2009年6月30日火曜日

明日7/1(水)よりForexLine主要通貨小口化を実施

昨日締め切られた「レバレッジ規制」に関する内閣府令改正のためのパブリックコメント。25倍~50倍という規制の方向に変更がないとすれば、外国為替証拠金(FX)取引の魅力≪手軽さと利便性≫をどうすれば確保し続けられるのか?

フェニックス証券の答えは『小口化』です。

当ブログで予告して参りました通り、明日7/1(水)より、主要通貨(当面は、ドル円、ユーロ円、豪ドル円)のお取引を1000通貨単位から可能と致します。詳しくは、ホームページをご覧ください。

http://phxs.jp/

なお、このホームページも、今週末、大々的にリニューアル予定。業界最大級の情報サイトに生まれ変わる新ホームページも合わせてお楽しみに!
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高リスク金融商品CFD、投資勧誘を禁止

検討に入ったのは(金融庁ではなく)日本証券業協会と日本経済新聞の報道。訪問販売や電話での勧誘はすべて規制すると。

CFD(差金契約)については、先週、やはり日経新聞が“株式版”FXという絶妙な“愛称”を付けたばかり。

株式版“FX”=CFDは『丁半博打』なのか!?

今朝の記事では、その“愛称”を敢えて取り下げ、「CFDと仕組みがよく似た外国為替証拠金(FX)取引ではすでに金融庁が訪問販売や電話勧誘を禁止している」という表現にとどめています。

金融庁による規制と日本証券業協会による規制とは何が違うのか、一般の方々にはわかりづらいでしょう。実は私にも良くわかりません(笑)。規制に関する考え方は、こちらを。

FX会社の廃業、身売り、だけでなく・・・

自主規制機関と業界団体という二つの顔を持つ日本証券業協会のCFDいじめは極々自然な生業。しかし、外国為替証拠金(FX)取引の専業またはそれに近いオンライン証券にしてみれば、CFDがFX同様の勧誘規制を甘受するのは想定の範囲内なのでは。
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2009年6月29日月曜日

消費者金融を解禁する中国、規制する日本


先日の日本経済新聞が報じた中国、消費者金融を解禁 国内消費を後押し 英エコノミスト誌がアジア経済を扱った記事「望まれる“買い物中毒”」【注】によると、アジア諸国では家計の負債(≒個人の借金)がGDPに占める割合が概ね50%以下【注】だが、特に中国とインドは15%以下。健全過ぎる同割合の背景として、これまでアジア諸国に耐久消費財の購入を後押しするローンビジネスが事実上皆無だったことを挙げています。

左のグラフは、上記記事に添付されていた鉱工業生産を新興アジアと米国で比較したもの。落ち込み続けるの米国と対照的に、新興アジアは金融危機以前のレベルにまで回復しており、特に中国の貢献が大きいと見て取れます。

サブプライム問題への露出が少ない我が国金融機関の健全経営のお陰で、時の経済財政担当大臣をして「米国金融危機の影響は、蜂にさされた程度」と言わしめた盤石な筈の日本経済。金融危機の本場である米国よりもマイナス成長が酷いという皮肉に見舞われ、多くの政治家や経済学者は
「外需(輸出)依存の日本経済の体質の転換を怠ってきたツケが回ってきた。危機の今こそ、内需(特に個人消費)の拡大を。」
と、鬼の首を取ったかのように、財布の紐を縛りたくなるのは「節約は美徳ならず」というケインズの逆説を持ち出してきたものでした。我が国のポピュリスト知識人の戯言を実行しているのが、貯蓄大国(≒外準大国)の地位を我が国から奪った隣国中国であることもまた皮肉です。

我が国も、中国ほど大胆な個人消費刺激策(消費者金融会社の設立解禁だけでなく、既に実施済の耐久消費財購入インセンティブなど)を“逆輸入”すべきなのでしょうか。80年代までは、主要先進国中断トツの高さを誇っていた総貯蓄率【注】が急速に陰りを見せ、特に家計貯蓄率【注】で言えば、フランス、ドイツ、イタリアなどに抜かされているなどして現在OECD中14位に過ぎないこと【右グラフ】を認識したうえで、このようなポピュリズム政策と対峙しなければなりません。

金融庁による貸金業規制(特に借入額の年収制限といった総量規制)は、グレーゾーン金利(過払い金利、みなし弁済)の決着に追い打ちを掛けるものですが、業界規制という観点だけでなく、景気対策としては大きなマイナスである点はもう少し注目されるべきなのでしょう。しかし、中国の政策を真似る余裕が日本にはないのだという認識に照らせば、金融庁の政策は、隠れた意図も含め、実に正しいのです。
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【注】原題はShopaholic wanted
【注】韓国が例外。ちなみに主要先進国の多くは100%前後
【注】総貯蓄率=総貯蓄/国内総生産(名目GDP)。総貯蓄=貯蓄+固定資本減耗+資本移転(純)。 家計貯蓄率=家計純貯蓄/(家計可処分所得(純)+年金基金年金準備金の変動(受取))。家計純貯蓄=家計可処分所得+年金基金年金準備金の変動(受取)-最終消費支出

