2010年5月7日金曜日

ザ・パワー・オブ・イエス

平均寿命が3年乃至4年との説もあるインディーズ系オペラの主催者たちに翻弄されている(?)身分としては、設立30周年が間近という劇団「燐光群」の気骨に感銘を覚えます。その「燐光群」が来週5月10日(月)から東京・下北沢ザ・スズナリで(追って大阪~名古屋とロードショー)、先月まで英国National Theatreで好評を博していた演劇「ザ・パワー・オブ・イエス」を上演します。

http://www.alles.or.jp/~rinkogun/Next.html

劇団「燐光群」からのメッセージの一部を御紹介します。

「2008年9月、リーマン・ブラザーズ破綻から始まった未曾有の経済危機は、世界中に広がりました。日本でも企業倒産、失業者増加など、今なお私たちの生活に影響を及ぼしています。・・・アメリカの投機家ジョージソロス、元金融庁長官ハワード・ディビス等、劇作家デイヴィッド・ヘアーに直接取材を受けた金融界の大物たちが劇中人物として続々登場、「世界金融危機で何が起こったか」が語られます。またヘアーの助手としてナショナル・シアターに雇われた女子大生を通じて、英金融サービスの誕生と成長、崩壊の過程を辿ってゆきます。・・・ヘッジファンドの投資を熱狂的に支えた「ブラック・ショールズ方程式」についても知ることが出来ます。経済危機について視覚的、感覚的に捉えることを可能にした、ジャーナリズム演劇の新しい成果と言えるでしょう」

リーマンショックは良くも悪くも「七転び八起きブログ~為替力」の原点です。これをメインテーマに据えるという難しくも丁寧な作業を施した戯曲が、金融依存経済の治癒に手を拱くロンドンでロングランを成功させ、劇団「燐光群」の創設者であり演出家でもある坂手洋二さんの手により日本語上演されるのが、奇しくも、ギリシャショック、否、シティショックの直後の来週からというのも不思議な縁であると思われます。

私も来週、出張等の合間を縫って、下北沢まで観劇に赴くつもりです。感想は改めてブログにアップさせていただく所存です。

チケットのおもとめは、まず会員登録から。
https://www.e-get.jp/rinkogun/howto/rule.html

または、お電話にて、、、
燐光群/(有)グッドフェローズ 〒154-0022 世田谷区梅丘1-24-14 フリート梅丘202
TEL03-3426-6294 FAX03-3426-6594
rinkogun@alles.or.jp
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2010年5月6日木曜日

ユーロ、ギリシャ国債は押し目買いのチャンスなのか!?

昨日は、連休中唯一休暇を頂きまして、東京大学の本郷キャンパス内を散歩しました。久しぶりの三四郎池には、オタマジャクシは居らず、鴨と亀と鯉が我が物顔で群れ遊んでいました。「亀釣り」を楽しむ親子連れと、東大病院の患者さんたちや見舞いの方々に囲まれた長閑で平和な昼下がりでした。安田講堂も然り。70年安保やら全共闘から40年(以上)たった現在も聳えるその名建築は、さながらにして「兵どもが夢のあと」と言わんばかりの、初夏の陽気に包まれておりました。

さて、そこから無理矢理、普天間の話にもっていこうとしているのではないのです。安保闘争や米騒動のような草の根の実力行使、平たく言えば暴力に訴えた革命志向というのは、わが国においては随分と過去のものになった。という思いを、債務問題で全く落ち着きを見せないギリシャのゼネストを見て考えてしまうのです。

「日本にとっても他人事ではない」「ギリシャ(+ポルトガル+スペイン)の次は日本の番だ」などと、危機意識を煽る政治家が少なくありません。

その主張が正しいとしても、そういうことをおっしゃる政治家に限って、日銀がもっともっと国債を含めた民間市中の資産を買って金融緩和をすべきなのに、サボっているともおっしゃっているのが滑稽なのですが。

仮に、ギリシャの二の舞を日本が演ずることになるとして、IMFなどから、消費税率の急増や公務員給与の引き下げを求められたとして、ギリシャ同様のストライキや暴動が起こるでしょうか?

