●MBIAとアンバックが保証を付けているRMBSをS&Pが格下げ(6/9WSJ)
対象は何と100億㌦以上。

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ソシアル・ブックマークの時代ですね_m(..)m_

2008年6月9日月曜日

バブルは何故繰り返されるのか?

週末、7(土)の正午過ぎ、NHKの衛星放送「地球特派員」という番組を見ました。米国のサブプライムローン問題について、小説家の江上剛氏が取材。コメンテーターとして藤巻健史氏、コーディネーターは金子勝氏。

元第一勧業銀行で、バブルの生成と崩壊、そして総会屋対策の当事者として銀行の浮沈を見てきたという江上氏。日本の金融のお手本だと言われてきた米国で、どうやら日本の不動産バブルよりも酷い事態が発生している。それをこの目で確かめたかったという江上氏が、いまだサブプライム問題は何処吹く風と嘯くニューヨークはマンハッタンの超高級マンションが主としてユーロ高で沸くヨーロッパの投資家、そしてオイルマネーを背景にした中東の投資家に驚くような値段で売られている現状。一方で、ロサンゼルス郊外やデトロイト周辺では家屋の差押の急増ぶり、シャッター商店街、テント住まいの家族が残酷に映し出されていました。

江上氏は、「日本の不動産バブルには勿論銀行も責任を負っているが、まだ銀行の貸出姿勢にはモラルがあった(!?)米国のサブプライムローンはモラルもへったくりもなかったのではないか。またそれを証券化して世界中に撒き散らすとは言語道断」と主張。

一方、元三井信託銀行、JPモルガンで伝説的ディーラーと呼ばれた藤巻氏は、「それでも米国は金融立国。何があっても金融という産業で生きてゆくという意識は磐石」と反論。

江上氏も、FEDの対応や、SWFからの増資受け入れなどに見るスピード感は羨ましいと溢す。

筆者は、日本の銀行経営の失敗の最大の原因は人件費を中心とするコスト構造にメスを入れられなかったからであると、20年前から思っています。

そして、これを総合企画部の末端係員時代にエリート幹部に事ある毎に繰り返し、嫌われ、苛められ、総合企画部の歴代最短記録の1年6ヶ月でクビになりました。その御蔭で、今日に至る証券業務に携わることが出来ました。

日銀と大蔵省の金融緩和政策と引き締めへの大転換、米国をはじめとする自己資本比率の規制や時価会計の強要、これらをひっくるめた米国陰謀説やユダヤ陰謀説は、大手銀行の「逃げ切り世代」にとっては言い訳にもならないでしょう。

また、不動産関連融資への傾斜は、リスク管理の幼さであるという主張も、リスク管理を高度化すれば銀行経営は健全になるという結論を引き出すという点で、くだらない議論のひとつです。

付加価値を失った人員、店舗、システムの経費をカバーするためには、リスクを感じつつも不動産にのめり込まざるを得なかったというのが正解です。

金融自由化と金利自由化で貸出先も減る、利ざやも減る。構造不況をいち早く認めるべきところ、「若手行員たちよ、知恵で乗り切り俺たちの退職金を稼いでくれ」というのは所詮無理なのです。証券業界を見てください。手数料の自由化が、証券会社の店舗や人員を不要にしていることは誰の目からも明らかなことです。

貸出先が減ったのなら、店を閉めるべきだったのです。これが「逃げ切り世代」には意思決定出来なかった。

FXを見てください。ドル円往復たった2銭は決してフェニックス証券だけではありません。20年前、筆者が銀行に入ったときは往復2円だったんですよ。

NHKの番組に話を戻すと、この程度の結論を導くために、ニューヨークまで飛行機を飛ばさないで欲しかった。というのが筆者の感想です。
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今週も頑張ります_m(..)m_

2008年6月6日金曜日

元祖サブプライム

ジョージ・ソロス氏、「商品市況は超バブル」と言い切る-米上院商務委員会で(6/4FT)
バブルが弾ければ、1987年10月のブラックマンデーの再現になる可能性も、と指摘。

反論もある。CFCTのデータでは、原油価格上昇に賭ける投機筋の板は48.5%減少し、建玉に占める投機的な買い玉の割合は2%に過ぎない状況で、1バレル120㌦を超えていった。すなわち実需だというバークレイズ銀行の見方。