2009年6月26日金曜日

少子高齢化が意味するものは必ずしも悪いことではない

難解な英語で知られる英エコノミスト誌の最新号の特集。題して、

「人口統計学の意味するところ、先進国国民の殆どは、(現在の定年よりも)もっと長く働き続けざるをえない。しかしそれは必ずしも悪いことではない」

この記事に、「先進諸国」における年金や生活保護の歴史の一遍が綴られています。

★1889年、オットー・フォン・ビスマルクが労働者向けに世界初の年金制度を導入したとき、プロシア人の平均寿命は45歳だった。一方、年金支給開始年齢は、70歳だった。

★1908年、ロイド・ジョージが高齢者貧困層のための生活保護制度を導入したとき、イギリス人の平均寿命は50歳だった。一方、生活保護対象年齢は、70歳以上だった。

★1935年、米国初の社会保障制度が開始されたとき、公的年金の支給年齢は65歳。当時の米国民の平均寿命は62歳だった。

拙書『“為替力”で資産を守れ!』でも、米国と中国と日本の社会保障制度の違いについて取り扱いました。士気の上がらない社会保険庁の存在は論外だとしても、年金制度の破綻の原因を政治(家)のせいにする風潮が変わらないとすれば、そんな国の国民の自己責任の欠如こそ問題。“為替力”という造語は、「自己責任のある国の通貨を買いましょう。あなたのまわりの無責任な選挙民。彼らが選ぶ無責任な世襲議員よりも、賢い通貨の選択のほうが、あなたの資産を守ってくれるでしょう。」という気持ちを込めた言葉です。「七転び八起き」も、何十年先、今より視力や筋力が已む無く衰えたときどういう仕事が出来るか想像しながら日々ビジネススキルを磨いて行こうと考えております。
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2009年6月25日木曜日

第二種金融商品取引業の追加登録、大証FX【PR】

フェニックス証券を日頃から監督していただいている近畿財務局さんの素早いご対応のお陰で、金融商品取引業の変更登録を早々に完了することが出来ました。

フェニックス証券、金融商品取引業の変更登録を完了。業務の種別の追加(第二種金融商品取引業)により、「大証FX」参加資格取得準備

「証券取引法」時代の証券会社は、ざっくり、第一種金融商品取引業に登録され直されておりましたが、市場デリバティブである『大証FX』を取り扱うためには第二種の追加が必要でした。あとは、システムのテストがうまく行けば、取扱体制が整うことになります。

店頭FXの小口化(1000㌦対応)、CFD取扱開始、『大証FX』取扱、、、、と来月以降は新規業務が目白押しのフェニックス証券にどうぞ御注目ください。
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2009年6月22日月曜日

「為替力」で資産を守れ⇒読者からの嬉しいお便り

拙書読者の方から、身に余る程のお言葉を頂きました。大変長文のお便りですが、余りに嬉しく、原文のまま引用させていただきます(以下引用)。

思わず「読みたくなるような」、まったくのド素人の私でも「ワクワク」しそうな貴重な本を頂いて恐縮しております。有難うございました。TVでお馴染みの方の社長との対談、社長とソックリ(?)さんのソムリエのワイン談義(しかもカラー版!)などなど、、、

話は変りますが、実は私20年以上になりますが(脳梗塞で倒れたのは48歳でした。今年の2月で67歳に。。)、大手船会社を依願退職し東証二部上場の倉庫会社に入社。その6社ある子会社に代取を任されたことがありました。平成の初期、バブル絶頂期でワープロ教室(古いですね)を改革してパソコン教室を経営し、その検定資格を持った方達(主婦・OL)を利して「人材派遣業」にも手をのばし業績も右肩上がりで順調そのものでした。当時では求人難で、その波に乗りパソコン教室の生徒さんも増える一方でした。大きな教室の物件へ移転を試み、大きな機材(PC・DTP・大型プリンター)と共に引越しを徹夜まで強行したのです。翌朝に疲れでしょうか?「脳梗塞」で倒れてしいました。左半身マヒになり加えて「失語症+頭の方もイカれました」、経営を続ける機能も失ってしまいました(バリバリの若手経営者が奈落の世界に!)。 爾来、療養中にもバブルも吹き飛んで業績悪化し、子会社を辞めました。

