2008年10月9日木曜日

米欧6中央銀行、協調利下げ

米国2.0%⇒1.5%(公定歩合も同時引き下げ。本来のFOMCは10/30だった。)
英国5.0%⇒4.5%(本日10/9予定だったBOE総会は前倒しによりキャンセル)
ユーロ圏4.25%⇒3.75%(先週10/2のECB総会で金利据え置き発表が記憶に新しい)
カナダ3.0%⇒2.5%
その他、スウェーデン、中国、UAE・・・・

昨夜BBCで在東京特派員がキャスターから「日銀はどうして協調利下げに参加しないのか?」と質問され「日銀の政策金利は殆どゼロなので、下げようが無いからだ」と答えていたのが印象的でした。今週初、アスキー+マネージャパン共同企画で対談をさせていただいたソフトブレーン創業者の宋文洲さんも「日本が超低金利で海外に資本輸出し過ぎたのも問題の一端。FXもレバレッジを掛けさせ過ぎじゃあないのぉ」と忌憚の無いご意見。ごもっとも!わたしは「FX会社は、過度なレバレッジに頼らずに事業の継続が出来るような体制・体力を目指すべきだと、少なくともフェニックス証券は考えているんです。現在の競争環境で完璧な体制を築くのは至難の業ですが、フェニックス証券はその理想に相当近いほうだと自負しています」と回答。

日銀はさておき、協調利下げの前日のRBA総会、オーストラリアは予想幅を超える1%の利下げを発表。一時的な効果はあったものの、このところの豪ドルの下落は、対日本円は勿論ですが、対米ドルでも最悪状態です。これは今月23日に政策金利発表を控えるニュージーランドについても言えます。

4月以来、当ブログやセミナーで一貫して申し上げてきたことは、信用収縮⇒金融危機、つまりデ・レバレッジの局面では、為替相場は購買力平価に収斂するという読みでした。これが、対米ドルでユーロやポンドを売り推奨させていただいていた理由です。しかし、もうひとつ忘れてはならなかったのは相場は振り子だということ。極端から手を離したブランコは最下点では止まらず、もう一方の極端へと一旦は向かってしまう。信用収縮⇒金融危機の震源地である筈の米国が、それゆえに米ドルの空売りコストが割高になってしまっている要因も手伝い、米ドルのパフォーマンスは対日本円以外では頗る良好になっております。よって、豪ドルとNZドルは購買力平価を通り越しても下落が止まらない恐れあり。

そうは言っても、日本人にはファンが多い、オーストラリアとニュージーランド。セミナーでも申し上げたとおり、外貨預金の感覚で(すなわちレバレッジ=1からゆっくりと・・・)買い始めても良い時期なのではないでしょうか?外貨預金より取引コストが圧倒的に低いFX(外国為替証拠金)取引。円の一人勝ちがまだまだ続くと読まれる向きには、米ドル売り+豪ドルand/orNZドル買いというポジションも作って(このポジションは過去数週間は最悪のパフォーマンスでした。これを外貨預金でやるのは無理です)対日本円で中立(ニュートラル)にすることだってできます。米ドルを余計に売り建てて、対日本円買い長(ロング)にすることもお好みで可能です。

毎度のことながら相場は当たるも八卦、当たらぬも八卦。人生は七転び八起き。投資は自己責任かつ余裕の範囲で。。。いまほどこの原則が大事なときはありませぬ。
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2008年10月8日水曜日

世界同時株安。世界金融危機。

●モルスタ株急落-三菱UFJからの資本注入に問題が生じたとの噂で(10/8WSJ)
モルスタ側は交渉は順調に進んでいると説明、噂を否定。が、結局は前日比25%安。

バーナンキ議長が利下げの可能性を仄めかした後も、株価下落は続き、ダウ平均は500ポイント以上下落(過去5日間で13%下落)。

●英ブラウン首相、数百億ポンドの公的資金の注入を決定(10/7FT)
イギリスの大銀行は半国営化されることに!RBS株が39%下落(前日は20%下落)、HBOS株が41%下落する等、銀行株暴落を背景に。イギリス国民一人当たりの税負担は£1400~£2000になりそうだが詳細はこれからとFT紙。

●スペインも“独善的”な手段に走る-300億~500億ユーロの公的資金で国内銀行の資産を買取へ(10/7FT)

アイルランド同様、ユーロ圏での“独善的”な財政規律のなし崩し的違反は批判されてもしょうがない。EU首脳会議はようやっと預金保護は一人当たり5万ユーロまでと決めた矢先に、スペインは(同国のこれまでの5倍の)10万ユーロと発表(昨夜深夜BBC)。

で、アイスランドはどうなのか?人口20万人の漁業立国は、元NATO加盟国でしたが、2006年に米軍が撤収、非武装中立国家となっています。EU漁業協定を批准できないとして、EUにも加盟していません。一人当たりGDPは日本を上回る豊かな国を支えていたのは、筆者ブログでもしばしば取り上げてきた高金利通貨アイスランドクローネ。でも、タラとニシンだけでは、自動車や家電を買えません。貿易赤字をファイナンスする筈の海外資本が不動産市況を過熱、バブルが弾け、銀行と国家が共倒れする危機に直面。ようやく身の丈にあった生活の重要性に気がついたとしても時既に遅すぎたのかも知れません。

このような状況下で宣言された、アイスランドクローネとユーロの固定相場。機能するのでしょうか?ロシアから米ドルの緊急融資も実現するかどうか不明です。

しかし、高緯度の割りに温暖な気候で知られる非武装中立の小国は、三位一体改革を逡巡しつつ、アフガン戦費もっと負担しろと“みかじめ料”を際限なく強請られ続ける我が国の国体を考えるうえで、ユニークな材料にも思えるのです。アイスランドより南アランドというセミナーをやった割にはアイスランド自体の話を詳しくやらなかった小職としてはこの国のことをもっともっと調べてみたい気になりました。
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2008年10月7日火曜日

