2008年10月21日火曜日

銀行による株式保有は禁止されるべきだ

●CITIC香港現地法人、為替投機で20億㌦穴を開ける(10/20FT)
CITIC(中国国際信託投資公司)は政府系巨大ノンバンクみたいなもの。その香港現法(上場企業)が米ドル売り+豪ドル買いのポジションで大ヤラレした。しかも巨額のポジションを持つことについてちゃんと稟議があがっていなかった。

内規や決裁権限は措くとして、マクロ分析で豪ドルが対米ドルで割安に映った気持ちは個人的には判らなくもない。レバレッジ過多に硬直的なロスカットルールではリスク管理の機能が果たされない。むしろ損失の思わぬ拡大に繋がる。この点、個人レベルでも巨大金融機関でも同じなんだと本件は示している。

こういう馬鹿な政府系金融機関があるお陰で、豪ドル/米ドルは史上稀に見る押し目買いbargain huntのチャンスを提供してくれているような気もします。

ところで昨夜の相場は、
●景気後退見通しで米ドルは前半の下落を補う(10/20FT)
米ドルと日本円は先週ボラティリティ急騰を味方につけ高値を享受してきた。しかし、スウェーデンと韓国の公的資金導入発表で、ドルと円は下落。

世間の大半は相変わらず単細胞。米ドルと日本円はキャリートレードの原資に過ぎず、リスク性向の度合いに反比例して上げ下げすると同紙は指摘。

本日一番取り上げたかったのは、
【番外編】自己資本規制比率見直し検討-銀行貸し渋りに金融庁が対策、含み損処理など焦点(10/21日経)
日本の銀行は海外の銀行に比べて株式の保有比率が高く、株価下落局面では規制自己資本下落が追い討ちを掛け貸し渋りの原因になる、というのが銀行界の言い分。

ちなみに、銀行保有株式(など有価証券)の含み益を規制自己資本に入れて欲しいとBIS(国際決済銀行、於バーゼル)に主張したのは日本。結果、認められたのが45%相当を補完的項目に入れること。逆に含み損については税効果勘案後を補完的項目から差し引かれるので現在の法人税率を前提とすると約60%相当と、プラスとマイナスで非対称的だと泣き言の理由になっている。

何故、バブルが繰り返されるか?何故、銀行破綻を招くほどの不良債権が発生するか?私の答えは変りません。銀行の数、銀行員の総人件費が高すぎるのです。R銀行を公的資金で救済して「失われた10年」に終止符が打たれたと巷間言われますが、わたしに言わせれば、R銀行1行分がこの国には余計だ。

銀行保有株式について言えば、銀行が融資先の「物言わぬ株主」という地位に甘んじないと融資先を増やせない融資を伸ばせない。間接金融の少ない需要に対して供給過多(オーバー・バンクと言います)つまり過当競争となっている状態を、90年代高額の授業料を払ったにもかかわらず是正出来なかったことこそ、バブルと不良債権が繰り返される諸悪の根源です。

時限を設ける等の激変緩和措置があって良いので、銀行による株式保有を例外なく禁止すべき。「貯蓄から投資へ」のラストチャンスが今到来した、というのが私の考えです。

ちなみに、R銀行は無借金経営の優良企業の当座貸越枠さえ貸し剥がす一方、貸出先には不良人材を半ば強制的に送り込み、自発的な経営改革を逆行させ、結果として不良人材派遣元の融資や政策保有株式の価値を下落させ、それゆえ公的資金(つまり我々の血税)も返済できない、愚かな金融機関です。
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