2008年8月28日木曜日

BNPパリバにヒアリング-金融庁、アーバン問題で【号外】

日本語ロイターがアーバン⇔BNPパリバのスワップという名の裏取引問題について総力取材を行なっています。

(前略)
スワップ契約を開示するべきか否か――。複数のアーバン側関係者によると、アーバン内部でも最後まで議論があった。CB発行の法的アドバイザーになった森・濱田松本法律事務所は、アーバンに対し少なくとも2回、スワップ契約を含むすべてを開示するよう促した。

 しかし、最後までスワップ契約の開示に反対したのはパリバだった、とアーバン側関係者は言う。市場関係者からは「開示してしまえば、パリバがヘッジ目的でアーバン株を売却しようとしても、パリバのポジションを先読みされトレーディング損を被る可能性があったためだろう」との見方も出ている。
(後略)

記事全文はこちら
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPnTK015405520080827

この点、丁度1週間前の8/21(木)朝にアップしました筆者ブログの記事

(前略)
今後は、裏取引の存在と内容について転換社債の発行⇒引受⇒払込と同時に適時開示するべきとして発行会社アーバンに指導しなかった(不作為犯)のか、適時開示をするなと指導した(作為犯)のか、が当局捜査の焦点になってくるでしょう。(後略)

と呼応している点に注目です。
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日の沈まぬ国から日出ずる国へ

フェニックス証券の主力カバー先(お客さまからのFXの御注文を繋ぐ銀行)としてお世話になっているモルガンスタンレー。そのFXチーム@ロンドンの部長さんがわざわざお越し下さいました。

表敬訪問だから、15分程度、“OK!”と“I see.”と“Thank you!”で乗り切れると高を括っていたら、悪夢の質問攻め。毎朝、英字新聞をコツコツ読んでいても、一向に巧くならない英会話。遠方からの客も「こんな英語の下手糞な奴が本当にモルスタに居たのか?」と吃驚されたのではないでしょうか?

FX後進国の我が国で、先進諸国を凌駕する手数料競争+スプレッド競争という事情。事前に勉強されていたようで、モルスタも更に頑張ると所信表明。

一方、こうした競争の中で、本邦FX業者の「身売り+廃業」の相談が絶えない。フェニックス証券はM&Aによる事業拡大の用意は無いのか?という質問に対し、「少数精鋭の組織だからこそ生き残れているし攻め続けている。証拠金残高を増やすために要員とシステムが重複してしまったら、効率が損なわれる」と断言。この点が理解できていないのは、旧態依然の商品先物系の業者なのではと。

最後に、FX業界のリスクについて、侃侃諤諤。金融自由化の最先端を行っているとのイメージが強いシンガポールですらレバレッジ規制は厳しい(通貨ペアによっては20倍程度に制限)。米国では100倍以上のレバレッジを提供する業者は資本金2000万㌦以上を要求される。昨日聞いた話ではスイスではFXには銀行免許(資本金2000万SFr)が必要になって、業界が大混乱しているとか。税制面の不公平は規制緩和すべきだが、ことレバレッジとなると話は別。野放図な我が国FX業界のレバレッジ競争に規制が導入されてもFX部門が継続できるような健全な運営を目指したいと思います。

そんな中、昨夕、日銀から外国為替証拠金業界に関するレポートが出されました。簡潔で判りやすい(拍手)。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/rev/data/rev08j07.pdf

最後の最後に、イギリスの経済っていったいどうなの?と聞いたら、答えはフェニックス証券オンライン・セミナーの話の通りでした(も一度、拍手!)。
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2008年8月27日水曜日

晴れた日には傘を貸してくれるけど、、、

●S&Pも投機的格付の一歩手前まで大幅格下げ-ファニーメイ優先株(8/26WSJ)
ファンフレッド優先株の格下げではS&Pはムーディーズに先行していたが格下げ幅は大人しかった。で、ムーディーズ、先週末に大幅格下げでS&Pを出し抜いた。その直後、JPモルガンがファンフレッド優先株の強制評価減実施+巨額損失を公表。S&Pも更に3段階格下げ(BBB-)、ムーディーズと“共同歩調”?

