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2009年2月12日木曜日

日興コーディアル証券とワークシェアリング

●米国債の購入は続けざるを得ない-中国の金融当局高官が語る(2/12FT)
米ドルの下落リスクは承知していても、世界危機において米国債購入継続は唯一の選択肢だ、日本国債や金よりはましsafe havenだと語った。

同高官は、グラス=スティーガル法が金融危機の火に油を注いだ一面を指摘。ただし、中国は商業銀行と投資銀行の分離政策を続けるとのこと。

金融危機と銀証分離を結びつけて論じたのは、要人クラスでは彼が初めてでは?ちなみに、要人以外では私?

2008年9月19日:カインの末裔であってはならないモルガン家
2008年10月17日:モラルハザードとファイヤーウォール

さて、銀証分離と言えば、旬の話題は、

●日興コーディアル証券買収、3メガ銀が週内名乗りへ(2/12読売新聞ほか)
米シティグループ傘下の日興コーディアル証券の売却問題で、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループの大手3グループが買収の意向を週内にシティ側へ伝える見通し。

約25兆円のリテール(個人、小口)顧客資産を抱えた日興コーデは、「50年に1度の出物」とも言われる(読売新聞)らしい。

民事再生法の申し立てをしていた大阪万博跡地のエキスポランドは、新しいスポンサー(買収してくれるひと)が見つからず、再生処理を諦め、破産手続きに移行しました。

エキスポランドが「50年に1度の遊園地の出物」ではなくて、日興コーデが「50年に1度のリテール証券」だというのは、メガバンクの経営者が「やはり金融は規模が大切」と信じ切っており、また証券ビジネスは(遊園地事業と異なり)構造的に悪いのではなくて、今たまたま悪いだけだという考えで一致しているからなのか。

我が国に限っては、銀証分離の本音は、ワークシェアリングに過ぎない私は断じています。
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2009年1月19日月曜日

バイアグラが売れない!?

●ファイザー製薬、営業部門2400人の雇用を削減(1/17WSJ)
全米のセールスマンsales repの何と三分の一に相当。先日の研究部門800人削減に続く発表。

景気が悪くなると勃起薬が売れなくなるのか?と想像しては行けません。米国の製薬業界の雇用のピークは2006年第一四半期の105,000人。現在そこから1割以上減少しており、ファイザーに至っては2007年1月以上、累計で15,000人雇用削減している、その最大の理由は、後発医薬品との競争で利益率が落ち込んでいることなのです。

ちなみにこの勃起薬ですが、インターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙によりますと、スポーツ選手の成績との因果関係が強く疑われる(可能性が強い)。つまり、バイアグラを服用した後だと、速く走れる等の効能が認められるのだそうで、研究が進められている一方、ドーピング検査の対象にするべきかどうか喧々諤々の議論があるのだそうです。

●日興コーディアル証券、売却へ-シティグループ、急遽路線変更(1/18WSJ)
たった3日前には、ほかの個人向ブローカー事業(スミス・バーニー)をモルガン・スタンレーに売却する計画のなかに、日本のブローカー業務は含めないと発表していたのに、直近四半期83億㌦の赤字決算を発表した直後後、方針を変えたと。

ウォール・ストリート・ジャーナルが日曜日夜(日本時間)に報じたニュースは、日本においても注目だと思うのですが、ことの真偽がハッキリしないせいか、どういうわけか、日本のメディアの追随報道は妙に区々です。それにしても、この動き、日興コーディアル証券に対しても、モルガン・スタンレーに対しても、影響力が大いにある筈の三菱UFJは主導権を握っているのでしょうか?

●イギリス、金融機関への追加支援策を今夜発表へ(1/18FT、WSJ)
一発目は昨年10月の4000億ポンド。造反やら再可決やらで物議を醸した米国の金融安定化法案の7000億㌦と比べても、国民所得の規模を考えれば、全く遜色のない乾坤一擲だったが、血税を湯水のように使っているという世論の反動を余所目に、ブラウン首相もダーリング蔵相chancellor of exchequerも、公的資金受け入れ後も貸出を伸ばそうとしない銀行業界に対する怒りと不満を表明すると見られている。

