新型コロナウィルスはアヘン戦争への復讐?
司馬遼太郎さんの「花神」の主人公村田蔵六(のちの大村益次郎)とやんごとなき関係となったシーボルトの娘イネと、長回しとしては四度目の登場シーンが、長崎上海間を往来する英国籍の便船(飛脚船)の船上です。
蔵六はイネの手に引かれて船長と面談します。てっきり英国人だと思い込んでいたら、実はアイルランド人船長だったというところから、
「イギリスが中国でやったアヘン戦争などは、アイルランドの例でいえばなんでもない。インドでやりつつあることも、すでに彼等がアイルランドで経験して味をしめたことが基礎になっている」
この船長が、大英帝国に対して、怒り心頭恨み骨髄で、堰を切ったかのごとく啖呵を切る、その一部です。司馬遼太郎さんの歴史観そのものではありません。なぜなら、司馬遼太郎さんは、アヘン戦争について何ページも割いて《伏線》を敷いているからです。
《伏線》を振り返れば、司馬史観としては、数々の帝国主義戦争のなかでも、アヘン戦争が特に悪質なものであったこと。さらにアヘン戦争が対岸に発した危機意識こそが幕末の尊王攘夷と佐幕開国の対立のエネルギーの源流であり、しかもその後の新政府と旧幕府の戦いが、往々にして自ずと植民地として列強に分割支配されがちになるところ、危機意識と胆力を兼ね備えた人物たちが奇跡的な活躍をして中国の二の舞を演ずることを食い止めた。とにかく、幕末期のリーダーたちがはぐくんだ危機意識の最大の貢献者がアヘン戦争による中国の惨状と犠牲だということが読み取れます。
人道的な戦場などあるはずがなく、その観点で戦争に優劣をつけることは出来ません。しかし、戦争の動機として、中国茶を消費し過ぎて膨れ上がった貿易赤字を帳消しにするために、インドで生産したアヘンを中国人に売り付け、シャブ漬けにした。この三角貿易という名の錬金術の目的は、ひとつにはアメリカ独立戦争への準備もあったと言われています。
これほど動機が不純な戦争がほかにあるだろうかと感想を抱いてしまいますが、今度はアメリカ独立戦争に続く米英戦争は原住民(アメリカインディアン)を対立させる典型的な代理戦争の鋳型に押し込んだものだったことにも敷衍しておきたいところです。
アングロサクソンがなるべく血を流さず富と利益を収奪するために、さもなければ憎しみ合う必要もなかった原住民を巻き込むという帝国主義戦争の構図こそが、今日でも未解決のアフリカや中東での民族対立や部族対立の原点です。
このブログは、気持ちとしては、これまで12年のあいだ一貫して、一面的なものの見方や、《陰謀説》のような「多くの事柄を簡単に説明できる《嘘》」を批判してきたつもりです。
新型コロナウィルスが、中国武漢市の海鮮卸売市場の蝙蝠(こうもり)からではなく、武漢ウイルス研究所から漏れた(漏らした)ものであるという《陰謀説》は、《陰謀説》にありがちな根拠ゼロとは言い切れず、イスラエルの(元)モサドや米国のCIAによる取材は相当程度なされていると思われます。
そのうえで、意図せず漏れたのか、意図して漏らしたのかでは、月とスッポンほどの違いになります。後者の可能性は著しく低いと言っておかないわけにはいかないでしょう。しかも、新型コロナウイルスについてはまだまだわかっていないことがたくさんあります。
そのうえで、、、
司馬遼太郎さん並みの、「事実関係を取材し尽くしたうえでの、事実とは無矛盾の虚構」を描くことが許されるなら、結果としてアングロサクソンの重症化率と致死率が高いウイルスは作られたものであり、150年の年月を臥薪嘗胆して、アヘン戦争の仕返しだったのではないかと。
3月から《連載》してきた新型コロナ通信では、随所で、現代中国の帝国主義的、自由と言論を抑圧する態度、そしてWHO(世界保健機関)との癒着を批判してきました。その延長で、アヘン戦争云々の《陰謀論》を説いているわけではありません。アヘン戦争の文脈の先には大東亜共栄圏があります。東アジア圏の感染率、死亡率が著しく低い(※)ことをもはや素通りできないのではないでしょうか。やや飛躍していますが、行間を読んでいただければと思います。
新型コロナウィルスに関するこれまでのブログのまとめ