★★★中略★★★

「バリアフリー新法に関する建築物の施工条例」が数年前に実施されている筈ですが、新しい建築物はともかく、バリアなくてもスロープが付けなくちゃならないハズで「高齢者・障害者」用のバリアフリーの必要性の実施を説いています。健常者の「気が付かない」ものが「高齢者・障害者」にとっては「言いようがなくて説明しようもない」困難なバリアがあるのです。最近、交通機関でもエレベーターの設置などバリアフリー化が進んでいるように見えます。まっとうに、使えるのは「地下鉄大江戸線」だけです。これは流石に良く設計されていて「通路・改札・車両・エレベーター」も完備されており、どこへでも行けるので多いに利用しています。

社長のお誘い頂いた「オペラ・ガラ・コンサート」も電動カーで「大江戸線:春日駅」で降りて文京シビックホールへ直行で行けることが出来ました(座ったまんま行けるのは夢みたいでした)。
http://www.b-academy.jp/b-civichall/
http://www.b-academy.jp/event/detail_dyn_j.html?iid=1045
以来、丹羽バリトンのオペラ歌声に魅せられ、「オペラ」の世界にすっかりハマってしまいました。近くにある都内では珍しい「オペラサロン・トナカイ」の常連客になってしまう始末です。
http://www.opera.co.jp/
食事・鑑賞つきでゆったり、楽しめます。但し、出されるワインは不味い《筆者も同感^^;なので敢えて原文のまま-筆者注》。私の実弟にも「男性合唱団」を創設して40年以上になりますが「首都圏で一番上手い合唱団」にノミネートされるように(netで引いてみてください)なっています。
http://piza.2ch.net/log2/classic/kako/952/952606372.html
http://www.chor-farmer.com/html/profile.html

(引用終了)バリアフリーの文京シビックホールには、筆者と某読者様とを結びつけてくれたことに感謝します。一方、筆者のお陰で常連客を一人増やせたオペラサロン・トナカイ(および出演プロの皆さん)は感謝してください(笑)。
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米長期金利に「ドル売り爆弾」

7月号のザ・ファクタ【月刊誌FACTA】
http://facta.co.jp/
に、
米長期金利に「ドル売り爆弾」
~北京大学で嘲笑を浴びたガイトナー財務長官の屈辱。BRICsの株価回復も資源高も「正体」はドル逃避では~
http://facta.co.jp/article/200907006.html
という記事があります。「七転び八起き」が、当ブログほか、『月刊FX攻略』や日経CNBC等を通じて、年初来こだわってきた米中関係(中国のドル保有のジレンマ)の問題が、ガイトナー米財務長官の訪中での“象徴的な出来事”と絡めて炙り出されている渾身の記事。是非、書店または定期購読で月間ファクタを手にしてお読みください。
http://facta.co.jp/
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2009年6月19日金曜日

豪ドル/円のスプレッドが3銭から!?

店頭外国為替証拠金(FX)取引【フォレックス・ラインForex Line】の小口取引(主要通貨ペア1000通貨から)、取引所FX取引【大証FX】、そしてCFD【アクティブ・ゼロ・ネオActive Zero Neo】それぞれ開始と、7月以降目白押しのフェニックス証券から、、、

豪ドル/円のスプレッド 本日より3銭から!!

期間限定、ロンドン時間中心に、「大安売り」のお知らせです。
http://phxs.jp/

主要通貨ペア1000通貨単位から取引可能(最低証拠金額10,000円で、英ポンドやドル、ユーロの小口取引も、南アフリカ共和国ランドの大口取引も可能)となる来月7月に先駆けての「大バーゲン・セール」を当社店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】で開始します。

豪ドル/円を選んだ理由。資源通貨の代表格、豪ドルは原油価格や貴金属価格に強く相関しています。リーマン破綻後、ヘッジファンドや投資銀行は以前程はレバレッジを効かせられず、投機的だった資源相場も安定した値幅で振幅していることが観察されています。

一部投資銀行のエコノミストの極端な相場見通しとは裏腹に、原油価格は40㌦~70㌦あたりを安定的に行き来するとの見方が大勢。ここに来て、多くの個人投資家の皆様がFX取引に戻って来ておられるのは、「高過ぎたら売る。安すぎたら買う。」という“投資本能”が活かせる相場が復活したからだと私は見ています。

過度なレバレッジを懲らしめる効用は、確かにあるのです。

フェニックス証券は(お客様の注文を原則全てインターバックに直結させるビジネスモデルのFX会社としてはとしては)米ドル、ユーロのスプレッドは既に“最狭水準”。本日から、豪ドル/円を加えたのは、上記理由からです。
http://phxs.jp/

レバレッジ規制と全額完全信託規制に殆ど対応済みのフェニックス証券をこれからも応援して下さい。
(店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】に関する留意点はフェニックス証券のホームページをご覧ください)
http://phxs.jp/
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2009年6月18日木曜日

党首討論ではケリがつかない我が国政治の泥沼

昨日更新のブログは「久々に長過ぎた」「何となく言い足りないところがあるのでは・・・」等等の感想をお寄せ頂きました。後者は、匿名ブログではないことの限界かも知れません。匿名ブログにはない、記事の中身と首尾一貫性に責任を負っているという特徴はあります。

