個人は株で損をしても税金すら取り戻せない。
一方、
銀行は株で損をしたら公的資金を入れてもらえる。
ところで、
銀行が株を保有する原資は勿論個人の預金である。
何が言いたいかと言いますと、銀行を通じて株を買えば元本保証だ。ただし元本保証の保険料は預金保険料だけではなく預金の低金利という機会費用込みでの話。
90年代と異なり金融システム救済が政局になりづらいのは、世界中の大国小国がこぞって赤信号を渡っているから。そこで我が国の民主党がどうやって存在感を示すのか注目していたところ、昨日朝のNHK日曜討論では菅直人代表代行が「新銀行東京まで救済するというのは筋が違うのではないか?血税を使う以上、ケジメは必要」と、「自民党石原伸晃氏の前では言いづらいが・・・」との前置きを全然“言いづらく”なさそうに敢えて繰り返し繰り返し強調していたのが印象的でした。
わたしにも敢えて繰り返させてください。オーバーバンキングが解消されない限り、各種金融商品の相場のオーバーシュート(バブルの生成と崩壊)は果てしなく繰り返される、と。銀行による株式保有を全面禁止することにより、オーバーバンクを解消すること。株式投資は個人投資家の自己責任によって支えられるお膳立てをすること以外に「貯蓄から投資へ」を実現する方法はない。中途半端な税制改正など全く意味はない、と。
「“マット某”と違って選挙に出るわけではないのだから、マニフェストなんか聞きたくない。それよりも、お前が言うとおり、まだドルやユーロを売り続けていいのか?そろそろドテン買いなのか、それを教えろ!」
それなんですが、今夜たまたま月に1度のセミナーです。第7回目の御題は「ズバリ!売りか?買いか?」。詳しくはフェニックス証券ホームページからどうぞ。
2008年10月27日月曜日
2008年10月24日金曜日
規制緩和論者の鬼の首
●グリーンスパン氏、米国議会で質問攻めに(10/23WSJ、FT)
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。
昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、
「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」
「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」
「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」
尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、
実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)
世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。
昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、
「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」
「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」
「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」
尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、
実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)
世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
2008年10月23日木曜日
ユーロだけではない通貨のメルトダウン
●英ポンド、対米ドルで5年ぶり安値に転落(10/22FT)
イングランド銀行マーヴィン・キング総裁が「景気後退宣言」。“ザ・バンク”は大幅な利下げを準備しているのではないかとの憶測が流れた。
昨年春、1ポンド2ドルを越えたというニュースをBBCが派手に、且つ皮肉たっぷりに報じていたのが懐かしい。それが現在は1ポンド1.62ドル近辺となっています。
トルコリラは3.5%下落、韓国ウォンは3.2%下落、南アフリカランドは4.1%下落(いずれも対ドルの1日の動き⇒対円では更に下落率は大)。