ところで、シニア債でも優先株でも償還期限は色々。満期が数年後に到来するものでも十数年後のものでも弁済充当順位が同等の負債には同じ格付けというのは世の格付機関の習慣ではあります。

ムーディーズもS&PもAAA(最高格付)に据え置いているファンフレッドのシニア債。しかし借金して事業を行なうとことは多少なりともリスクを背負って利益を出そうという営みです。トリプルAの事業体は一部の例外を除き、自己資本を活かしきれていないか、規制や参入障壁などで守られているか、暗黙のソブリン保証があるか、いずれかでしょう。

かつてドイツの州立銀行は「国が州を守り、州が銀行を守る」という二重の暗黙保証を前提に高格付が付されていました。当時から投資家はEU成立を前に暗黙の保証は継続が難しいのではないかと懸念していたもの。二大格付機関は、暗黙の保証がどのタイミングで中断され信用力にどの程度の衝撃が走るかという仕事を最後の最後まで避けていました。

監査法人にも見抜けない上場会社の粉飾が事後に出てきたのなら判ります。しかし、只今現在の財務体力を審査するだけでなく、事業の性質を見極め、事業を取り巻く環境や規制、それらの将来変化を見通す努力は、結果間違うことはあるにせよ銀行の審査部なら人事を尽くす仕事。それに比べて、二大格付機関がファンフレッドに対してやってきた仕事はどうでしょう?市況(投資家の評価)の下落を後追いしての格下げ。またその行為が市況悪化を加速させるというスパイラルを演じているだけの空疎な存在。

「晴れた日には傘を貸し付け、雨が降り出すと傘を取り上げる」とは古今東西で銀行に対する悪口。我が国の上場不動産企業が次々と黒字倒産していることを指しているのではありません。世界的な格付機関も銀行と同じ、振り子の幅を両極端に広げているだけではないのか?

●FOMC議事録、経済見通しを下方修正(8/26WSJ)
ただし、去る8月5日時点では「次回のFF金利見直しは“利上げ”になるだろう」「インフレ懸念は根強い」という表現がしっかり残っていた。

先週のバーナンキ発言「商品市況は下げに転じ、インフレ懸念は晴れた。寧ろ成長が課題」と明言するに至るまで3週間と掛からなかった。何故でしょう?(続く)
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2008年8月26日火曜日

“げっぷ”と“おなら”

●JPモルガン、1200億㌦保有のファンフレッド永久優先株を強制評価減(8/26WSJ)
600億㌦の損失。E*トレード、ソブリン・バンコープ、ウェルスファーゴなども同様。

一方で、
●シティバンクのアナリスト、ファンフレッドの国有化はあり得ないと(8/26Reuter)
普通株、優先株の株主に犠牲を強いる救済策に反対。政府がモーゲージ債を買い取ることはあっても、と。

ポジション・トークにしか聞こえないのは筆者だけでしょうか?

●UBS、人件費を1/3削減(8/25FT)

もうひとつ
オバマ氏、ファンフレッドの破綻は許されないと演説(8/26Reuter)
「儲けるときは儲けておいて、損をしたら納税者に救済を求める」処理案を批判。しかし、現時点での破綻では「有権者が住宅ローンを借りられなくなる」として破綻は許されない、と。

納税者と住宅ローンの借り手との利害相反が鮮明になってきたこと。民主主義国家の為政者を目指すには、この両方に良い顔をせざるを得ない現実と同時に浮かび上がります。残念なことに、オバマ氏の演説からは具体的な処方箋は出てこないのです。

話はガラリと変わって、昨夜フェニックス証券第5回オンラインセミナー「オセアニア通貨-ソコが底ですか?」で喋り切れなかった点を補完しますと、、、

①(ニュージーランドの電力需要の50%以上は水力発電によって賄われているが)温室効果ガスの問題と無縁ではない。それは、人口を遙かに超える数の羊と牛の“げっぷ”と“おなら”。両者の主成分メタンガスは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるらしい。
②(少なくとも暫くは、対米ドルではなく対円でオージー・キウイを買うべしと申し上げた理由として)幾つかの人口統計demographyを用意していました。

人口はご存知の通り、日本=1億2800万人、オーストラリア=2000万人、ニュージーランド=400万人。

「人口が多ければ良いというものではない」として、最近問題視されている出生率は、日=1.3、オ=1.8、ニ=2.0。

実は、筆者の個人的な意見は「少子化なんか気にするな」なのです。何故なら、『耕地面積当たり人口』という統計の取り方をすると、日=2895人/k㎡、オ=115人/k㎡、ニ=41人/k㎡。日本は主要国中で最悪。

更に暴論を続けますと、過疎や限界集落の問題も気にする余裕は最早この国には無いのではないでしょうか?都市人口率で見ると、日=68.4%、オ=92.0%、ニ=85.9%。新幹線に乗って何処まで行っても人家がなくなることの無い車窓風景は世界的に見て我が国独特のものです。

オーストラリアとニュージーランドは一体としては語り尽くせないので改めてお時間を頂戴したいと思いますが、規制緩和、移民政策、貿易自由化のいずれの点をとっても、日本はオセアニア両国から周回遅れであることは間違いないようです。
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