党首討論は、麻生氏VS鳩山氏、どちらが優勢だったかなどと論じている場合ではない局面に、我が国の政治は突入していきそうです。いくつか匿名ブログを(ネトウヨさんネトアカさんのどちらにも偏重しないように!?)ピックアップしてみました。

民主議員「郵便制度悪用事件」考

「郵便不正事件」厚労省局長逮捕の先にあるもの

「小沢一郎の次は石井一」(あ)そうは問屋がおろさない
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2009年6月17日水曜日

FX会社の廃業、身売り、だけでなく・・・

この頃、増えこそすれ減らないのがレバレッジ規制に関する各種メディアの皆さまからの取材。大抵長話となり、最後は

「そもそも御上はこの国の金融のカタチをどうしていきたいか?」

に行き着くのが常。

レバレッジ規制(や全額信託規制)を、FX会社や投資家からの「寝耳に水だ」「明日から喰えなくなる」等の反発の声の大きさだけに照らすのではなく、霞が関、はたまた永田町が『金融制度』をどう考えているか、という視座で捉えることは重要であります。

「失われた10年」を含む過去約20年は、証券に有利な局面と、銀行に有利な局面とに大別されていたと感じます。1998年の金融ビッグバン以降は、投信や保険の銀行での窓販解禁など、銀行側に有利な局面か。それ以前の銀行業界は、金融自由化の流れ(金利の自由化、CP解禁、社債発行における適債基準撤廃・・・)の速さに比べて、業態規制の緩和スピードが遅すぎた(銀行は業態別子会社でしか証券業に参入出来ず、1999年までは業態別子会社ですら株式業務が出来なかった)【注】。

繰り返し当ブログで批判してきた「銀行の数が多すぎる」「銀行員の数が多すぎる」「銀行員の平均給与が(まだ)高すぎる」等が、承知の上でバブルに便乗せざるを得ない経営に銀行を追い込み、いつまでたっても金融システムが健全にならない理由であることは確か。しかし、銀行業態側の自助努力の欠如だけでなく、金融自由化の速さと、業態自由化の遅さのギャップによる銀行ビジネスの空洞化と相俟って、と付け加えなければなりません。

業態別子会社に限定した相互参入と厳格なファイアーウォールの論拠は、銀行と証券の利益相反にあります。しかし、

「親銀行のほうでは、こんなに採算の悪い融資をしてあげている。こんなに株を買ってあげていて毎年白紙委任状を提出してあげている。だから、次回主幹事は子会社証券でやらせてもらわなければタダではおかない!」

という“恫喝”営業を招いたのが、我が国にだけしつこく残っているグラス=スティーガル法の“成れの果て”だったら、最初から銀行本体による証券業参入を許し、《貸出から引受まで、余資運用からM&Aまで》何でもござれの営業のプロによる少数精鋭のワンストップ金融機関を制度上促していたたほうが、結局は金融機関の顧客にとっても最終的に払うべき取引費用を極小化できていた筈。これが本当の顧客保護だと思うのは私だけ?

我が国の銀行は、半分は自助努力の欠如のせいで、残り半分は金融制度改革の齟齬により、本来なら少数のプロ集団が捌き切れる仕事を無駄にワークシェアリングしてきた。この不条理に伴う余計な費用を賄うべく、無理矢理“売り上げ”を伸ばそうとして、無理な貸出(想定される信用費用を賄えない低利鞘な貸出、大盤振る舞いな株式持ち合い)を続けたり、“ぼったくり”に近い外貨預金の為替手数料(と低利回り)が続いたりしていると見るべきです。

外国為替証拠金(FX)取引を、外貨預金の代替商品だと考える人は今では殆どいないかも知れません。しかし、前述の金融ビックバンにより窓が開いた、銀行業務の空洞化分野のひとつだと見られるべきです。

銀行本来の業務である個人ローンについても、かつて長らくは、独立系の消費者金融会社はグレーゾーン金利での融資が認められていた(かつての最高裁判例)のに対して、銀行の無担保カードローンは行政指導上認められていなかった。90年代の資産価格バブルの崩壊過程においては、少額無担保の個人向け貸出は数少ない有望分野であり、独立系消費者金融会社は、金融業界において数少ない“勝ち組”ビジネスモデルでした。対するに、銀行がその分野に入るには費用対効果上無理があり、不動産等の資産を担保にした貸出は、企業向けにせよ、個人向住宅ローンにせよ、不良債権の山となったことも記憶しておかなければなりません。

