2008年8月19日火曜日

猿も木から落ちる⇔猿蟹ばなし

筆者がコラムを連載させてもらっている月刊FX攻略。その第3号(9月号)の発売が明後日21(木)に迫りました。全国有名書店で発売予定ですので是非お買い求め下さい。

9月号の筆者コラム「築城3年、落城3日-FXのキャリートレード」の極一部をご紹介しますと、、、

(前略)
FXのキャリートレードは次の理屈で「築城」されるバブルだ。つまり、

①インフレ指標の悪化⇒②政策金利の引き上げ⇒③高金利目当ての資金流入による通貨の上昇⇒④投資過熱による更なるインフレ悪化⇒②に戻る

この循環が起こっているのが現在のユーロ圏であり、しばらく前まで起こっていたのが多くの新興国である(原稿〆切時点7月4日現在)。

(中略)

円キャリーのドル高が信用問題をきっかけに崩壊したように、ドルキャリーのユーロ高も時間の問題だと思うのは筆者だけだろうか?「原油高ドル安=負の連鎖」と囃し立てるマスコミ・エコノミストの気持ちもわかるが、ドル売りを決め付ける一辺倒な“不美人投票”は余りに危険だ。どの国もそれぞれ醜い欠点を持っているのが実情なのだから。
(以下略)

続く10月号の原稿「猿も木から落ちる-それがFXの魅力!?」は筆者が力み過ぎて割り当て文字数を大幅に超えてしましました。月刊FX攻略の編集長に泣く泣く削除された部分をコッソリお見せします。

(前略)
猿も木から落ちる・・・だからFXは個人にとっても魅力的なのだ。ただし、同じ猿でも「猿蟹合戦」の猿は駄目。アーバン・コーポレイション倒産直前の転換社債の引受・払込前後の株価を見るが良い。典型的なインサイダー的、相場操縦的な株価推移。倒産直後にようやく“種”明かしされたのは発行体(アーバン)と引受人(BNPパリバ)の裏取引(スワップ契約)だった。懸命な個人投資家はこんな柿の“種”を喰らいたくはない。今後、監督当局や司法が介入する事態が考えられる(原稿執筆時点8月18日)が、本件が如何に争われようと、情報の非対象性が放置される市場が参加者に次々と見放されることは間違いないのだ。
(以下略)

ちなみに「情報の非対称性が放置される市場」というのは日本株や商品先物のことを言っているつもりです。
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ハリケーン再び上陸-その名も“ファン・フレッド”

●ファニーメイ・フレディマック、米国株の足を引っ張る(8/18WSJ,FTほか)
先週のWSJとのインタビューでグリーンスパン氏から「一時国有化⇒分割民営化」しか道は無いと駄目出しを喰らった“ファン・フレッド”。同じくWSJ系列のBarrons誌が、これら2つのGSEについて「公的資金投入の見通し⇒既存株主・劣後債権者の権利は紙屑になるかも」と報じたことで、両社の株は再び大きく下落。

グリーンスパン氏に無能呼ばわりされたポールソン氏は、Barrons報道を否定(但し、両GSEに対し資本増強を急ぐよう公式に要請している事実は認めた)。

モラルハザードを嫌がるブッシュ政権との擦った揉んだの末、予算面で全権を掌握したポールソン氏だが、グリーンスパン氏からの政策批判に対するメンツなのか、今後の出方がハッキリしません。

株式相場的には、公的資金導入が決まるのか見送られるのか、どちらが買い材料なのか?為替についても、株安+ドル安+原油高というシナリオが予想通り崩れた後、ファンフレッド問題こそが次なる台風の目だと考えられます。

我が国知識人の間では「米国発“サブプライム問題”は日本のバブル崩壊後の失われた10年と問題の所在は似ているが対応するスピードが違う」というのが略共通の論調。住専問題の6850億円ぽっちで何を喧々諤々してたんだと言うのです。果たしてそうでしょうか?確かに、日本の金融機関が不良債権処理+赤字決算を先送りした背景に護送船団を率いた金融当局の天下りの誘惑などなど独特の問題はありました。しかし、不動産市況は単なる景気循環ではなく、不動産バブルを意図的に起こさなければ肥大したホワイトカラー組織を食わせていけないという金融業界の弱みという点では実に日米共通なのではないかと筆者は考えます。市場参加者は未だそこまで達観していないでしょう。この段階に来ると、グリーンスパン氏の意見は正論だとしてポールソン氏がすんなり受け入れるというシナリオがもしあったとしても相当程度時間が掛かるのではないでしょうか?
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2008年8月18日月曜日

白馬の騎士は誰なのか?