●米国も、銀行救済策を練り直しへ(1/18WSJ)
銀行危機は当初想定よりも酷いとして、財務省、連邦準備銀行、預金保険機構の首脳が次期政権の経済閣僚と議論に入ったと。不良債権買い上げを目的とした「政府系銀行」を設立も。

ゴールドマン・サックスの試算によると、世界中の銀行が米国向けに保有している不良債権のうち、既に2兆㌦は損失が実現しているが、含み損がまだ同規模あるそうです(住宅関連で1.1兆㌦、企業向け貸出と社債で0.4兆㌦、商業用不動産、クレジットカード、自動車ローンで0.6兆㌦・・・)。

●アイルランド最大の銀行を国営化へ(1/17FT)

後半3つの話題、オーバーバンク解消という漢方薬を煎じて飲まないと長期的には資本主義経済圏の病理は何一つ改善しないのですが、短期的にはモラルハザード政策のスピードに応じて、その国の通貨が評価されるという事態が続くかも知れません。政府主導の信用膨張と財政膨張が、当該通貨の買い材料から売り材料に逆転するのが、どの程度「短期的」か、これを占うことが大変難しい。
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2008年11月17日月曜日

FX業者は絶滅するのか!?(其の弐)

●ロンドンでは12人に1人が失職(11/17FT)
2010年末までの約2年間で、370,000人程度が職を失うと予想されるロンドンこそが、イギリス全体のなかで景気後退recession(2連続四半期経済成長がマイナスになること)の影響を激しく受けると、英地方自治協会the Local Government Associationの分析。

首都ロンドン以外の都市、例えばニューキャッスル、リーズ、マンチェスターは意外と景気後退の影響をうまく凌げるのだそうです。イギリス全体は1,700,000人が失職すると予想される中、地域格差は相当のものだと同レポート(失職率ではロンドンの7.9%が最悪で、次いで北西部6.7%、南東部6.3%、南西部5.1%)。

朝のブログにもありますとおり、ここでは地域格差は都市部が金融で潤い、地方が汗と油と土に塗れて働けど働けど・・・じっと手を見るという意味とは逆だということに注目です。

またこれまで、当ブログやオンライン・セミナーで繰り返し申し上げていたイギリス(ロンドン)こそが金融危機(信用収縮)の悪影響を最も激しく受けるということを反映したレポートではありますが、当然、日米とも他人事ではありません。国民所得に対する金融業の貢献度はイギリスが9%で最も高く、次いで米国8%、日本7%ではあります。この数字、素直に五十歩百歩だと認めるべきでしょう。

話が逸れるようですが、先週金曜日に選ばれるFX会社とは、社長が廃業する勇気を持っている会社だと書かせていただきました。勿論、自分が経営する会社の寿命は業界のなかでは相当長いほうだという自信を背景に言ってはいるのですが、外部環境次第でどんなに努力しても廃業せざるを得ない、業界全体が絶滅するという可能性はなくはないからです。そのときに《悪あがきして倒産》ではなく《潔く廃業》というのが望ましいという考えです。

で、その万が一の場合に貴方はどうするのですか?この答えは、一緒に働き戦ってきた従業員の仕事を最大限確保し、自分を含めた全員にとって働き甲斐のある職業、きっとその場合は金融以外の仕事となるでしょうが、それを築くことだと考えています。その心構えや準備まで出来ているというと、本当に廃業してしまうのかと心配されるので具体的には書きません。繰り返し申し上げますが、フェニックス証券程度の自己資本規制比率がないと、FX業務を継続できないかも知れないくらいに、規制を含めた外部環境は厳しくなっています。

すみません。結局、またまた宣伝になってしまいました。
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2008年11月14日金曜日

海図なき航海

伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長が米国発金融危機の分析をブレトンウッズ体制崩壊後の大局観に立ち見事に説明をしておられます。ちなみに丹羽会長は私と何ら血縁関係はございません。

丹羽氏曰く、1971年スミソニアン協定でドルの金兌換が停止、1973年から変動相場制に移行したことで、「ドルに対する金の担保がなくなり、世界経済は、“海図なき航海”に乗り出すことになった」と(11/14マイコミジャーナル)。以降は、実体経済と乖離したバブルが発生してもそれが崩壊するまで続くという現象が繰り返されたと論じます。