メガバンクが殆どの大手消費者金融を系列化し、そのあとでグレイゾーン金利が規制されたことは甚だ皮肉と言わざるを得ません(大手銀行と霞が関は癒着していない!?)。

かつての最高裁判例《グレーゾーン金利(利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差)は借主の任意で弁済される限り有効》を覆すほどの、銀行”関連”ビジネスモデルの生殺与奪という視点で、消費者金融の来し方行く末は、外国為替証拠金(FX)取引の業界に深い洞察を与えるものです。
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【注】更に以前のバブル期には、銀行取引先が時価発行増資などエクイティファイナンスの発行代金で銀行からの借入を返済する際、「有利子負債利子率を下げたいのだから、文句あるか」と言われ、反論できる銀行員(含む銀行経営者)が余りにも少なかったことが空洞化の始まりだった。「お客様、資本コストを御存じですか?モジリアーニ・ミラー定理を御存じですか?」と。

2009年6月16日火曜日

不美人投票の潮目が変わった昨夜の相場

イタリアでの主要先進国財務相会議で一体何が話されていたのか?世界経済が崩壊寸前と思われた3月上旬から、巧妙かつ成功裏に株式相場も商品相場も過熱させてきた約3ヶ月間。米銀ストレステストも茶番劇だとほくそ笑みつつ、祭りに加わるのは悪くないという発想は、投資家の多くとメディアをも巻き込んでいました。しかし、週末から昨日にかけて、米欧中央銀行からは水を差す発言が続きます。

「ユーロ圏の銀行は今年と来年で更に2830億㌦の不良債権償却が必要」-ECBコメント(FT紙)

この金額規模は、IMFが予測した米銀の更なる不良債権処理額(今年と来年で5400億㌦)よりは小さいものの、茶番と言われようが果たすには果たした米銀のストレステストに比べ、欧州のほうは茶番すら出来ない状況こそ、深刻さを語っています。

過去3カ月、無理矢理過熱させてきた株価と商品先物で、米ドルはユーロ(や豪ドル等資源通貨)に比べパフォーマンスが悪すぎたわけで、今日以降その修正局面へと向かうべく、静かな号砲が鳴らされたと見るべきでしょう。特に、日本円は、ユーロや豪ドルに対して相当程度強いと見ておかざるを得ません。いつものことながら、当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが。
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2009年6月15日月曜日

かんぽの宿とFX業者

鳩山邦夫前総務大臣の見てくれや喋り方には共感しませんが、それら外見からは想像つかないほど(失礼)、邦夫氏は秀才なのであります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E9%82%A6%E5%A4%AB
「いずれ歴史が証明」と語った辞任会見。しかし、「いずれ」では遅すぎないか?日本郵政の何が極悪なのか、何故いま氏の口からハッキリと聞かせてもらえないのか?国民が望むのは、西川社長を非難する口調や激しい語気ではない。ただし、鳩山邦夫氏を代弁しているかの情報もあります。例えば、
http://ameblo.jp/worldforumnet/entry-10280491441.html
http://kigyohanzai.livedoor.biz/archives/619285.html
一方、かんぽの宿の売却価格は決して低過ぎるわけではない、という主張も。赤字企業を雇用維持という条件(国会決議)で引き受けるならば、土地建物の簿価の高さは新スポンサーにとっては無意味です(かんぽの宿の問題だけで、小泉-竹中-西川路線を、売国奴と呼ぶのは無理があるでしょう。であれば、郵貯簡保を舞台にして、より本丸の巨悪が存在するのか?そしてそれは何か?)。

「FX会社を救済買収してくれませんか?」という話。ここ数カ月、件数が増えているだけでなく、どんどん買い手側に有利に。「純資産額以上で、かつ従業員の雇用を守って欲しい」から「純資産額を割れても良い」、そして現在は「1口座幾ら幾らで純資産を買って下さい。従業員の面倒は不要です」と変遷しているのです。FXブームに乗り過ぎて固定費が嵩んでしまった会社と、FXブームに全く乗れず、採算ラインまで達成出来なかった会社の両方があるのですが、従業員の面倒を看るか看ないかで、売却価格は全く異なる点で、かんぽの宿とFX会社は一緒です。

最後に、鳩山邦夫氏は何故か中日ドラゴンズファンらしい。これは共感が持てます。
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2009年6月12日金曜日

社会ダーウィニズム【訂正】

昨年、ビジネスアスキーとマネージャパンの取材・対談で御一緒させていただいた宋文洲さんからは毎週金曜日にメルマガが送られてきます。今朝それを読んでドキッとした部分。

殆どの「社員」は本音では創業したばかりのベンチャーや零細企業に勤めたくないのです。それでも来る「社員」が居る理由はただ一つ。ほかにもっとましなところに行けないからです。大企業に行けるのに敢えてベンチャーや中小企業を選ぶ人はもはや「社員」ではなく創業者です。

ちょうど4年前に「七転び八起き」がフェニックス証券を引き受けた頃はでもしか企業だった。それが今や人気企業です。しかも、4年前からいた自称古株社員も人気企業化に合わせて進化成長しているのです。