大衆の行動様式の違いは、国のリーダーの気質の違いと対をなしています。パパンドレウ首相は、同政権が進める財政緊縮措置が「国を救うために導入を決定したもの」とし、「これに代わるものは、破たんのみだ」と述べ、またパパコンスタンティヌ財務相は「多大な政治的代償を支払う用意がある。一歩も後退しない」と述べる(ロイター)など、暴動やそれによる人命犠牲に動じない態度は、鳩山首相に何も限った話ではなく、短命政権を繰り返す歴代首相の八方美人的な軸のぶれ方と対照的に映ります。

ギリシャの過去の政権の腐敗について詳しくない私たちから見ると、ゼネストに参加しているギリシャ国民は随分と往生際が悪いという風に見えます。ユーロ参加のメリット(デンマークがリーマンショック直後にユーロ非参加を後悔していたことを思い出させます)を享受しているのだから、その裏返しとしてのデメリット(通貨発行権【シニョリッジ】の放棄)も甘受しなければならない(ギリシャ国債をギリシャ中央銀行が買い切りオペしてマネタイズするわけにはいかない)ので、ギリシャの救済は、あたかも日本における夕張のような財政緊縮を停止条件とした(財政)金融支援という形を取るほかにないのであります。

場合分けをするならば、

①ゼネストが鎮圧されて、ギリシャ現政権の財政緊縮案が実行され、よってEU、そして9(日)総会の予定のIMFでの融資が決まる。

または
②鎮圧に失敗するなどして、財政緊縮案が破綻し、ユーロ建てギリシャ国債の借り換え【リファイナンス】が失敗⇒ギリシャがユーロ離脱(新ドラクマ導入!?)

となるか、、、

私個人は以下の理由で②の可能性は余り高くないと思っておりますし、その場合もテクニカル的には、ギリシャ国債のデフォルト宣言とユーロ離脱宣言がどういう順番になるかで現実随分変わってくるのですが、ここでは詳述を控えます(ちなみに、ギリシャのユーロ離脱自体は、ユーロ圏の毅然たる態度表明の現れであるので、本来はユーロの買い材料だということも忘れてはなりません)。

EU各国の首脳は、異口同音に、「ギリシャ危機という“山火事”の鎮火を怠ると、火の気のない筈の域内健全国(???)にまで火災が蔓延してしまうから」と、結束を呼び掛けています。しかし、彼らは義憤や同胞愛から本気でギリシャを助けようと発言を繰り返しているのでしょうか。米国やIMFの動きは措くとして、域内の意思決定の鍵を握るドイツでは、議会の承認に苦労しつつも「財政緊縮案の実行を停止条件としたギリシャへの金融支援」の批准に漕ぎ着けた状況です。この金融取引が如何に通常の市場取引よりも有利であるかを考えてみてください。「ユーロが120円を割れそうだ。そろそろ買い場だろうか?」とか「ギリシャ国債が暴落、続落し、利回りが13%を超えた。流石に破綻はないと読むならば、絶好の買い物だろうか?」という設問に対しては、当たるも八卦、当たらぬも八卦としか言いようがないのですが、ドイツが決定した停止条件付き融資というのは、ノーリスク、ハイリターンの取引です。私がもしドイツのリーダーであったならば、ギリシャ国内が大いに揉めて、最後に言いなりの条件で助けてやるという交渉をすれば、貿易黒字の使い道としては最高の運用となるし、また揉めている間のとばっちりとしてユーロ安がありますがこれも国内の輸出産業にとっては、生産拠点を国外に移転させなくても実質賃金を下げることが出来て競争力が増し、製造業の経営者が喜ぶので、一石二鳥なのです。寧ろ、ギリシャが債務不履行に陥り新ドラクマ導入となって美味しい金融取引を取り逃がすやら、国庫や民間金融機関で運用していたギリシャ国債が紙屑になることを嫌がるでしょう。ドイツ以外のユーロ圏の主要国も概ね同じような魂胆であると考えられます。