固定相場制よりも変動相場制のほうが景気循環が激しいとか、(機軸)通貨が兌換紙幣よりも不換紙幣のほうが過度なバブルが起きやすいという論旨には疑問が全くないわけではないです。が、続けて主張されている国民所得と株式時価総額のバランスのお話、すなわち

★1970年代の米国の国民所得が1兆㌦⇔株式時価総額が6000億㌦(10:6)
★1995年~99年のITバブル時(10:12)⇒崩壊後(10:7)に戻る
★2006年が住宅バブルのピークだとして、世界の国民所得総額50兆㌦に対して、株式時価総額は70兆㌦(推計)⇒再び(10:14)までバブルが膨らんだということ・・・

したがって、株価資産がこの先35兆㌦程度まで下落するという試算は妥当だという件は説得力があります。

無論、私がブログで書かせていただいているとおり、「為替相場が実体経済を表すならば購買力平価に近づく筈」とは必ずしも言えない事象もあります。世界の国民所得総額自体も、虚業としての金融業が弾き出していた上澄み部分がまだまだ調整余地を残していることを考えると、国民所得と時価総額のスパイラル的な縮小はしばらく続くと見るべきでしょう。それでも、丹羽氏の言う「底はあるのだから、あたふたしてはいけない」というのはその通りで、残滓を素早く拭い去り、個人も企業も新たなスタートが切れるワクワクした時代が一日も早く到来したほうが健康だと思うのです。
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2008年10月27日月曜日

公的資金

個人は株で損をしても税金すら取り戻せない。

一方、

銀行は株で損をしたら公的資金を入れてもらえる。

ところで、

銀行が株を保有する原資は勿論個人の預金である。

何が言いたいかと言いますと、銀行を通じて株を買えば元本保証だ。ただし元本保証の保険料は預金保険料だけではなく預金の低金利という機会費用込みでの話。

90年代と異なり金融システム救済が政局になりづらいのは、世界中の大国小国がこぞって赤信号を渡っているから。そこで我が国の民主党がどうやって存在感を示すのか注目していたところ、昨日朝のNHK日曜討論では菅直人代表代行が「新銀行東京まで救済するというのは筋が違うのではないか?血税を使う以上、ケジメは必要」と、「自民党石原伸晃氏の前では言いづらいが・・・」との前置きを全然“言いづらく”なさそうに敢えて繰り返し繰り返し強調していたのが印象的でした。

わたしにも敢えて繰り返させてください。オーバーバンキングが解消されない限り、各種金融商品の相場のオーバーシュート(バブルの生成と崩壊)は果てしなく繰り返される、と。銀行による株式保有を全面禁止することにより、オーバーバンクを解消すること。株式投資は個人投資家の自己責任によって支えられるお膳立てをすること以外に「貯蓄から投資へ」を実現する方法はない。中途半端な税制改正など全く意味はない、と。

「“マット某”と違って選挙に出るわけではないのだから、マニフェストなんか聞きたくない。それよりも、お前が言うとおり、まだドルやユーロを売り続けていいのか?そろそろドテン買いなのか、それを教えろ!」

それなんですが、今夜たまたま月に1度のセミナーです。第7回目の御題は「ズバリ!売りか?買いか?」。詳しくはフェニックス証券ホームページからどうぞ。CoRichブログランキング

2008年10月24日金曜日

規制緩和論者の鬼の首

●グリーンスパン氏、米国議会で質問攻めに(10/23WSJ、FT)
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。

昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、

「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」

「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」

尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、

実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)

世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
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2008年10月21日火曜日

銀行による株式保有は禁止されるべきだ

●CITIC香港現地法人、為替投機で20億㌦穴を開ける(10/20FT)
CITIC(中国国際信託投資公司)は政府系巨大ノンバンクみたいなもの。その香港現法(上場企業)が米ドル売り+豪ドル買いのポジションで大ヤラレした。しかも巨額のポジションを持つことについてちゃんと稟議があがっていなかった。

内規や決裁権限は措くとして、マクロ分析で豪ドルが対米ドルで割安に映った気持ちは個人的には判らなくもない。レバレッジ過多に硬直的なロスカットルールではリスク管理の機能が果たされない。むしろ損失の思わぬ拡大に繋がる。この点、個人レベルでも巨大金融機関でも同じなんだと本件は示している。

