前代未聞。冷静に考えれば、SQ前夜に米国で空売り規制が撤廃されてしまったのが最悪のタイミングだった。
大和生命、更生特例法を申し立て。
きょうに限らず、今週は特に多くの取材をお受けしました。よくある質問は、
「株価(指数)の適正水準は何処だと思われますか?」
わたしの答えは、株価(指数)には適正水準なるものが存在しない。但し、為替(FX)は別かもしれない。。。です。「為替(FX)は別かも、、、」の話は後に回して、株価については巷間よく言われるように
①株価が下落⇒②逆資産効果⇒③消費が低迷⇒④企業業績が悪化
⇒っで、①に戻る。際限なくこれが続くので、自由放任主義は株価の自由落下に繋がるという理屈です。
「株式や為替については、損をした人がいれば必ず儲けた人がいる筈。上記②の逆資産効果は“火事場泥棒”の資産効果で打ち消される。」というのが捻くれ者の七転び八起きの珍説ではないのか?なのに適正水準は無いと答えるのか?
株価が自由落下する場合の火事場泥棒は人数が少なく富の偏在が極端になり過ぎるので資産効果が十分働かない。但し、このような火事場泥棒、いや失礼、先見の明のある超大金持ちは主としてM&Aという形で株価の下支え要因になります。既に、わたしの周辺でもそのような動きが加速しています。M&Aの件数は、株価が上がりすぎて、企業経営者がM&Aに頼らないと株主の期待に副えない状況下と同じように、株価崩落時にも激増するものなのです。
一方、為替(FX)については、購買力平価が適正水準の目安の筈だという事実をキャリートレードバブル時に有名エコノミストが無視し尽くしたと、4月以来批判し続けて参りました。ところが、通貨によっては、
◎購買力平価が投機的な実為替の水準を引き寄せる
という原則通りに行かず、
×投機的な実為替が購買力平価自体を引き寄せる
ということが起こり得るのです。極端な例で、決して日本のことではないのですが、貿易依存度が高くて食糧自給率が低い加工貿易立国を想定します。極端な例なので、労働者国民の食糧と工場の原材料は全て輸入に頼る。完成品は全て輸出に回すと仮定しますと、この国の為替水準が、これまた極端に昨日から今日にかけて半分に通貨安になったとしても、生産要素の費用増と完成財の売上増が打ち消しあって、意外なほど国民生活に影響を与えないという結論が導き出せます。
80年代後半の円高局面では、以上“暴論”を経済学者や政治家、政策担当者が気付かなかったか無視した。当時わが国の指導者が見過ごしたのは、円高メリットを国民の端々に還元せずコッソリ独り占めする卸売+小売の既得権益構造が複雑怪奇に横たわっていたという問題の所在。
勿論、わたしが掲げた例は極端過ぎて、我が国にもコメのように極端に自給率が高い一次産品は存在するとか、自動車や電化製品を一部は内需してきたわけですから、日本を想定して「為替にも適正水準は存在しない」という暴論を当て嵌めるつもりはありません。
しかし、小国で一次資源(農林水産物や鉱物、原油など資源エネルギー)を殆ど持たない貿易立国には当て嵌まってしまうのです。実にアイスランドがその典型例ではないのか。但し、アイスランドは貿易立国ではなく似非金融立国だったようですが。
一方、私の大好きなニュージーランド。小国という点が当て嵌まるのがヤバいですが、貿易立国ではありません。電気も食糧も、鎖国しても大丈夫な体制が取られています。
実は、1980年から2007年までOECD計算による購買力平価(ビックマック指数よりは信頼出来るとされているが勿論完璧たりえない)と実為替のグラフを米ドル円とNZドル円で作ってみました(やり方が判ればブログにアップします)。やはり、小国である分、NZドル円のほうが、実為替に購買力平価が翻弄されている傾向が出てきます。
以上のお話は、為替相場が貿易収支だけと影響しあうという大前提になっています。貿易取引を遙かに上回る資本取引・金融取引が実為替をより翻弄することは現実見ての通り。資本取引や金融取引がクレジットクランチやホームバイアスにより縮小すると、貿易要因が増えるので、現在は青臭い「貿易論」をする格好のタイミングだと思っています。それでも、小国に対する為替相場は行き過ぎる危険があるのだということをご理解いただけたら、長い文章を週末に書いた甲斐があるというものです。
週末は、リカード、レオンチェフ、そして“M.フェルドスタイン=C.ホリオカ”を猛勉強です。
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