さて、昨日ブログで「佐和先生は日経夕刊コラムの字数制限ゆえ、格差固定化打破の具体的処方箋までは書かれなかった」と書きましたが、帰宅後もう一度前日の日経夕刊を読んで、私の記憶違いであることが判明。お詫びして訂正致します。フィンランドのように小学校から大学まで教育費無料にする等、提案がありました。
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2009年6月11日木曜日

この国の格差、ダーウィン、そしてマルクス

昨日日経夕刊1頁の佐和隆光先生のコラムには目から鱗。お金持ちしか偏差値の高い大学に行けず、“生涯所得”の高い企業に就職できない、格差が固定化した我が国の問題の核心を突く文章でした。

文字数の限られたコラムゆえ、「格差固定化」への佐和先生の具体的処方箋までは言及されていらっしゃらなかったのですが、先生御本人の頭の中にはユニークなアイデアがおありの筈。ちなみに、「七転び八起き」は、定額給付金をばら撒くくらいなら、教育費クーポン券をばら撒いたほうが遥かにましだと考えています。

もうひとつ、文字数制限なかりせば、佐和先生による社会ダーウィニズム批判についても、注釈をされたかったのではないかと察します。ダーウィニズムそのものも様々に“曲解”されていますし、社会ダーウィニズムも時代とともに“変節”しています。先生がコラムで否定した「白人は有色人種より遺伝子が優れているから平均学歴も平均所得も高い」という選民思想は、変節に変節を重ねた末の社会ダーウィニズムでしょう。ダーウィニズムの原典である「進化論」は、生き残るのは必ずしも強者ではなく、環境に適応できた種(しゅ)であると説いています。資本主義そのものが淘汰されるであろうと予測したカール・マルクスは唯物史観のヒントを与えてくれたダーウィンに「資本論」の第一巻を献本したそうです。実際は、淘汰されたのは社会主義のほうだったのは、資本主義のほうが「環境変化を謙虚に受け入れる個人や企業の努力に報いる」ルールがより徹底しているからでしょう。

自然界における強者はかつては恐竜であり、経済社会においては巨大金融機関や大企業製造業。ただし、強いこと、大きいことが必ずしも「環境変化を受け入れる」謙虚さや器用さを意味しないことは誰もが承知しています。雇用や下請けへの影響を唱えて、大企業を破綻や清算から守るという国策は、資本主義の長所としてのダーウィニズムを棄却する愚策です。世界的な金融危機から各国が立ち直るスピードの違いは、適者生存ルールを各国政府がどの程度捻じ曲げずにいられるかに依存します。

さて、最後に、格差の固定化を打破し、日本国憲法も保証する教育の機会均等を真に実現するために、教育バウチャー以外に有効かつ血税負担も少なくて済む政策案を申し上げましょう。一つ、駿台予備校や四谷大塚のような塾を非合法化すること。一つ、東大受験では浪人した年数に応じて獲得点数を割り引くこと。一つ、公立小中学校でゆとり教育を否定するかわりに、能力別(達成度合い別)クラスを徹底する。
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2009年6月10日水曜日

クライスラー売却「処分禁止の仮処分」、米最高裁が棄却

インディアナ州の“ハゲタカ”年金基金らが、労組など無担保債権者への配当は不当だと、クライスラー再建計画に待ったを掛けた。米控訴院は、それを“暫定的に”聴き入れ、伊フィアットへの事業売却を柱とする再建計画決定を停止した。

以上が、先週火曜日から昨日までの動きでした。
http://phxs.blogspot.com/2009/06/gm9.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_03.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_08.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_09.html
只今、ワシントン・ポスト紙が伝えた速報によると、「処分禁止の仮処分」を暫定的なものから正式な上訴(full appeal)にするためには、「9人中4人以上の裁判官が、当該問題提起は上訴申立て受理を保証するに十分に深刻であると認めなければならない」ところ、インディアナ州年金基金等の担保付債権者たちはそのハードルを越えることが出来なかったと裁判所は伝えているようです。

WSJ紙は、フィアット側が「営業譲渡が直ちに行えないとなれば、クライスラーを継続企業(going concern)として保てるような代替案が再構築できるという保証はない」との準備書面(legal brief)を用意していたそうです。
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2009年6月9日火曜日

クライスラー売却処分、米控訴院が正式に停止措置

先週から取り上げてきましたクライスラー=フィアット問題。暗礁に乗り上げた事案について、過去記事に振り返っていただく際の“道標”として、些か強引ながら、「ステーク・ホルダー勝ち負け表」を作ってみました。
               担保付債権者  無担保債権者  株主  労働者(組合) (参考)同業他社
私的整理(既に却下)     ×       ×       ○      ○        ×
法的整理(更生案)      △       △      ×      △       △
法的整理(清算案)      ○       ×       ×       ×       ○

同業他社を(参考)としたのは、ステークホルダーとは通常言われないからです。この「勝ち負け表」で○を2点、△を1点、×を0点とすると、どの案でも合計点は4点になるので、要は分配の問題だということがハッキリわかります。社会厚生とモラルハザードのバランスを取るには、どれが相応しいのか?GM問題も視野に入れつつ、米国は政治と司法の鬩ぎ合いという局面に移りました。

その中で、米FRBには利上げ観測も浮上。「七転び八起き」のドル高調整説は間違ったか?
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2009年6月8日月曜日

クライスラーへの暗雲と雇用統計の好転?