こういう馬鹿な政府系金融機関があるお陰で、豪ドル/米ドルは史上稀に見る押し目買いbargain huntのチャンスを提供してくれているような気もします。

ところで昨夜の相場は、
●景気後退見通しで米ドルは前半の下落を補う(10/20FT)
米ドルと日本円は先週ボラティリティ急騰を味方につけ高値を享受してきた。しかし、スウェーデンと韓国の公的資金導入発表で、ドルと円は下落。

世間の大半は相変わらず単細胞。米ドルと日本円はキャリートレードの原資に過ぎず、リスク性向の度合いに反比例して上げ下げすると同紙は指摘。

本日一番取り上げたかったのは、
【番外編】自己資本規制比率見直し検討-銀行貸し渋りに金融庁が対策、含み損処理など焦点(10/21日経)
日本の銀行は海外の銀行に比べて株式の保有比率が高く、株価下落局面では規制自己資本下落が追い討ちを掛け貸し渋りの原因になる、というのが銀行界の言い分。

ちなみに、銀行保有株式(など有価証券)の含み益を規制自己資本に入れて欲しいとBIS(国際決済銀行、於バーゼル)に主張したのは日本。結果、認められたのが45%相当を補完的項目に入れること。逆に含み損については税効果勘案後を補完的項目から差し引かれるので現在の法人税率を前提とすると約60%相当と、プラスとマイナスで非対称的だと泣き言の理由になっている。

何故、バブルが繰り返されるか?何故、銀行破綻を招くほどの不良債権が発生するか?私の答えは変りません。銀行の数、銀行員の総人件費が高すぎるのです。R銀行を公的資金で救済して「失われた10年」に終止符が打たれたと巷間言われますが、わたしに言わせれば、R銀行1行分がこの国には余計だ。

銀行保有株式について言えば、銀行が融資先の「物言わぬ株主」という地位に甘んじないと融資先を増やせない融資を伸ばせない。間接金融の少ない需要に対して供給過多(オーバー・バンクと言います)つまり過当競争となっている状態を、90年代高額の授業料を払ったにもかかわらず是正出来なかったことこそ、バブルと不良債権が繰り返される諸悪の根源です。

時限を設ける等の激変緩和措置があって良いので、銀行による株式保有を例外なく禁止すべき。「貯蓄から投資へ」のラストチャンスが今到来した、というのが私の考えです。

ちなみに、R銀行は無借金経営の優良企業の当座貸越枠さえ貸し剥がす一方、貸出先には不良人材を半ば強制的に送り込み、自発的な経営改革を逆行させ、結果として不良人材派遣元の融資や政策保有株式の価値を下落させ、それゆえ公的資金(つまり我々の血税)も返済できない、愚かな金融機関です。
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2008年10月20日月曜日

バブルは何故繰り返されるのか?大手メディアも注目のアイスランド

ひとり当ブログで拘泥し続けていたつもりのアイスランド国家破綻問題。週末は、日経新聞やNHKなどでmも取り上げられました。NHK「海外ネットワーク」という番組のなかで、アイスランドの港に大量に留め置きされている輸入高級車が映し出されていました。日本を上回る一人当たりGDPは世界5位。この購買力は、漁業国に過ぎなかった土地の痩せた小さい島国が金融自由化後の超高金利政策で世界中から資本を集め金融立国として成長を遂げたことに起因しています。

国家財政によっても管理治癒出来ないほど暴走してしまっていた金融ビジネス。その一コマとして、ある典型的な家族が「ザ・低金利通貨」日本円建てで住宅ローンを借りて(日本人から見ると豪華な)家に住み始めたが、今回のアイスランドクローネ暴落と不動産バブル崩壊で名目借金が倍増しつつ資産価値が半減したことで絶望の淵に立たされている姿がありました。

一家の主は「銀行の詐欺にあったようなもの。どうしてくれるんだ」と語ります。それでも私は言いたい。金融リテラシーが足りなかったことは言い訳にもならないと。返済能力を遙かに超えた豪邸に住み始めた人たちを、分相応の慎ましい生活をしている人たちの血税で救う道理は無いと。

