日曜日の日本経済新聞の朝刊、何と3頁目に外国為替証拠金(FX)取引のお話が堂々登場です。
手数料下げ競争、FX業者に警告 金融庁 採算悪化など懸念
「手数料」とありますが(対面取引中心の古色蒼然とした業者を除けば)手数料無料は当たり前(ついでにロスカットルールも)。日経の見出しは「スプレッド競争」を判り易くするために敢えて「手数料」という言葉を用いたのだと思われます。
スプレッド競争についての、「七転び八起き」の予てからの考え方は、コチラ。
“スプレッド偽装″
金融庁が、全額信託保全の義務化とレバレッジ規制に続き、矢継ぎ早にスプレッド規制にまで言及しようとしている理由として、
①「スプレッドはゼロ銭から」だとか「1銭固定」だとか宣伝している業者について、成り行き注文の実際の約定の値段が表示された値段と著しく違う(故意のスリッページが疑われる事例)が頻出しているとのクレームが金融庁に多く寄せられていたらしい・・・
②低スプレッドに見合うリスク管理の実態がないために、巨額損失を招いて、お客さまに返還すべき証拠金に手をつけたという事例が相次いだらしい・・・
などが考えられます。レバレッジ規制について、証券取引等監視委員会から金融庁への建議という異例の文書にも、その背景が読みとれます。
外国為替証拠金取引業者に対する規制のあり方に係る建議について
これまで、低スプレッド業者の殆どは高レバレッジをセット商品にして、「高レバ」「低スプ」競争を煽る比較サイトやアフィリエート等の“寄生虫”と結託することで、FX業界の勝ち組を装って来ました。
「低スプ」「高レバ」業者の反論も載せておかないと不公平でしょう。故意のスリッページを一旦措くとして、「お客様の注文が増えれば増えるほど、注文を一々外国銀行等にカバー(ヘッジ)しなくても、FX業者内で、より瞬時に売り買い相殺(社内マリー)のチャンスが高まる。よって、一時的な過当競争(採算の放棄)は長期的には投資回収が可能だ」という理屈。しかし、それなら遥かに多い注文数や出来高を捌いている大手銀行やECNと呼ばれるプラットフォーム会社(私設取引所と呼んでも良いでしょう)が、「低スプ」業者ほどスプレッドをタイトに出来ないことを説明できません。
お客様と業者が共存共栄できるための商品設計は、言うは易し、行うは難しのファインチューニング。外国為替証拠金取引そのものを外為法改正の徒花だと見下し一切合財否定する規制緩和批判も、それが銀行では未だに往復2円も払わされる外貨預金などの商品設計を擁護するための理屈だとすれば説得力はないでしょう。理想を言えば、スプレッド競争もレバレッジ競争も規制が入りこまないほうが良い。しかし、財務体力(それは基本的に注文から発生する手数料やスプレッド収益の積み重ねの筈・・・)に見合ったリスク管理が出来ているかどうか?故意のスリッページを収益源にしていないかどうか?という“瞬間芸”を検査や監督の現場に委ねるには、もう一段のルール作りが必要というのは残念ながら現実的だと言わざるを得ません。
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