一方、CFCTも実需が主因との立場を長らく保ってきたが、一転して投機的な動きを調査するとしたのは先日レポートの通り。

昨日の日経夕刊でも、WTI、北海ブレント、ドバイ各原油の差が縮んできた。そのきっかけがCFCTの調査開始の時期だというのがトップ記事でした。

●GMワゴナー氏、SUV偏重を擁護(6/5FT)
「『SUV(Sport-utility vehicle)等、ガソリンを喰う車種に売り上げを依存しすぎてきた米ビッグ3は馬鹿だった』という批判は間違っている」、とFTとのインタビューで応える。

曰く、「日本のメーカーだって、同じ間違いをしてきたじゃないか!」と2006年後半にテキサス州に建設したトヨタの新工場を引き合いに出し、語気を強める。

●アジア各国の中央銀行、インフレと対決(6/5FT)
インドネシア中銀は政策金利を8.5%(+0.25%)に引き上げ、前年同期比10.38%のインフレに対処。フィリピン中銀も政策金利を5.25%(+0.25%)への引き上げを、9.6%という9年来の高インフレに陥ったとの政府発表の直後に決定。

インド、マレーシアのいずれも今週石油価格切り上げを政策決定しており、利上げは時間の問題と見られる。

コアインフレを採用している台湾でさえ、CPIは3.23%と9年来の高水準。

●ヨーロッパのほうが「元祖サブプライム」の米国より信用収縮の悪影響が深刻なのに、、、(6/5FT)
資本増強額が少ないことは、欧州の銀行の資本増強が追加で必要となるか、または貸出抑制をしていかざるを得ないのではないかと、ワシントンに本部のある国際金融協会のレポート。

2007年初来の信用損失は、欧州の銀行が2000億㌦、米国の銀行が1660億㌦。対して、資本増強額は欧州が1255億㌦、米国が1410億㌦となっている。

米銀は、欧州その他にうまくババを掴ませたとFT記者。

元祖、と言えば、近年東京でも定着してきた名古屋グルメ。その代表格に、味噌カツ、天むすがあります。が、実はいずれも日本で最初に始めた店は三重県津市にあることは殆ど知られていません。何故「元祖」の称号を名古屋に奪われたかについては、諸説ありますが、三重県の人間は自己主張が下手糞だからという説をネットで見たことがあります。確かに、三重県はお茶の生産で全国トップ3なのに、その多くが京都宇治のブランドで売られる(OEM)なので存在感をアピール出来ていません。

筆者も三重県人なので自己主張が下手糞だということが言いたかっただけです。週末につき軽い話題で失礼しました。

【週末恒例の夕刊!?】ヨーロッパの豚々!?

皆さん、BRICsという言葉は良くお聞きになると思います。
新興国の中でも特に発展の著しい、ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字。
小文字のsを大文字のSにして南アフリカ共和国を加えることもあるようです。

では、PIGSというのはお聞きになったことはありますか?

ポルトガル、イタリア、ギリシア、スペイン。ユーロ圏の劣等生をこう呼ぶのだそうです!

BRICsを文字った欧州版のネガティブ・バージョンだ、と英エコノミスト誌(6/5)。

同誌は、今月1日に創立10周年を迎えた欧州中央銀行が、当初の心配を他所に、 特に現在のトリシェ総裁の強力なリーダーシップもあり、 通貨当局としては最高のパフォーマンスをあげていると絶賛。

一方で、インフレ・ファイターとしての辣腕ぶりに、PIGSは付いて行けないのではないかと案じています。

日本時間昨夜のトリシェ総裁の「7月は利上げ可能性ある」という驚きの発言。 ただし議事の中身には、一枚岩に綻びが出始めている部分も感じられます。

もう一丁、英エコノミスト誌(6/5)から。

「石油危機?そんなの関係ねぇ」(これ、直訳です!)

米国の自動車販売を壊滅させている石油価格も、ロシアでは何処吹く風。 有り余る天然資源。まだまだ上昇余地のある可処分所得。当然のことですね。

ちなみに、人口1000人当たりの自動車保有台数は、ロシアでは未だたったの200台前後。
西ヨーロッパは500強。米国に至っては800台前後なんだそうです。

良い週末を(oo)/、、、その前に米ドル高値圏での雇用統計。下振れ警戒です!!!
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