銀行の詐欺という点では、米国のサブプライムローン問題の縮図とも言えるアイスランド。国家の体力に限界があるため、皮肉にもモラルハザードすら起こせない窮地こそ欧米の大国と状況は異なりますが。今回ヨーロッパで住宅バブルが酷かった国に共通するのは、「ザ・低金利通貨」日本円建て住宅ローンが広まっていたことがあげられます。

バブルが何故繰り返され、そして何度繰り返されても潰れるのか?昨今色々な著作や言説が巷間出回っています。当ブログの一貫した主張は、金融自由化・金利自由化が導入されたにもかかわらず、銀行の数が十分減っていない、銀行員の数や給与が十分減っていないから、銀行(員)が食い扶持を繋ぐために、詐欺的手段を含めた余計な“付加価値”を追求しようともがき苦しむ。その結果、不動産の相場操縦という究極の選択をせざるを得なくなってしまっているのです。日米欧を問わず、この現実に背を向けて、公的資金をばら撒いてインフレ経済で実質借金を棒引きにしても、徳政令のツケは結局、分相応の慎ましい生活者に回されるだけなのです。

依然こうした主張は極々少数派。テレビ朝日「サンデープロジェクト」では公的資金+財政出動は当然。ばら撒き方をどうするか、が議論の焦点。小泉+竹中両氏は人気が無いそうです。確かに小泉家の世襲政治は余計だったかも。

昨夜、近所の銭湯で、日経CNBCの幹部の方とバッタリお会いしました。是非、「夜エクスプレス」特番でリチャード・クーさんと竹中平蔵さんのコブラ対マングース討論を実現して欲しいと要望しておきました。
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2008年10月17日金曜日

モラルハザードとファイアーウォール

●スウェーデン・クローナ、対ユーロで史上最安値(10/16FT)
バルト海沿岸諸国への貸出“Baltic exposure”の多さ、失業率の急増が懸念されていると。

●ハンガリーとウクライナ、IMF等に支援要請-アイスランドの二の舞を演じたくない?(10/16FT)
ハンガリーに対してはECB(欧州中央銀行)が50億ユーロの信用枠を設定。過去15ヶ月の信用収縮“credit crunch”のなかで、IMF(国際通貨基金)のような多角的機関“multi-lateral agency”が大陸欧州の国家を救済する動きは初めて。信用に餓えた市場“credit-starved markets”から資金繰り難に陥っている債務国の危機の深刻さを象徴しているとFT紙。ウクライナの株式は年初来80%値を消している。

資本を輸出している国だから投融資が焦げ付いて駄目。資本を輸入している国だから投融資が引き上げられて駄目。というのでは、為替の下落の説明にはなりませぬ。世界金融危機という言葉。米国発という枕詞がしばしば付けられております。その米国自体は、通貨ドルが日本円以外では最も堅調であるという皮肉な現象。リーマンショック以降1ヶ月間書き続けた私の捻くれた貿易理論でないと説明がつかないのでは。

多角的multilateralの反対語が一方的unilateral。自分勝手な、とも意訳されるこの単語。ブッシュ大統領率いるネオコン政権の形容詞として随分頻繁に使われて来ました。昨日ブログに書いたスイスの公的資金案はunilateralの局地でもあります。

unilateralな周辺国の政策にspeedyに対抗したイギリスのブラウン首相は、支持率が急回復しているとのこと。世界中の報道機関や経済専門家は略一様に「米国発の危機なのに、米国の対策が一番遅くて中途半端だ」という論調。いまさらモラルハザードが、何て言っているのは地球上で私だけかも知れません。が、ヨーロッパ諸国がモラルハザード問題を強引に無視してunilateralな政策を競うように公的資金をばら撒く最大の理由はuniversal bankingの国(銀行と証券の兼営が堂々と許される国)においては、自己投資で失敗しても自業自得である筈の事業部門が社会インフラとしての商業銀行部門を人質に取っているからです。銀行と証券の兼営を禁じた米国1934年及び1935年証券法(いわゆるグラス・スティーガル法)が撤廃されグラム・リーチ・ブライリー法に切り替わったもののインフラ整備が対応し切れていない米国との決定的な差になっています。