一言で言えば、現在のユーロ相場とギリシャ国債相場には巨大なインサイダーないし相場操縦が存在しているので、この情報の非対称性を打ち破って無防備に参加をするのは得策でないと思うのです。このような「取引を煽らない」発言は、FX会社の社長としては相応しくないのですが(爆笑)。「それでも相場に参加したいから、売りか買いかどちらか教えてほしい」と言われたら、前述の如く、当たるも八卦、当たらぬも八卦、なのですが、押し目買いの領域に来ているとは思います(対ドル、対円。但し、最下点ではないかも)。
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2010年4月30日金曜日

幹部候補生を採用します【求人広告 フェニックス証券】

まだまだ続くスプレッド競争、全額信託の規制、レバレッジ規制という厳しい経営環境の中、多くのFX会社が廃業するだろうと言われて来ました。


そのなかで、フェニックス証券は、敢えて業容を拡大すべく、幹部候補生の採用を行なうことにしました。


「書類選考(履歴書+職務経歴書+(任意)作文」を経て「一次面接(幹部社員による面接)」、「二次面接(役員による面接)」という手順を踏まえます。


条件は、
☆性別、年齢、国籍を問いません(日本語必須)
☆勤務地:東京支店(東京駅より1分 中央区八重洲1-5-8)
☆下記の項目のうち、半分程度は当て嵌まると思う方

★証券会社、FX会社、監督官庁、会計税務事務所などで、寝食を忘れて働いた経験がある
★法務について、集中して勉強した経験がある
★税務について、集中して勉強した経験がある
★経理・簿記について、集中して勉強した経験がある
★PC操作が得意、ネットワーク関連の知識が豊富である
★上司や経営者が、明らかに間違った判断を行なおうとしたときに、クビを恐れず、自分に妥協をせず、持論を展開して戦った経験がある
★「腐っても鯛」ではある大手金融機関や官公庁で、組織人として妥協して安住できる身分を捨てるのは大変勇気がいることだが、敢えてその身分を放棄して、これまでの何十倍もの努力をして、理不尽と戦いたいという意思がある



自分と等身大の会社とともに成長していくことが出来る貴重なチャンスです。ヤル気に満ちた皆さんからの熱い応募をお待ちしています。
※面接は、原則として、個人面接の形を取りますが、応募者多数の場合、集団面接となる可能性がゼロではありませんので、ご留意ください。

〒103-0028東京都中央区八重洲1-5-3
フェニックス証券株式会社
代表取締役社長 丹羽広
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2010年4月27日火曜日

チェルノブイリ24周年救援キャンペーン「チャリティコンサート」ご来場の御礼

先週4月24日(土)東京都文京区の「文京シビック小ホール」で行われましたチャリティコンサートには大勢のお客さまにお越しいただきまして、本当にありがとうございました。

私は、愛好家の端くれとして、実業界の端くれとして、舞台の末席を汚すこととなりましたが、声楽と器楽のそれぞれの分野において国内外で活躍されているトップクラスのプロ演奏家の皆さんとの競演を、会場埋め尽くすお客さまに、温かくお見守りいただいたことが、何よりも勇気の素となりました。

舞台袖で、当日の主役であるコロラトゥーラソプラノでウクライナの民族楽器バンドゥーラ奏者でもあるオクサーナ=ステパニュックさんが「ここのホールは響きがとても悪い。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場はもっと良く響くのよ。。。」と耳打ちしてくれました。メトの舞台に立った経験のあるトッププロが文京シビックの小ホールでチャリティの為にひと肌脱ぐというのは純粋なボランティア精神です。

実は、オクサーナさんとの合同練習はお互いの時間制約もあり、一度だけでしたが、時まさにウクライナの大統領選の決戦の最中でありまして、彼女は、出身国ウクライナで、オレンジ革命以降、反ロシア路線を主導した当時現職首相の大統領候補ティモシェンコ女史の髪型を真似て、同女史の応援団の一員との主張をしていました。