さて、ユーロですが、先々月号の『月刊FX攻略』に載せたユーロ“バブル”崩壊予想のロジックをご紹介して本日の更新の締めにさせていただきます。今月号がちょうどいま書店に並んでいるところです。日本橋丸善などでは“棚ざし”から“平積み”への取り扱いが変っており売れ行き好調のようで良かったです。
バブルには共通点がある。広い意味でキャリートレードであるということ。レバレッジという触媒によって助長されること(逆にデ・レバレッジはバブルを崩壊させる)。その生成の歩みは「築城3年」の如く、その崩壊の勢いは「落城3日」に似ること。上記ITバブルのように確信犯のバブルもある(「合理的バブル」という)。
この点は、まさしくFXにも当て嵌まる。
FXのキャリートレードは次の理屈で「築城」されるバブルだ。つまり、
①インフレ指標の悪化⇒②政策金利の引き上げ⇒③高金利目当ての資金流入による通貨の上昇⇒④投資過熱による更なるインフレ悪化⇒②に戻る
この循環が起こっているのが現在のユーロ圏であり、しばらく前まで起こっていたのが多くの新興国である(原稿〆切時点7月4日現在)。もし仮に多国間の資金移動の殆どが貿易など実体経済に裏打ちされたものであれば、上記循環で③から④へとは移らず輸出減少で景気が鈍化しインフレが抑制される筈。ところが、多国間を移動している投資資金の規模は貿易額の何十倍、何百倍にも上るのが現状なので、インフレと高金利は循環⇒連鎖となる。一方、これと逆の循環を起こしているのが日本と米国だ。どちらの循環が好循環なのか悪循環なのか見方によるけれど。
世界経済は様々な理由で経済学が想定するような一物一価は必ずしも成り立たない。資本移動の自由さに比べると、財の移動や労働量の移動には様々な制約があるからだ。それでも循環⇒連鎖が度を越すと、購買力平価と為替相場が余りに乖離してしまうことになる。特に、信用制度が罅割れや金融政策が操縦不能となるスタグフレーション、暴動やテロ、天変地異はバブル崩壊の引き金となる。
円キャリーのドル高が信用問題をきっかけに崩壊したように、ドルキャリーのユーロ高も時間の問題だと思うのは筆者だけだろうか?「原油高ドル安=負の連鎖」と囃し立てるマスコミ・エコノミストの気持ちもわかるが、ドル売りを決め付ける一辺倒な“不美人投票”は余りに危険だ。どの国もそれぞれ醜い欠点を持っているのが実情なのだから。
イングランド銀行マーヴィン・キング総裁が「景気後退宣言」。“ザ・バンク”は大幅な利下げを準備しているのではないかとの憶測が流れた。
昨年春、1ポンド2ドルを越えたというニュースをBBCが派手に、且つ皮肉たっぷりに報じていたのが懐かしい。それが現在は1ポンド1.62ドル近辺となっています。
トルコリラは3.5%下落、韓国ウォンは3.2%下落、南アフリカランドは4.1%下落(いずれも対ドルの1日の動き⇒対円では更に下落率は大)。
さて、ユーロですが、先々月号の『月刊FX攻略』に載せたユーロ“バブル”崩壊予想のロジックをご紹介して本日の更新の締めにさせていただきます。今月号がちょうどいま書店に並んでいるところです。日本橋丸善などでは“棚ざし”から“平積み”への取り扱いが変っており売れ行き好調のようで良かったです。
バブルには共通点がある。広い意味でキャリートレードであるということ。レバレッジという触媒によって助長されること(逆にデ・レバレッジはバブルを崩壊させる)。その生成の歩みは「築城3年」の如く、その崩壊の勢いは「落城3日」に似ること。上記ITバブルのように確信犯のバブルもある(「合理的バブル」という)。
この点は、まさしくFXにも当て嵌まる。
FXのキャリートレードは次の理屈で「築城」されるバブルだ。つまり、
①インフレ指標の悪化⇒②政策金利の引き上げ⇒③高金利目当ての資金流入による通貨の上昇⇒④投資過熱による更なるインフレ悪化⇒②に戻る
この循環が起こっているのが現在のユーロ圏であり、しばらく前まで起こっていたのが多くの新興国である(原稿〆切時点7月4日現在)。もし仮に多国間の資金移動の殆どが貿易など実体経済に裏打ちされたものであれば、上記循環で③から④へとは移らず輸出減少で景気が鈍化しインフレが抑制される筈。ところが、多国間を移動している投資資金の規模は貿易額の何十倍、何百倍にも上るのが現状なので、インフレと高金利は循環⇒連鎖となる。一方、これと逆の循環を起こしているのが日本と米国だ。どちらの循環が好循環なのか悪循環なのか見方によるけれど。
