2008年9月24日水曜日

リーマン、モルガン、ゴールドマン。

フェニックス証券オンラインセミナーも回を重ねること第6回。来週9月29日(月)夜8時から。
今回の演目は「リーマン、モルガン、ゴールドマン」。既に、ご愛読いただいているブログでの考察を更に深め、立法府や市場参加者の中にも浸透し始めた財政負担や国債需給の問題にも言及しつつ、従来どおり&期待通りの“ひねくれた”視点で、これから先の為替相場動向を占ってみたいと思います。

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http://phxs.jp/

どうぞお楽しみに!
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良い銀行と悪い銀行

●バークシャー・ハザウェイ、ゴールドマン・サックスに出資―永久優先株50億㌦など(9/24WSJ)
永久優先株の配当利回りは年10%。加えて新株予約権も購入(普通株50億㌦分)。GSは同時並行で普通株公募増資により最低25億㌦調達予定。

ソロス氏登場かと思いきや、バフェット氏でした。長期投資に値する割安条件と判断したということか。

●バーナンキFRB議長とポールソン財務長官、議会証言で7000億㌦の「非流動性」資産買取予算の重要性を強調(9/23各紙)
日本時間昨夜10時台(米国東部時間朝9時台)、英BBCは国連総会の開会演説を、米CNNはフィンランドの大学内での銃乱射事件を、そして日経CNBCは、本件米国上院銀行委員会をそれぞれ特番で臨時中継していました。

GS勤務時代に稼ぎまくって個人資産500億円以上と噂されるポールソン氏が、議員たちから袋叩きに遭っている姿が痛々しい。やはり幸せはお金では買えません!

7000億㌦という金額が尋常でないこと、それがMain Street(一般庶民)のために使われると言うが、庶民の犠牲のもとにWall Streetを助けるのが目的ではないか?という声が議員の間で少なくないという現実。

筆者は、モラルハザードの問題はもう少しわかりやすく理解すべきだと考えています。この先、不動産相場が上がると読む人は(借金してでも)自宅住居を買うでしょう。逆に、下がると読む人は賃貸を選ぶでしょう(但し、金利と賃料利回りの差《機会費用考慮後のネガティブ・キャリー》を無視した議論ですが)。今回、米国で発生し、恐らく日本にも伝播spilloverするであろう状況は、「賃貸派の皆さん、相場観が当たっていました。おめでとう」を意味します。7000億㌦等の使われ方次第では貸し手だけでなく借り手も救済されるべく、インフレ期待を通じて【不動産価格】【長期金利】【賃料水準】が三つとも上昇するでしょう。かくして固定金利で住宅ローンを組んで土地建物を買っていた人は救われ、賃貸派の皆さんは賃料アップという形で収奪されることが予想されます。FXも株式も不動産も、相場変動で損をした人がいれば、得をした人もいる。金融は所詮その程度の虚業に過ぎないと謙虚に構えなければなりません。
野村證券がリーマン・ブラザーズの欧州部門のうち、Fixed Income部門(FXや国債などを取り扱うブローカー・ディーラー部門)には興味が無いかも知れないとの報道があります。

出来る限りこのFixed Income部門を核として各銀行がGood Bankを切り離す。不動産リスクを背負い込んだBad Bankは整然と破綻処理を進めてもらう。モラルハザードをなるべく回避(経営責任と株主責任は利得の範囲内で取らせる)。無リスク金利でしか運用させてもらっていないインターバンク市場は国債と同じ信用リスクのインフラであるという本来の姿を取り戻す。。。Fixed Income部門でCDOが組成されている等、実務上難しいところはあるのでしょうが、FX業者の社長としては精一杯のポジショントーク?否、正論であります。
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2008年9月23日火曜日

小学生からマネー教育を!?【祝日なのに夕刊】

9歳の娘に外国為替証拠金取引(FX)のデモ口座でもやってみろ、というマネー教育ではございませんので誤解無きようお願い申し上げます(^^;)

リーマン・ショックに揺れた先週一週間。そうでなくても毎晩帰宅時間は遅い中、金曜日の夜やっと家族が起きているうちに家に到着したかと思いきや、母娘が口論中。「どうしてこんな点数しか取れないの!?」(中略)「ニンテンドーDS買って。クラスで持ってないのは私だけだから・・・」「テストで満点取ってから言いなさい!!」