ちょうど今、英FT紙が臨時ニュースで伝えたところによると、ロシアのプーチン首相がイタリア訪問の帰りにウクライナの首都キエフに立ち寄り、ティモシェンコを僅差で破った親ロシア派のヤヌコヴィッチ新大統領に「ロシアとウクライナの両国の原子力発電事業を統合し、近隣諸国への電力輸出も展望した事業拡大を一緒にやろう」との提案を持ちかけたそうです。

「もしこの提案をウクライナが受け入れれば、(永年、ロシアからの“いじめ”の道具に使われてきた)天然ガスのウクライナ向け価格を30%引き下げる」という飴をちらつかせているとのことです。

在野のティモシェンコ陣営としては、何に引き換えても、条約批准を阻止したいと怒りを爆発させている要因のひとつに、同提案が、こともあろうに、チェルノブイリ原発事故の記念日と重ねてなされたことがあります。ウクライナの政治が親ロシアに抜本的に軌道修正されるのかどうかを、前代未聞の「踏み絵」を通じて確かめたいという、まさにプーチン流のマキャヴェリズムの真骨頂のあらわれです。

何も、鳩山政権に限ったことではなく、プーチンのようなタイプのような政治家が長らく日本には登場していないことが、良くも悪くも、日本の政治世界の特徴と言えそうです。しかし問題は、様々な世界の不均衡から発生しうる災害から、日本だけが鎖国的に振る舞うことで逃れることが出来ない次元になっていることです。

例えば、金融の世界的不均衡もリーマンショック以降たいして解決されていません。また、核エネルギーを含めエネルギー問題も然り。加えて、戦争やテロなど、人類が築き上げてきた文明の自己破壊力ともいうべき人間疎外と脆弱性のマグニチュードは、既に人間自らが制御できない域に達してしまい、今直ちにはそれを抑制したり革命的な技術発展によって解決したりすることが出来無さそうだということです。

これまでは我が国に潤沢な外貨をもたらし、食糧自給率が低くても、高齢化が進んでも、何とか生活水準を落とさずに済んできた日本ですが、そのエンジン部分である外需頼みの製造業も、金融の不均衡や、核依存が決して低いと言えないエネルギー供給という隘路など、様々な外生的要因、すなわち不可抗力により苛まれる恐れが高まっています。

繰り返しになりますが、既述の「今直ちに、革命的な技術発展によって解決できない」という前提に立てば、「少子化が問題だ」「温暖化が問題だ」と頭ごなしに洗脳されていて良いものかどうか、そんなことをチェルノブイリという史上最悪の原発事故の周年において、私は考えさせられました。日本と同一程度の生活水準にある国の中には、人口密度が非常に低いことなどもあり、自然との調和、生態系のなかでの恒常的な循環を見事に果たして、電力重要などを水力や風力で相当程度賄えている国も少なくありません。史実に関する争いがないわけではないですが、我が国の歴史を振り返っても、近世までは所謂「間引き」の慣習が殆どの地方で存在したこと(例外はキリスト教や浄土真宗の影響が強かった地域か?)を思い起こしたり、年金制度は空気の如くあって当然のものだという考え方を一度疑ってみることで、本来であれば日本人のお家芸だった筈の、エコロジー社会という価値観が再び発信できるように、社会設計を見直す時期に来てしまっているのではないかという思いを深くさせられました。

そのような思い、関心と、勇気を同時に与えてくれたのが、チャリティコンサートを舞台裏で支えてくださった20人を超える「チェルノブイリ子ども基金」のボランティアの皆さんです。「慣れてないのでご迷惑をお掛けするかも」とおっしゃった舞台監督さんをはじめ、ホワイエでお客さまの案内から物販まで何から何までてきぱきとこなされたボランティアの皆さんとのひと時は、疲れ切った声帯に最高の栄養を与えてくれました。様々な形の舞台があるのですが、打ち上げがこれほど盛り上がり有意義だったのは初めてです。

全ての関係者に感謝。本当にありがとうございました。
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