こんなことを言うと、証券村のなかで村八分にされるでしょうが、私は旧証券取引法65条(現金商法34条)には20年間一貫して反対です。しかし、投資銀行業務と似て非なる自己投資部門で穴を開けた責任を取らせず、血税に責任を取らせるためでは全くありませんファイアーウォールを置くべき場所は、銀行と証券の間ではなく、銀行証券(投資サービス業)と自己投資業との間であるべきだと考えるからです。
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2008年10月15日水曜日

格差だけでなく「相場も作られている」

ポール・クルーグマン『格差は作られた』の真骨頂は、

「ここ数十年の米国の格差拡大の原因が経済のグローバル化によるものでは必ずしもなく、黒人差別に起因する。そして共和党レーガン政権こそ、黒人という言葉を直接使わずに巧みに黒人≒虐げられた貧困層を一層虐げる黒人差別政策を正当化し実現化した」

という部分です。クルーグマン教授自身はレーガン政権の経済諮問委員を務めたことがあるのですが。

氏の最新の著書で具体名は明かされていないのですが、『格差は作られた』を読む限り、クルーグマン教授の立場はオバマ候補支持と見て良いと思われます。

そんなクルーグマン教授をして、ノーベル経済学賞受賞直後に「大筋でOK」(10/14CNN)と言わしめたポールソン財務長官の米銀救済策。リーマン・ショックから約1ヶ月が経とうとしている中、いまだ腑に落ちない点を挙げてみると、

★ポールソン長官の7000億㌦公的資金投入案。「政府による市場介入は少ないほうが良い」ネオコン仲間の代表者ブッシュ大統領を如何なる論法で説得したのか?

否、その前に、

★「リーマンだけは特殊。財務の体質も経営の品格も極端に酷かった。救う価値が無かった」と例外的に扱ったとしても、遙かに体質が良かった筈のゴールドマン・サックスのCDSも10%近くまで跳ね上がり、結局は公的資金を強制注入される始末。ポールソン長官ほどの頭脳+戦略+情報(≒人脈?)があれば、出身母体が被る火の粉は想定出来たと私は思う。何故に単純破綻処理を採用して市場を驚かせたのか?

次は、再出ですが、

★上記ポールソン長官の7000億㌦法案。ブッシュ大統領を説得。オバマ、マケイン両党候補をも一枚岩にさせておいた直後の、下院採決での共和党議員の大量造反。マスコミや専門家の多くが言っている「下院選挙前の特殊事情」または「ブッシュ政権末期のダッチロール(レームダック)状態で、大統領自身が求心力を失っている」という見方は正しいのか?

繰り返します。筋書きのないドラマを演ずるほど、米国の保守勢力が柔じゃない。想像を絶する資金力と影響力があると思われます。

★7000億㌦の使われ方。特に、法案修正で議論が喧しかったのが公的資金を使用した(恐らく資本注入と不良債権買取の両方を含む)銀行の経営者に対する「報酬制限」

過去20年、我が国の銀行経営と金融行政を“体感”してきた身としては、長銀・日債銀の経営者の逮捕⇒起訴⇒私財に及ぶ損害賠償請求。しかも、不良債権を作ったときの経営者ではなく、引き継がされた負の遺産を隠さざるを得なかった経営者を、です。米銀経営者の報酬制限と聞くと、殺人犯が罪状認否で「私がヤリました。間違いありません」という裁判が、本来なら死刑か無期懲役かを争うべきところ、禁錮か罰金かを争っているようにしか思えない!そんなアンバランスな議論で世界中のマスコミも専門家も同盟国首脳も市場も必要以上に踊らされはいませんか?

「過去20年」だ何て言うと後ろを振り返り過ぎではないかと思われるかも。1985年のプラザ合意後の円高デフレ(資産バブル)期、我が国の都市銀行は未曾有の利益をあげていました。活発な不動産融資と市場関連収益。しかし一方で、同時に進行していた金融自由化(⊃金利自由化)で伝統的ビジネスモデル≒間接金融依存の世の中は時価発行増資の普及やコマーシャルペーパーまたは大口定期預金の解禁等で間違いなく蝕まれていたのです。当時、日経新聞を読み始めていた私が不思議でならず、未だに不思議なのが、どの都市銀行も“仲良く”株式含み益を実現しては払わなくても良いはずの法人税を喜んで払っていたこと。まともな経営者なら、金融自由化(⊃金利自由化)対策でビジネスモデルの転換やリストラに備えるか、またはその経費が嵩む時期まで含み益を温存し、無駄な法人税を払わないという判断をしたと思われます。実際、そんな判断をした銀行はなく、業界一斉に益出し+余計な税負担を行なったというのは、単に護送船団の横並びでは説明が付かないものを感じます。思うに、都市銀行やメガバンクの役員には余程の人格者か余程の悪党でなければなれない、ってことは端折ると市井人には見えざる手で非合理的な経営判断を押し付けられたと察するのです。

