2009年3月16日月曜日

日銀、銀行の資本増強支援-貸し渋り防止

★劣後ローンの引き受けを検討-政府保証が焦点に(3/16日経)
土曜日に英国の田舎で行われたG20でも金融政策では協調。財政政策では不協和音。日経の観測記事はこの流れに沿うもの。

「政府保証が焦点」だというのは本当か?これはブログの最後に意見したいと思います。

昨日放映されたNHKのど自慢。収録地が三重県津市だというので間違っても両親が出ていないだろうなと心配で、冒頭の5分だけテレビをつけ出演者を確認。ほっとしました。

収録場所の三重県文化会館は、筆者の中学高校時代当時は体育館に毛が生えたような多目的ホールでしたが、サントリーホールやオーチャードホールなどと見紛うほど素敵で瀟洒なホールに生まれ変わっており、びっくり。のど自慢の舞台と客席のギャップに、違和感を感じた視聴者のみなさんは、三重県出身者に限らず大勢いらっしゃった筈。

お決まりの収録場所の紹介(藤堂高虎、唐人おどり、・・・)もありました。が、津市の人口が30万人を超えたのは、数年前の大規模市町村合併があったからだけのこと。筆者の故郷、安芸郡芸濃町も現在では津市芸濃町(人口は約7000人)。驚くべきは、この芸濃町にも、三重県文化会館と同様に、NHK交響楽団や海外の名門オーケストラを招いても恥ずかしくないようなホールが、田んぼの真ん中に忽然と作られていることです。

筆者が前前前職で大変お世話になった上司から聴いた話。ロンドン交響楽団を率いて来日した世界的な韓国人指揮者チョン・ミョンフンに「日本から持ち帰りたい、お土産にしたいものは何か?」と聞いたら、「ホールをひとつ。どこの田舎のでも構わないから・・・」と皮肉に笑みを浮かべて即答したと言います。

ハードウェアは有り余るほど作られたのに、肝心のソフトウェアの中身が伴わない日本の文化の現実を哄笑した酒の席での発言は、土木だけでなく文化まで含めて官僚機構に税金の使い道を任せておくと国が滅びることも射程に入っています。

極端な貸し渋りで、黒字倒産や資産超過倒産まで発生しているとすれば、銀行経営への介入の意義はある。しかし、「輸出の減少⇒売り上げの減少⇒資金繰りの悪化」を後方支援する劣後ローンの引き受けは、無駄な公共事業と同種の無駄を重ねることになります。

今後どちらの政党がどんな政策をとるかに関係なく、我が国のホワイトカラーは約半数以上が無駄であることが判明する日が、そう遠くないと思われます。これまでその約半数の無駄なホワイトカラーを支えてきてくれたのは、汗塗れで働き通してきた町工場の役職員が稼いでくれた外貨です。この遺産も、我が国が13年ぶりに経験する国際収支の赤字によって食い潰されているのです。

1985年のプラザ合意以降の円高局面に発生したJカーブ効果(円高が輸出数量の減少よりも、単位数量当たりの売上増のほうが寄与して、かえって貿易黒字が増えてしまう現象)が、今回の円高局面では全く発生していないこと。このことに着目した経済誌紙の報道や経済学者の指摘は筆者が観察する限り全く見られない。それくらい深刻なのです。

先週金曜日の日経朝刊の経済教室は、元農水事務次官の「製造業が駄目なら農業に帰れば良い」という甘い発想で生き延びられるほど、逆スパイラル化が臨界点に達した日本の農業の再生は生易しくない、と冷徹な分析に基づき主張しておられ、目から鱗でした。

縦割り行政を組み替えることによってしか実現出来ないであろう、真っ当な補助金の使い方、専業農家、大規模経営を支援する枠組みに加え、筆者が予てから主張する

「少子化は自然の成り行き」

であることを受け入れ、

「一人当たり耕作(可能)面積」

を主要先進国並みに近づける努力。都市労働者は帰農だけでなく、資本流出に悩む新興国に活路を見出し、長期的には円安を待つだけのタンス預金を投資機会に結び付ける仕事を見つける。

時代としては、明治維新以降、ブラジルやカリフォルニアやハワイに活路を見出すべく裸一貫で旅立った移民一世の皆さんの心境が、これから再び沸々と沸いて来ざるを得ない局面であり、また過去の蓄積としてのタンス預金以外は然したる資源もないくせに、生活水準の低下は政治の責任だという風潮=大国病に陥った第二次大戦後のイギリスと酷似した状況に、今の日本はあります。

最後に冒頭お約束した「政府保証が焦点!?」ですが、既に国債以外の民間資産の買い入れに踏み切っている中央銀行(日銀だけでなく米国FRBも該当)にとって、政府保証の有無は関係ない。日銀法上の独立とは言え、総裁人事は立法府で右往左往する現実。上場会社とは言え、特融を含めた結果損失は税金で穴埋めされる構造。このように考えると「政府保証が焦点」というのは単なる茶番とも考えられます。
CoRichブログランキング

0 件のコメント: