2008年10月24日金曜日

規制緩和論者の鬼の首

●グリーンスパン氏、米国議会で質問攻めに(10/23WSJ、FT)
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。

昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、

「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」

「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」

尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、

実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)

世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
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