財金分離の見直し論が何処からともなく聞こえてくる昨今。私にとって古くて新しい疑問を何故読者の皆さまにご紹介するのか?現在の米国の保守政治と金融業界(特に大手。含む旧投資銀行)との関係も曰く言いがたい密室の持たれ合いという切り口を持たないと、上記の疑問点が解決できないからなのです。

七転び八起きブログは、経済教室でもなければ政治暴露ブログでもないのですが、単純に、

銀行救済⇒円安

銀行破綻⇒円高

ではこの先は間違ってしまう
と思われます。格差容認、自由放任の米国保守勢力が何故に変節し市場介入を演じているのか。今日はこれから、角川書店さんの『月刊ビジネスアスキー』+『マネージャパン共同企画第5弾の収録で、大阪大学社会経済研究所のチャールズ・ユウジ・ホリオカ教授と対談します。クルーグマン教授にノーベル賞が渡ってしまったので、ホリオカ教授の受賞はちょっと先になってしまいそうです^^;が、「経済学の7不思議のひとつ」の呼び声高いフェルドスタイン=ホリオカ論文は世界中の経済雑誌で最も頻繁に引用されているもののひとつ。国際貿易金融の分野ではクルーグマン教授に勝るとも劣らない成果をあげておられ、我が国では貯蓄理論の分野で第一線の研究者として、日系アメリカ人では最もノーベル賞に近い学者です。クルーグマン教授とは異なる角度で日米政権やIMFの中枢をご覧になって来られたホリオカ教授に、本日の★疑問★をぶつけてみようと思っております。
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2008年9月1日月曜日

日本だけではないオーバーバンク

ハリケーン「グスタフ」、中国・四川で再び大地震地球が悲鳴を上げ続ける中、愛知県岡崎市のゲリラ雨の傷跡を長々と放映し、野次馬の歓心を得ようとする地上波メディアは報道と呼ぶに値するのでしょうか?

●コメルツ銀行、ドレスナー銀行を買収(9/1FT、WSJほか)
欧州最大の保険会社アリアンツが7年前に230億€を出して買ったドレスナーを(FT予想では)たった90億€で転売することに。

信用収縮による銀行株の価値下落、そもそものドイツの銀行過剰overbank(WSJ推計でイギリスやスペインの5倍の金融機関が犇めく)、アリアンツによる銀行保険一体経営"bancassuarance"からの撤退、そして人員削減(WSJ紙によると合併後67,000人中9,000人カット)を含意。

アリアンツに対しては中国開発銀行China Development Bankからドレスナーを買いたいという提案を受けており、コメルツの提案よりも価格的には有利であった模様だが、政治的な意味合いもありドイツ資本に留めることになったとWSJ紙。

おまけ、、、
●英国は60年で最悪の経済危機、ダーリング財務相(8/30英ガーディアン)
7月のセミナーをご覧になって直ちに英ポンドをお売りになったお客さま、大変おめでとうございました。

月が替わりました。夏休みを取られた読者の皆さんも取られなかった皆さんも、引き続き応援よろしくお願い致します。
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2008年8月11日月曜日

みずほ路チュー問題。あるいは“我慢”と“努力”

予想されたことですが、週末のテレビは北京五輪にジャックされていましたので、週初恒例(時々サボってますけど!?)テレビ批評はお休みです。

かわりに、週末お招きいただいた「みずほ証券T常務送別会」でのお話。

興銀証券時代に大変お世話になったT常務送別会には、30名近くの出席者が集いました。そのうち“みずほグループ”を離れた転職組(辞め興銀とも言う)は僅か数名。一度も転職したことが無い人たちが中心の会というのは筆者にとっては逆に異文化で、「昔はこんなことがあった。彼は今何処何処の部署に異動している」というペースの会話になかなか乗れないもの。