先週、お伝えしたフィアット=クライスラーに「ちょっと待った」を掛けたインディアナ州の年金基金。米国控訴院は、「不良債権を安く買い叩いた筈だったのに、足が出た」ために、怒り心頭の同投資家の主張、(営業権のフィアットへの売却)処分禁止の仮処分を認めるという判断をしました。

既報の通り、フィアットは6/15(月)まで処分禁止仮処分が続いていれば、クライスラー購入を敬遠することが出来ます。世界中で54,000人(うち米国内で38,000人)を雇用するクライスラーの受け皿が消えてしまっては、クライスラー清算による雇用へのインパクトは部品メーカーを含め深刻で、オバマ政権が描いた処方箋を脅かす試金石だとWSJ紙は改めて報道しています。

同紙は、クライスラーで発生した「しゃっくり」はGMにも移る可能性があり、事態がより複雑になると予測すると同時に、リストラおよび財務立て直し先行のおかげで旧ビッグスリーのなかで唯一生き残ったフォードは、思わぬ「国営自動車」(Government Motors)の出現で競争上劣勢に立たされる恐れありとも論じています(但し、ゴールドマンサックスの分析は、フォードはGMが喪失したシェアの25%を獲得すると見込む)。

ドライバーを振り回した結果、どんなに左右の深いラフに打ち込んでも、ボールがフェアウェイにまで転がり落ちてくるゴルフ場では、飛距離だけでなく球を真っ直ぐ飛ばす技術を磨いた真摯なゴルファーは馬鹿を見るでしょう。雇用のセイフティネットを声高に叫ぶのは、米国の政権も、日本の野党も似たようなものですが、果たして自動車産業以外の衰退産業と公平に扱おうとしているか冷静に問う必要があります。

ところで、金曜日の雇用統計。NFPRは予想ほど悪くなかった、減少幅が縮小しているということで、ドル高、株高。しかし、雇用主申し出ではなく個人家計から集計した失業率のほうは9.4%と1983年以来の最悪数値。どちらが真実か?というよりも、減少幅縮小で喜んでいる市場参加者は、速度と加速度との区別がつかない人達か?(不動産は動きだしましたが)ドルと株式は一旦売りを推奨。
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2009年6月4日木曜日

FXレバレッジ規制と「ベター・レギュレーション」そして『大証FX』

明日、大証FX参加のための「登録の種別の変更」の申請に行って参ります。取引所FXを取り扱うには、第一種に加え、第二種の金融商品取引業者でなくてはならないのです。

金融庁と言えば、先日の佐藤長官の記者会見
http://www.fsa.go.jp/common/conference/com/2009a/20090601.html

FXについてだけでなく、今日の我が国金融の様々な綻びを走馬灯のように味わえる秀逸なオムニバス。レバレッジ規制に対して、「ベター・レギュレーションという観点から如何か?」という記者の質問への回答の中に、金融ビッグバン(特に、証券会社の登録制と外為法改正)以来の“正流”と逆流、そして国会議員と民間金融ブローカーという登場人物との舞台のうえで狂言回しを演ずる監督当局の思いがジワジワっと読みとれます。
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2009年6月3日水曜日

フィアット=クライスラーに「ちょっと待った!」

一昨日の「七転び八起き」ブログで、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しだとお伝えしたばかりでしたが、フィアットにとって飛んだ邪魔者が現れました。WSJ紙の臨時速報によると、「『伊フィアットへの事業売却』を軸とした連邦破産法11条によるクライスラー再生案」に異議申し立てをしたのは、インディアナ州年金基金のグループ。教職員の退職金の運用その他を預かっている大口債権者曰く、「自分たちの額面42百万㌦のクライスラー向け債権は担保付なのに、配当が額面比たった29%とは。。。無担保債権者の代表格、UAW=全米自動車総連が債権カットの見返りに新生クライスラー株を割当られるくらいなら、担保付債権者の配当を増やすべきだ」と。

この事案は、プレパッケージ型(受け皿フィアットを事前に用意しておく)倒産ですら、モラルハザード回避という点では万能ではないという、倒産法の難しさを抉っています。

我が国で言えば、倒産法には、破産法、民事再生法、会社更生法や会社法(特別清算)等、数あれど、担保付債権者が倒産手続きとは独立して担保物件を任意に売却できない(別除権が認められない)のは会社更生法だけ。(共益債権その他の問題を無視すれば)、担保付債権者の配当が100%に満たない限り、無担保債権者の配当は0%。その原則を曲げてでも、関係者協議により破綻企業の再生課題を優先するだけの社会的な意義があるかどうかは一概には断定できない問題です。

