昨夜、NHKスペシャルでバングラデシュのマイクロクレジットが取り上げられていました。首都ダッカに流入する農村からの人口で肥大化の一途のスラム。その中で、結婚・出産後、夫が病に倒れ雑貨屋の売り上げが薬代に消え、仕入れも儘ならず、品物も客もない店先で失望する二十歳代前半の“若女将”が、保証人4人に後押しされ、ブラック銀行の審査を受けるというシーン。ブラック銀行は、ノーベル平和賞で有名になったグラミン銀行のビジネスモデルを踏襲。彼女は、融資の審査が合格し、借入金1万円そこそこで品揃えを整え、雑貨屋には客が戻り、仕入れと売り上げの循環も正常化、きっちり返済も出来ましたという話。ブラック銀行から融資を受けるのは大半がスラムの女性で、延滞率は1%に満たないとのこと。スラムの女性達は「バングラデシュという国は何も助けてくれない。自分の力で貧困から這い上がるしかない」と口を揃える。ダッカの街中で携帯電話を1分3円で貸出する男性も、同じくブラック銀行からミシン購入代金を調達するスラムの街工場の工場主も異口同音に語るという番組。
18世紀のイギリスに始まる産業革命もまた深刻なスラムを生み出したと言われています。その社会問題を批判する社会主義思想家の一方で、貧困は自力で克服するしかないと嘯く思想家も現れます(山川出版社「詳説世界史研究」)。
この受験参考書、「産業革命が富をもたらしたのか貧困をもたらしたのか、現代に至るまで歴史家の間で議論が絶えない」と締めくくっています。さしずめ現在の日本では「格差をもたらした」と締めくくられそうです。格差社会という流行語がまだ無かった頃の版なので。
バングラデシュなら「産業革命はチャンスを与えてくれる」と答えるのではないでしょうか?
ちなみに、イギリスの産業革命でもっとも没落したのは、徒弟制度に胡坐をかいていた職工のオヤジ達だと同参考書には書かれています。
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