臨時ニュース【夕刊】

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、公的資金注入を求めるべく英国政府と交渉(臨時ニュースFT)
この報を受け、同銀行の株価は30%下落。昨夜、S&Pの格下げで既に20%下落していた。但し、格下げと言ってもRBSの長期カウンターパーティ格付でAA-⇒A+と、まだまだ全然投資適格水準なのだが。

元英国4大銀行のひとつナットウェスト銀行とスコットランドのアルスター銀行を傘下に抱える世界最大の商業銀行。かの地スコットランドにおいては発券銀行でもある。

●アイスランド首相、「このままだと国家破産」だと発言(10/7FT)
同首相演説前にアイスランドクローネ(弊社ではこの通貨は取り扱っておりません)は対ユーロで45%下落。同国の銀行株は全て取引停止状態。

リーマン・ブラザーズのファルド社長、米下院委員会で喚問(10/7WSJ、FT)
倒産の数日前に役員3人への退職金計25億円相当を支払っていたことが電子メールの記録から明らかになったリーマン。「欲深い経営陣によるカジノ経営」を長年主導してきた同CEOは焼きを入れられるgrilled。

一方、同社長は、AIGを助け、リーマンを助けなかったことに憤りを感ずると証言!?

通常、私のブログ【夕刊】では、《朝刊》のようなことは書かないのですが、余りに色々あるもので朝書ききれないということと、欧州時間寄付の久々の株価上昇をかき消す臨時ニュース等で、いつになく更新をさせていただきました。
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米株暴落。ダウ終値、4年ぶりに1万㌦割れ

★聞き捨てならぬ「免責事項」
8年前、営業未経験の私をモルガン・スタンレーの社債引受部門に引っ張ってくれた当時の上司が、出勤初日夕刻、恵比寿ガーデンプレイス1階の喫茶店に私を誘い出して曰く、「外資系というと短期で実績を出さないと直ぐクビにされるイメージがあるかも知れないが、モルスタに限ってそれはない。興銀(現みずほ)の本店が東京からニューヨークに移転したぐらいのつもりで。。。くれぐれも肩の力を抜いて、焦らず頑張って欲しい。

「ただし、」えっ?ただし??「うん。ただし、米株。ダウ平均が1万㌦を割れるような事態になると前提は変ってしまうんだよ」「引受部門の仕事は、主幹事を一つでも多く獲得する。日系証券会社のフランチャイズに分け入り、少しでも引受関与を増やす。そうやってこつこつ稼いだ引受手数料が私の給料の源泉なのではないんですか???」

★サブプライム以前に潰れていた我が故郷
今年の春に、モルスタの社債引受部門の同窓会に呼んでいただきました。モルスタを引退し、現在は上海に留学して中国語を勉強中(ちなみにFXもやっていただいております・・・これ余計^^;)の当時の上司が一時帰国。ご自宅に大勢が集まり、改めて元上司の人望を認識。最後に元上司の挨拶が「やはり残念なことは、自ら立ち上げ率いてきた社債引受部門が廃部になってしまったこと。。。」そうとは知らなかった私は驚きました。

リスクの取り過ぎ、レバレッジの掛け過ぎで批判の渦中にある投資銀行。その中にあって、実直に手数料を積み重ねてゆく引受サービスは別物、と思いたいところですが、実際には、リスクを取れない⇒儲からない⇒既に無くなっていたというのです。ちなみに、M&Aの仲介・助言というサービスも手数料ビジネスの部門も、余程の“棚牡丹”案件を除けば、企業買収に必要な資金(レバレッジを含む)を提供する等、案件のリスクに参加することで、やっと案件にありつけるというのが実態です。

★需要が無くなったわけではない投資銀行業務。。。しかし、、、
三菱UFJ、野村がそれぞれモルスタ、リーマンを救済。「投資銀行は終わっているのに。。。」と批判が専門家の間で喧しいですが、“ビジネスモデル”が完全に破綻したというのは言い過ぎ。我が国では私の周辺(これ意味深長^^;)も含め、事業承継や業態転換が思うように進まずに悩んでいる同族企業など中小企業が少なからず存在し、事業の建て直しやM&Aの仲介・助言を外部に求めざるを得ない差し迫った状況に置かれています。思うに、この仕事を請け負える人材は非常に貴重で、月坪何万円もする綺麗なビルの一室にふんぞり返って他人の褌で相撲を取るバルジ・ブラケットのバンカーには勤まらない。彼等が望む報酬は得られない割には手間と人間力が要求される仕事なのです。この点、三菱や野村がどう考えるか、注目です。

赤信号、みんなで渡れば怖くない!?
「銀行預金全額保護」を電撃発表したアイルランド。イギリスは預金保護を350,000ポンドから500,000ポンドへ明日から引き上げ。スペインも「EU統一の金融システム救済策が策定されないようであれば」アイルランドの真似をすると発表。デンマーク等も追随か(以上、10/6夜BBC)。

最もスピーディでトップダウンな唯一の“金融システム救済策”かも知れません。が、ユーロ圏については、政府の簿外債務の急増は許されるのか?世界標準でペイオフ解禁となった我が国の1千万円は何だったのか?
「世界大恐慌以降の保護主義の連鎖を彷彿とさせる」(EC委員長。10/3FT)EU諸国の動きは、少なくともユーロ採用国にとっては明らかに通貨統合の遠心力となってしまっています。
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