尤も、こちらのインディアナ州教職員組合のハゲタカ様、「クライスラーには再生の価値が無い、破綻による清算にすべきだ」という正論を吐いておられるというよりは、2008年7月に誰かしらから購入した債権(@額面の43%)が、29%に留まる配当だと大損が確定するので往生際悪く抵抗している、ということのようですが・・・

伊フィアットは、今月15日までに“更生終了”することが受け皿(スポンサー)になってあげる条件だとしているので、本件異議申し立てでゴタゴタが長引けば、GMのごとく、“法的な無法状態”になりかねません(尚、無法状態とは言い過ぎ。11条申請が受理されており、債務者クライスラーの占有の下、米国財務省が資金供給を行なっているわけですが、同ハゲタカ教職員組合は「金融機関でもないクライスラーへのDIPファイナンスにTARP(金融安定化法案の7000億㌦)を流用するのは違法だ」とまで罵っているようです)。

ところで冒頭、「フィアットに思わぬ邪魔者が・・・」と書きました。実は、邪魔者のお陰で再生計画が“御破算”になって、それでもクライスラーを買いたくてしょうがないという状態であれば、暖簾代は寧ろ安く収まるのかも知れません。本当の邪魔者は、「トヨタならもっと高い暖簾代を払える。プレパッケージは不公平だ」と待ったを掛けること。今更それはないでしょうが、或る程度はブラフが可能。我が国では東ハト倒産の事例で、プレパッケージされていたユニゾン・キャピタルが再入札の結果、事前譲渡価額より48億円をも上回る負担を強いられるという珍事がありました。否、資本主義たるもの、それが普通で、長銀(⇒瑕疵担保条項で悪評のリップルウッド)のときには誰ひとり「ちょっと待った!」が現れなかったのは何故でしょう?
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2009年6月2日火曜日

【東京証券取引所】第三者割当に対する新たな規制案

「七転び八起き」が前々職で大変お世話になった弁護士の吉村龍吾先生が、“第三者割当増資”規制案(by東証)を送ってきてくださいました。
東京証券取引所における第三者割当に対する新たな規制案の概要
このレポートのなかで、特に印象に残ったのが、「大規模希釈化や支配権の移転が取締役会レベルの判断でこれまで容易に行われてきたことに対する重大なメッセージ」とのコメント。ハゲタカなどの強欲こそ、米国発金融危機の戦犯だと溜飲を下げている場合では、少なくとも株主の利害を無視した保身の取締役会にとっては、ないことを意味しております。
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2009年6月1日月曜日

GM連邦破産法11条申立ては日本時間今夜9時?

Kマートなどの大型倒産事例の経験者、アル・コッホ氏が、同申請直後に企業再生請負人として指名されるとWSJ紙の観測。

コッホ氏は、既にこれまでアウトサイダーの立場でGM経営陣と定期的な打ち合わせに参加しており、GM清算時のシミュレーション分析を担当。無担保債権者への配当はゼロだ、との分析結果だったとは、とある筋の情報。

日本時間今夜9時(米国東部時間午前8時)のチャプター・イレブン申請よりも、注目したいのが、日本時間深夜(午前0時55分~)のオバマ大統領の演説。伊フィアットがスポンサー(再生管財人)として内定(プレ・パッケージ)されていたクライスラーの事例と異なり、GMには現時点で民間ベースの引き取り手はいない(辛うじて、独オペル⇒加マグナくらい)。上述のコッホ氏が挑戦しなければならない最大の仕事は、旧GMの、サタン、ハマー、サーブ、ポンティアック等のブランドや20個もの工場の売却。

有名ブランドや資本投下済の工場が廉価で「ばら売り」されるのなら、と甘い期待を寄せてはなりません。自動車産業の“ハゲタカ”は楽ではないのです。記憶に新しい、クライスラーを損切った独ダイムラー。90年代においては英国名門(?)ローバーを買収するも“ハゲタカ”に僅か10ポンド(2000円以下!)で見切り売却させられた独BMW(その後も、“MGローバー”は経営再建を果たせず、“ハゲタカ”は失敗に終わる)。

オバマ大統領の趣旨は、「倒産はやむを得ないとしても、廃業は避けたい。そのために米国は国家介入せざるを得ない」という方向だと予想しますが、新GM(ガバメント・モーターズ)の車なんて、誰が買うのでしょうか?

今朝のWSJ紙オンライン版のトップ面は、上記GMの最新情報と、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しとの報道、そしてトヨタ・レクサスの新型車の広告宣伝、と自動車関連の情報満載でした。
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