本日ブログ【朝刊】のチャリティオペラコンサート直前情報
『カヴァレリア・ルスティカーナ』
の独断と偏見に基づくご紹介に続きまして、ドニゼッティ作曲『愛の妙薬』について押し付けがましい紹介をさせていただきます。
みなさんは“妙薬”と聞いてどんなお薬を想像されますか?原題はイタリア語でElisir d'Amor。エリジールとは秘薬とか媚薬と言う意味です。しかし、このオペラが輸入された時代、「愛の“媚薬”」と訳するわけには行かなかったのでしょう(La Traviata【道を踏み外した女】の主人公がVioletta【すみれの花】なのに何故か『椿姫』だったりするのと同様、絶“妙”な訳出の一例なのかも知れません)。
ところで、このオペラは媚薬のお話かと、鼻の下を伸ばしてお待ちの皆さま。残念ながら、勃起薬が役に立つようなシーンは全くない、ハッピーエンドのドタバタ喜劇なのです。
とある田舎村。風采の上がらない青年ネモリーノは、自分より身分が高く聡明な女性アディーナに心を寄せています。村の中で老若男女から慕われているアディーナが、そんな村人たちに『トリスタンとイゾルデ』の物語を読んで聞かせるシーンでオペラは開幕します。惚れ薬を飲んでイゾルデ姫の心を掴んだトリスタン。そんな妙薬なんてあるのかしらとアディーナはせせら笑います。そこに現れた軍曹ベルコーレの雄姿に、アディーナは「悪くないわね」。ネモリーノは、突然の恋敵(?)登場に焦ります。
ネモリーノに挽回のチャンスを与えたのがイカサマ医師ドゥルカマーラが売りつけた妙薬ならぬ単なる安ワイン。これを呑めばアディーナが自分を向いてくれると信じて酔いしれるネモリーノ。そのご機嫌な姿をアディーナは面白くなく、さっさと軍曹ベルコーレとの結婚の日取りを決めてしまいます(二重唱「ラララ・・・」)。
逆効果となったのは、妙薬が単なる駄酒なのではなくて、薬が足りないからだと思い込んだ、おつむの足りないネモリーノは安ワインももう一本買いたいのですが、財布は空っぽ。忸怩たる思いで恋敵ベルコーレの軍隊に入隊を決意し頭金で安ワインに大枚を叩きます。
安ワインをオカワリし泥酔したネモリーノは、一部始終がドゥルカマーラからアディーナに伝えられ、彼女の心が自分に向けて開き始めたことも知らず、片思いの気持ちと一縷の望みを願って「一筋の涙が・・・(人知れぬ涙)」を絶唱します。
明日は、プッチーニ作『蝶々夫人』をご案内します。
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