そこで父親の登場。「勉強は嫌々やっても身に付かないから、やりたくなければやらなくても良い。ただし、DSが欲しいのなら自分のお金で買いなさい」と告げ、12月28日のチャリティ・オペラ・コンサートのチケットを額面3000円につき、2000円で渡してやり、「クラスの友達やその家族に売って来い。3000円で売れたら、そのウチの1000円がお前の儲け。これを貯めてDSを買え」。娘は意気揚々として、種銭であるお年玉で取り急ぎチケット3枚を6000円で仕入れ、「早く月曜日にならないかなぁ」と学校が始まるのを楽しみにしているようでした(お年玉で即DSを買いに行かせないところが話の味噌ですvV)。。。

小職にとって、フェニックス証券の言わずもがなの本業である外国為替証拠金取引(FX)で薄い鞘を重ねていくことは勿論大変な仕事です。が、お蔭様でブームとか評判など追い風に乗り、細々とながら順調に経営させていただいております。片や、オペラのチケットを売り歩き、中規模のホールを満員にするというのは、誤解を恐れずに言えば、FX事業よりも汗と涙が必要。ホール代、チラシ等印刷代、ゲスト出演者の車馬賃などの必要経費を打ち消す売り上げでチャリティを可能にするための黒字を達成することが如何に難しいことか、娘に体感して貰えればとの思いです。お金を稼ぐことの大変さ、経済的に独立して生活することの大変さを理解させるのに早過ぎる年齢はない・・・それがマネー教育。

DSを買ってお釣りが出て、「FXをやりたい」と言われても、最初はデモから始めろと言うつもり。これもマネー教育(^^;)
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再び、投資銀行っていったい何ですか?

●野村ホールディングス、リーマンブラザーズのアジア部門を買収(9/22各紙)
英系2社(バークレイズ銀行とスタンダード・チャータード銀行)との三つ巴の争いの末。買収金額は2.25億㌦(5千万㌦の暖簾代が含まれる)。

一方、
●三菱東京UFJ、モルガンスタンレー株の20%を取得へ(9/22各紙)
この報道を受け、モルスタ株はニューヨーク朝イチ急騰するも、ほぼ行って来いの展開。

昨夜は、金融株が急反落。ドル安、原油高となりました(勿論、貴金属も高い)。金融株の中で印象的だったのは《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》JPモルガン・チェース株の暴落。

長年、筆者の相場見通しは、当たるのに時間が掛かりすぎると批判をされてきました。だいたい2ヶ月早過ぎるのです。米国の展開の速さのお陰で、ドル安商業銀行の株安も意外なスピードで当たってしまいました。

問題は、米国ほど展開が速くない経済圏が依然として存在すること。大陸欧州と英国がそれです。先程、JPモルガン・チェースのことを《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》と申しましたが、此れ即ち欧風のユニバーサル・バンキングに他ならない。《証券》が《銀行》より破綻させやすいのは、預金保険機構に守られた退屈な調達手段に頼れないことだけでなく、有価証券~証券化商品を含めより広範囲に時価会計に晒されている宿命によるところが大きいと言えます。

さて、《証券》≒《投資銀行》の筈ですが、既に巨大な証券会社の機能を持つ三菱と野村が《投資銀行》機能取得に懸命なのは何故でしょうか?M&A仲介・助言、株式引受、証券化、、、これらの機能強化が狙いでしょうか?これら手数料ビジネスが競争激化で成り立たなくなり、「レバレッジを効かせて資金をお付けするので、どうかひとつM&Aにも噛ませてください」流の商売しか出来なくなったのが、ブローカーだった筈の証券会社が(銀行なのか証券なのか判然としない)『投資銀行』に変貌せざるを得なかった理由なのでは?リーマン⇒ライブドア⇒ニッポン放送にしても、BNPパリバ⇒アーバン・コーポレイションにしても、ブローカーとしての販売能力が評価されているわけでは全くなく、情報とか知恵の対価として手数料を稼ぐ伝統的な投資銀行部の仕事を大きく逸脱しています。投資銀行業務の超過利潤の源泉が人材でもなければブランドでもない。そして勿論バランスシートでもないという現実を吟味したうえで作業に入ってもらいたいものだと、三菱と野村には期待します。
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