2009年5月28日木曜日

崖っぷちのGMと米長期金利の急騰

株高は債券安(長期金利高)を、株安は債券高(長期金利安)を意味するという経験則があります。相関関係は多少落ちますが、為替については、前者は円安と、後者は円高とセットだと。

昨夜は、この経験則に反する、米国株の反落と米国債相場の急落が生じました。前者はDES(債権と株式の交換)を柱とするGMの私的整理案が予想を遥かに上回る債権者から拒絶されたこと、後者はMBS(不動産関連の証券化商品)の大口売りが、それぞれ直接の原因とされています。

GMについては、昨日の日本時間に「UAW(米国自動車総連)がDESに応じる」という“リーク”が伝えられ、既得権益側の根回しというか、既成事実化(GMのゾンビ化)に向けて、着々と手が打たれている空気はありましたが、事実上の破談を迎えたことになります。米国債の暴落についても、

「競争力のない大企業を公的資金で救済するという前例を作ってしまったら、そんなモラルハザード国家の借金など誰が引き受けるか!?」

という市場の恫喝と捉える必要はあります。

我が国も、まったく他人ごとではないスタグフレーションの始まりです。

資源相場の急騰が、新興国バブルと米国発不動産不況の引き金となったように、各国の長期金利の上昇は、モラルを犠牲にした財政出動でも景気回復は出来るという安易な楽観バブルに針を刺すものです。米国債の利回り曲線(イールドカーブ)の指標となる「10年物利回り-2年物利回り」は昨年8月に付けた過去最大幅をぶっちぎっての記録更新だとWSJ紙は伝えています。
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2009年5月26日火曜日

米大統領、韓国防衛の「絶対的コミットメント」保証

日本語ロイター
米大統領、韓国防衛の「絶対的コミットメント」保証

「コミットメントを“保証”する」というのは、婚約を破棄しないと約束するみたいで、頭痛が痛い日本語ですが、それは措き、絶対的ではないコミットメントとは何でしょうか?

「“相対的”コミットメント」なる言葉は熟していないでしょう。ところが、銀行取引の世界では存在したのです。前々職、モルガンスタンレーで社債引受営業の頃、仕事の実態は企業財務の皆さまへの御用聞でしたが、或る日、仲良くしてくださった事業会社の財務の御担当から御相談。曰く、「とある邦銀からコミットメントライン(いざとなったら金を貸すので、日頃より手数料を払え!という契約)の不招請勧誘(要りません、買いません、と抵抗しているのに、しつこく営業すること)を受けているんです。しかもそれが『いざとなっても金を貸さないが、手数料は払って欲しい』という“商品性”らしい。こんな商品はあり得るのか?丹羽さん、契約に応じるべきだと思いますか?」という問い合わせを受けました。

暫く、貸出営業から遠ざかっていた私は、恥ずかしながら直ぐに返事が出来ず「そのような偽装コミットメントラインは金融庁も許さないと思いますが・・・調べて折り返します」と、時間を頂きました。調べれば直ぐ判ることですが、『いざとなっても金は貸さないが、“名前”は貸すんだから、見ヶ〆料(みかじめりょう)は寄こせ』という優越的地位の濫用ビジネスは有り得たのであります。

お客様のためどころか、寧ろ自分が勉強になった「“相対的”コミットメントライン」のお陰で、この事業会社さんからは爾後沢山の主幹事案件を頂きました。

「“相対的”コミットメントライン」の存在を、銀行業界の優越的地位の濫用の問題だと矮小化してはなりません。このような偽装コミットメントラインを有価証券報告書等に開示することは粉飾であり偽計であります。銀行以外のステークホルダーからの調達を低廉安定化するために、銀行は経済的対価を得て、粉飾偽計を教唆または共犯していることになります。証券会社が教唆する仮装払込と一緒の罪。
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2009年5月25日月曜日

北朝鮮、核実験“成功”で、ドル安は一気に修正

核拡散防止条約という大国主義にも反吐が出ますが、北朝鮮の行為を正当化する次元の議論ではありません。

核の問題北朝鮮の問題は、反米右翼、親米右翼、親ロ左翼、親中左翼の各論客に甲論乙駁を期待。

「七転び八起き」の関心事は御期待通り天邪鬼。米銀ストレステスト以降、対円だけでなく新興国通貨に対してさえ下落一方だった米ドルが一気に値を戻す展開。こんな程度の国に、天下の為替市場の相場操縦をエンジョイさせて良いものか。日本の投資家の皆さん、負けては居られません。

尤も、発表前に米ドルを仕込めていただかは甚だ疑問。北朝鮮ウォンの実勢は韓国ウォンの半値以下で、取引は不可能ではないですが、偽札を印刷して米ドルの売りから入るよりは難しい筈。
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FXレバレッジ規制-上限25倍-賛否真っ二つ

FX業界に大混乱を巻き起こしつつある「25倍の上限規制」。

関連記事

FX証拠金倍率 25倍の上限規制 行き過ぎ・健全性 賛否真っ二つ

と、関連コラム

FX規制問題について思うこと

後掲のT&C吉田社長のコラムにはグリーンスパン前FRB議長の発言など面白い内容が含まれますが、何故か「落ち」はありません。慌てて執筆されたか。

レバレッジ問題を取り上げるだけでアクセス数が急増するので、俄か記事が乱造されているのかも。残念ながら、レバレッジ規制がどうなろうと、FX業界の過剰社数は調整が不可欠。但し、FX業界以外の広義の金融分野も事情は同じで、銀行、証券、不動産ほか、我が国の「金融系」ホワイトカラーの頭数は今後数年で激減します。

政府によるバラ撒き政策が奏功し意図的インフレが起きリスク資産の相場回復があったとしても。
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