世界経済は様々な理由で経済学が想定するような一物一価は必ずしも成り立たない。資本移動の自由さに比べると、財の移動や労働量の移動には様々な制約があるからだ。それでも循環⇒連鎖が度を越すと、購買力平価と為替相場が余りに乖離してしまうことになる。特に、信用制度が罅割れや金融政策が操縦不能となるスタグフレーション、暴動やテロ、天変地異はバブル崩壊の引き金となる。
円キャリーのドル高が信用問題をきっかけに崩壊したように、ドルキャリーのユーロ高も時間の問題だと思うのは筆者だけだろうか?「原油高ドル安=負の連鎖」と囃し立てるマスコミ・エコノミストの気持ちもわかるが、ドル売りを決め付ける一辺倒な“不美人投票”は余りに危険だ。どの国もそれぞれ醜い欠点を持っているのが実情なのだから。
2008年10月22日水曜日
クライマックスは第二ステージへ
●米ドル、対ユーロで1年半ぶりの高値(10/21FT)
4月のフェニックス証券セミナー『ユーロ、どこまで強いか?』で申し上げた「年内にユーロドルで1.35、ユーロ円で135を目指して下落」という予想レベルを突き抜けてしまいました。足元は、ユーロは対ドルでも対円でも更に弱まる可能性はあります。ただし、これは私が4月に申し上げたロジックとは別の道理が働いてのこと。FT紙にも書かれたとおり、米ドルの調達需要が過多なため、買われざるを得ないという皮肉な現象です。
本日の日経新聞にもある通り、米ドルLibor(ロンドン銀行間貸出金利)年末越3ヶ月物は3.83%と7営業日連続で低下。直近ピークより約1%低いものの、リーマン破綻前の2.8%前後に比べると依然高いという状況。銀行間信用の萎縮が更に改善すると、米ドルの底抜けの可能性がある(逆に言うと米ドルに対する協調介入のあり方が資金供給からスポット為替の買い支えに転換を迫られるほどの激変の恐れがある)ことを示唆します。
●ヤフー64%減益、アップル27%増益-7~9月期四半期決算(10/21WSJ)
ヤフーは年間4億㌦程度のコスト削減(含む人員1割カット)も発表。アップルはマッキントッシュPCとiPhoneが好調だが、この先景気後退の影響については何とも言えないと同社CEO。いずれも安い買い物ではありませんから。
●オバマ氏対マケイン氏
ネオコン支援メディアとノーベル賞経済学者クルーグマン氏に名指しされたWSJのNBCとの共同調査によれば10ポイント差と両氏出馬表明以降で最大の幅に。ただし、他の調査期間は4ポイント乃至9ポイント差とまちまち。
●アルゼンチン、民間ペンションファンドを国営化へ(10/21WSJ)
同国の株価指数は11%下落。
4月のフェニックス証券セミナー『ユーロ、どこまで強いか?』で申し上げた「年内にユーロドルで1.35、ユーロ円で135を目指して下落」という予想レベルを突き抜けてしまいました。足元は、ユーロは対ドルでも対円でも更に弱まる可能性はあります。ただし、これは私が4月に申し上げたロジックとは別の道理が働いてのこと。FT紙にも書かれたとおり、米ドルの調達需要が過多なため、買われざるを得ないという皮肉な現象です。
本日の日経新聞にもある通り、米ドルLibor(ロンドン銀行間貸出金利)年末越3ヶ月物は3.83%と7営業日連続で低下。直近ピークより約1%低いものの、リーマン破綻前の2.8%前後に比べると依然高いという状況。銀行間信用の萎縮が更に改善すると、米ドルの底抜けの可能性がある(逆に言うと米ドルに対する協調介入のあり方が資金供給からスポット為替の買い支えに転換を迫られるほどの激変の恐れがある)ことを示唆します。
●ヤフー64%減益、アップル27%増益-7~9月期四半期決算(10/21WSJ)
ヤフーは年間4億㌦程度のコスト削減(含む人員1割カット)も発表。アップルはマッキントッシュPCとiPhoneが好調だが、この先景気後退の影響については何とも言えないと同社CEO。いずれも安い買い物ではありませんから。
●オバマ氏対マケイン氏
ネオコン支援メディアとノーベル賞経済学者クルーグマン氏に名指しされたWSJのNBCとの共同調査によれば10ポイント差と両氏出馬表明以降で最大の幅に。ただし、他の調査期間は4ポイント乃至9ポイント差とまちまち。
●アルゼンチン、民間ペンションファンドを国営化へ(10/21WSJ)
同国の株価指数は11%下落。
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