2008年10月30日木曜日

米国利下げ。FF金利は1.0%

同日、中国やノルウェイも利下げ。ECB、BOEも来週利下げが濃厚と、WSJ紙。

更なる利下げも臭わせたFOMC。「ゼロ金利政策が近づいていることのジレンマ」という表題でFT紙は90年代の日銀の政策が景気浮揚に成功しなかったことと今回の米国の事態を比較しています。

デフレ下で名目金利をゼロにしても、実質金利(注)は高止まってしまうわ名目金利はマイナスには出来ないわで万事休す。これが90年代の日本だ、と。現在の米国は(ヘッドラインインフレこそマイナスに転ずるリスクが濃厚だが、生鮮食料品とエネルギー価格を除いたコア)インフレは(元々の水準が)高いので大丈夫。金融政策の余地はある、と。

(注)実質金利=名目金利-期待インフレ率

しかし、中途半端な経済学者がよく間違える罠なのですが、只今現在のインフレ率と、その将来の予想とは意味が異なります。加えて、現在の米国金融の最大の問題は名目金利が一物一価になっていないこと、つまり銀行間市場の機能不全は依然続いているため、政策金利を引き下げても銀行間の(無リスク金利である筈だった)金利が高止まり、結局は実質金利を制御できない事態に陥り続ける恐れがあるということです。

完全雇用状態(デフレギャップが無い状態)を実現する金利を「中立金利」と定義づけ、中立金利の下落に対して政策金利の引き下げが後手後手に廻ると日銀が直面したゼロ金利のジレンマに陥ると論じたのがスタンフォード大学のテイラー教授です。金利政策に限定する限り(つまり、中央銀行の機能は金利政策だけではないということが言いたいのですが・・・)、米国の現況は既に90年代日本と同様の落とし穴に嵌っているといわざるを得ません。

ただし、ユーロ圏も五十歩百歩ですが。
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