2008年6月9日月曜日

バブルは何故繰り返されるのか?

週末、7(土)の正午過ぎ、NHKの衛星放送「地球特派員」という番組を見ました。米国のサブプライムローン問題について、小説家の江上剛氏が取材。コメンテーターとして藤巻健史氏、コーディネーターは金子勝氏。

元第一勧業銀行で、バブルの生成と崩壊、そして総会屋対策の当事者として銀行の浮沈を見てきたという江上氏。日本の金融のお手本だと言われてきた米国で、どうやら日本の不動産バブルよりも酷い事態が発生している。それをこの目で確かめたかったという江上氏が、いまだサブプライム問題は何処吹く風と嘯くニューヨークはマンハッタンの超高級マンションが主としてユーロ高で沸くヨーロッパの投資家、そしてオイルマネーを背景にした中東の投資家に驚くような値段で売られている現状。一方で、ロサンゼルス郊外やデトロイト周辺では家屋の差押の急増ぶり、シャッター商店街、テント住まいの家族が残酷に映し出されていました。

江上氏は、「日本の不動産バブルには勿論銀行も責任を負っているが、まだ銀行の貸出姿勢にはモラルがあった(!?)米国のサブプライムローンはモラルもへったくりもなかったのではないか。またそれを証券化して世界中に撒き散らすとは言語道断」と主張。

一方、元三井信託銀行、JPモルガンで伝説的ディーラーと呼ばれた藤巻氏は、「それでも米国は金融立国。何があっても金融という産業で生きてゆくという意識は磐石」と反論。

江上氏も、FEDの対応や、SWFからの増資受け入れなどに見るスピード感は羨ましいと溢す。

筆者は、日本の銀行経営の失敗の最大の原因は人件費を中心とするコスト構造にメスを入れられなかったからであると、20年前から思っています。

そして、これを総合企画部の末端係員時代にエリート幹部に事ある毎に繰り返し、嫌われ、苛められ、総合企画部の歴代最短記録の1年6ヶ月でクビになりました。その御蔭で、今日に至る証券業務に携わることが出来ました。

日銀と大蔵省の金融緩和政策と引き締めへの大転換、米国をはじめとする自己資本比率の規制や時価会計の強要、これらをひっくるめた米国陰謀説やユダヤ陰謀説は、大手銀行の「逃げ切り世代」にとっては言い訳にもならないでしょう。

また、不動産関連融資への傾斜は、リスク管理の幼さであるという主張も、リスク管理を高度化すれば銀行経営は健全になるという結論を引き出すという点で、くだらない議論のひとつです。

付加価値を失った人員、店舗、システムの経費をカバーするためには、リスクを感じつつも不動産にのめり込まざるを得なかったというのが正解です。

金融自由化と金利自由化で貸出先も減る、利ざやも減る。構造不況をいち早く認めるべきところ、「若手行員たちよ、知恵で乗り切り俺たちの退職金を稼いでくれ」というのは所詮無理なのです。証券業界を見てください。手数料の自由化が、証券会社の店舗や人員を不要にしていることは誰の目からも明らかなことです。

貸出先が減ったのなら、店を閉めるべきだったのです。これが「逃げ切り世代」には意思決定出来なかった。

FXを見てください。ドル円往復たった2銭は決してフェニックス証券だけではありません。20年前、筆者が銀行に入ったときは往復2円だったんですよ。

NHKの番組に話を戻すと、この程度の結論を導くために、ニューヨークまで飛行機を飛ばさないで欲しかった。というのが筆者の感想です。
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今週も頑張ります_m(..)m_

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