南オセチア分離派を支援することを口実にグルジア全土に進軍を試みたロシア。グルジアの自決が侵されているとしてロシアと対峙する米国。その米国とロシアの間に入り調整役を買って出るフランス。もう一丁、ドイツも「参戦」?一体、誰が白馬の騎士なのでしょうか?

水戸黄門に代表される時代劇は勧善懲悪が基本。しかし本物の歴史まで勧善懲悪で説明しようと試みるのは勝てば官軍式のプロパガンダ以外の何者でもありません。

フランス革命が成立し断頭台の露と消えたマリーアントワネット。「パンが無ければケーキがあるじゃないの」という宛ら空気を読めない発言を流布することで新興市民勢力はブルボン家を悪者に仕立て上げました。しかし死人に口無し。そんな発言を聞いた執事が革命軍に内部告発したって、ちょっと無理がありませんか?

中学校時代、古代史が大好きで話は面白いが教科書が全然進まず同級生をやきもきさせていた歴史の先生、いよいよ19世紀帝国主義の時代に入るかと思いきや「アフリカや中南米の植民地化の事実を知ると諸君は西欧列強すべてを嫌いになるだろう。ここから先は勉強しないほうが良い。一気に飛ばします」とご発言。結構ウケました(苦)。

植民地化や奴隷貿易という人倫に悖る行為が何故競って進められたか。いち早く太陽の沈まぬ国となったイギリスが、列強他国も真似しようとしたとき、それは世界倫理に照らしやり過ぎですよと掌を裏返し国際世論に訴えます。イギリスが紳士の国であるからでは決してなく、物質的に豊かになるために、自分達がやらなくても他がやる、それなら先にやろうという競争主義ストレスが根源にある。この理解こそ歴史教育が果たさなければならない最重要命題ではないでしょうか?

複雑なグルジア情勢を、はたまた思春期の頃まではもしかすると理想主義に燃えていたかも知れないスターリンやプーチンも結局は粛清に訴える人間の性を、読み解く鍵はそこにあるのではないでしょうか?

ところが、歴史教育がひたすら暗記物を続けている間にインターネットが急速に発達してしまいました。その御蔭で、イラク介入やソマリア介入の動機が「非民主的政権によって蹂躙されている民衆を救済するために“紳士の国”アメリカが立ち上がってくれた」などというプロパガンダを信じる人は誰もいなくなりました。

●グルジア紛争に対峙、西側は一枚岩に?(8/17FT)
●ロシア、本日にも停戦合意に基づきグルジアから撤兵?(8/17WSJ)
一枚岩は無理でしょう。ヤルタ会談も一枚岩から程遠い、欲のぶつかり合いだったと。
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2008年8月15日金曜日

超~気持ちいい。

●ドルは底打ち、ユーロは下落へ-ゴールドマン・サックス調査レポート(8/14ロイター)
ゴールドマン・サックスは為替について、米経済成長の安定や原油価格の下落、米国外の見通し悪化を考慮し、過去10年にわたる米ドルに対する弱気スタンスを放棄する、との調査リポートを明らかにした。

4月以来、筆者ブログ並びにフェニックス証券オンライン・セミナーを参考にしてくださってきた皆さま、この日を待っておりました。

ゴールドマン・サックスはフェニックス証券にとって最も大事なカバー先のひとつです。これまでも、そしてこれからも。同社の調査能力、ビジネスを生み出す力が如何に卓越しているかは、昨年来のサブプライム騒ぎの渦中でのアウトパフォーマンスを見れば改めて説明を要しません。所詮、相場観は当たるも八卦、当たらぬも八卦。それはFX業者の経営責任者も然り、またお客さまにおかれても然り。自分の思い込みが間違ってたなぁと即座に反省して損切りが出来る人間力こそ長期間に亘り投資をエンジョイ出来る秘訣だと常日頃から考えています。

アーバンコーポレイション向け債権に回収懸念-東急建設と五洋建設(8/15日経)
金額は未定。昨日【号外】ではないほうのデベ⇔ゼネコンの企業間信用とはこのこと。前回の不動産不況以来、マンションデベは過当競争のゼネコン業界の弱みに付け込み、法外な延払い条件を呑むのなら発注してやる、という商慣習を定着させていた。今年最大の倒産をフォローする記事は本日の日経朝刊でたったこれだけ。米国のサブプライム問題で大騒ぎしておきながら、日本の不動産不況と信用収縮については意図的としか思えないほど取扱が小さい
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