新型コロナウイルスについてはまだまだわかっていないことがたくさんあります、と書きました。いまよりももっとわかっていなかった3月から書いてきたことは、当時としては異端で、ともすれば炎上しかねない内容ばかりでした。しかし、その後の各国の感染者数の推移、死亡者数の推移、ロックダウンの開始と中断、、、これらを冷静かつ公平に分析すれば、わたくしが申し上げていたことは首尾一貫していて、なけなしの情報から引き出した仮説として、現時点でも色褪せていないと自負します。
まだわかっていないことのひとつには、人種による違いは有意か?有意だとしたら理由はなにか?というのがあります。これがアヘン戦争陰謀論のヒントでした。
ほかにも、優先順位に従えば、他の疾患との関係、年齢層別、男女別、血液型別などで、統計上の有意が疑われていて、男女の罹患率の違いはXY染色体の違い(Y染色体が進化とともにどんどん短くなってきていること)にまでさかのぼる仮説も出てきています。
しかし、断トツに重要なのは、抗体と免疫についてです。これまでの連載では、ワクチンが利用できるようになるのには18か月程度はかかるだろうという情報を前提としていました。
これは早まるかも知れないし、遅くなるかも知れないですが、さらに悲観的に言えば出来ないかも知れないのです(治療薬は別)。
結論を先に言えば、ロックダウンを徹底させることのメリットは世に言われているほどではなくむしろデメリットのほうが大きいという主張は、この悲観論によりむしろサポートされるものです。
病原体に一度罹患したひとは二度と罹患しないという免疫システムは、抗体が(はしかのように)一生継続すること、抗体の遺伝子(タンパク質)が(抗体が対応しきれないほど)突然変異(≒進化)しないことが前提です。
ウィルスのなかには、インフルエンザウイルスのように、抗体の寿命がはしかよりも全然短いもの、ロタウイルスやノロウイルスのように寿命がゼロ(抗体が生まれない)のものもあります。
きょうのブログの投稿内容は、実を言うと、何週間も前から構想を練っていたものでしたが、WHO(世界保健機関)から優等生呼ばわりされてきた韓国とドイツがロックタウン明けに早くも第二波の兆候を見せている事実を確認して、公開に踏み切りました。
ロックダウンをしない、ソーシャルディスタンスも強く促さないスウェーデンが行っている社会実験を、ほとんどの日本人を含む人類の多くは興味本位に揶揄してきました。
しかし、現実に、二度罹るひとがいる(理由は突然変異体のせいか抗体の寿命のせいかそれら両方かはまだわかっていない)、専門家の間でも新型コロナウイルスの抗体寿命は半年から数年との言われ方であって、ほとんど何もわかっていないに等しい。これらを考えると、スウェーデンの社会実験は、果敢でありこそすれ、無謀ではないと言えます。
※(日本株)BCGの接種状況もまた新型コロナウィルスの重篤率、致死率に有意に働いていると考えられますし、以前このブログでも取り上げてきました。日本株を国民の義務として接種させているということで言うと、旧ソ連、イラク、ポルトガル、台湾が該当します。日本株に限定しないと、その範囲は、東欧、南米へと広がります。したがって、これだけでは、東アジア(つまり東南アジアの大半を含むがインドやインドネシアは含まれない)の優位性までは説明し切れません。
※※3月26日のブログ新型コロナの致死率と、トランプの我田引水の末尾に、
ワクチン開発スピードと、病原菌の突然変異(体のうち過去の免疫が機能せず新たな病原となる「株」の出現)のスピード、病原菌(原文ママ)の感染のスピード、、、これら3つの変数が鍵を握ります。
と書きました。これにもうひとつの変数として「抗体そのものの寿命」を付け加えるべきでした。お詫びして加筆訂正します。さらに、「病原体の感染のスピード」のなかには、感染はしたが無症状のまま抗体を獲得した人と接触はしたが感染すらしない(抗体を獲得する必要がない)人がそれぞれどのような割合でいるかというサブ要因があることを加筆します。ただし、抗体を獲得する必要がない人の割合についてはどこかで研究が進んでいるのかも知れませんがデータを入手できません。もっと厳密には、ある特定の個人が、環境とは無関係に、無症状で抗体獲得できる人なのか、抗体獲得不要の人なのか、をラベリングできるわけでもありません。
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