会の後半、主賓のT常務が筆者の左側にお座りになり、曰く「みずほでは“我慢”の連続だった。サブプライム問題発覚以降のこの1年のことじゃないぞ。3社統合以来8年以上ひたすら我慢した。しかしこの間“努力”をしなかった。転職したら一切我慢をしないつもりだ。そのかわりこれからは努力をする。」

努力をしなかった、というのは勿論謙遜だろうけど。

T常務にとって努力の替わりに我慢を選んだ8年間。筆者にとっては我慢し切れずに転職を選んだ8年間だったと整理がつきました。努力が十分だったかどうかは反省を要するけれど。3度の転職、上場会社(グループ)では本来あり得ない恥晒しなクーデターによる失脚などを経て、今更何ら我慢を必要としない境地に辿り着いた今日この頃、もっともっと努力しないとここまでお導き下さった運命に逆らうことになるかもと気合を入れ直した一夜でした。

さて、当然話題となる「みずほコーポレート銀行斎藤頭取『路チュー問題』」。旧富士銀行による美人局説まで飛び出す、システムトラブル以来の下世話ネタになっていますが、その真相は???ヒ☆ミ☆ツ☆です。
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2008年7月29日火曜日

金融は所詮「虚業」だ!

●メリルリンチ、追加増資を発表-今度は普通株で85億㌦(7/28WSJ、FT)
WSJ速報版には、サブプライムという言葉は既にありませんでした。病巣は既に一般の住宅ローン債権にも蔓延しているようです。

●米4大商業銀行、「カバード・ボンド」発行解禁へ(7/28WSJ)
JPモルガン、バンカメ、シティ、ウェルスファーゴ。住宅ローン債権に超過担保5%を義務付けて出発?ヨーロッパでは良く知られたこの商品、米国では法律の整備が進んでいなかったこと、ファニーメイとフレディマックが機能してくれていたことから、1世紀以上発行は無かった。ポールソン財務長官も「カバードボンド」発行が金融危機脱却の起爆剤となる、と期待。

本日付日経新聞で滝田洋一編集委員が「米国の主力産業」に躍り出てしまった「裾野の広い金融業」が「曲がり角を迎えたとすれば、(中略)、事態は深刻」と書いておられます。

フェニックス証券オンラインセミナー第2回「たかがポンド、されどポンド」(5月26日)でも取り上げた、GDPに占める金融業の比率は、

英国=9.0%(2006年)
米国=8.0%(2007年)
日本=7.0%(2006年)

米国の水準は、レーガン政権の規制緩和政策の甲斐あって、27年間で3.1%ポイント上昇(付加価値額では8.1倍!!)。この間、付加価値を失った製造業の同比率は20.0%⇒11.7%と低下。

金融業に携わっておられる真面目な方であれば、「金融は所詮は虚業だ」という意識が頭の片隅には在るものではないでしょうか?金融商品取引業は立派な投資“サービス業”ではありますが、投資家と事業者を忠実に結びつけるという営みを真面目に続ける限り、そんな大儲け出来る商売ではない筈です。忠実、真面目とは、詐欺や相場リスクを呑まないというポリシーだと思います。

投資銀行業は今世紀に入ってからITバブルの崩壊⇒その立ち直り=不動産バブル生成⇒崩壊=コモディティバブルの生成?=立ち直り??という、膨張と収縮の循環を描いたかに見えますが、本当にcyclicalな現象なのか、それとも現在の金融危機はstructuralなものなのか、只今筆者の最も関心を寄せているテーマです。

ちなみに、我が国のガラパゴス商品先物業界の地盤沈下は相場景気などのcyclicalな問題などではなく100%structuralな問題であることは明らかです。
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2008年7月17日木曜日

毒入り餃子

前職のBNPパリバ証券時代の元上司、安田雄典在日代表のお招きで、昨日金融庁元長官の五味廣文さんのお話を拝聴する機会に恵まれました。五味さんは97年から98年の金融監督庁設立、山一、三洋、北拓、日長銀、日債銀の破綻という渦中で金融行政の舵取りに奮闘された経験を熱く語ってくださいました。

五味さんのお話で印象に残ったのは、「資産バブル当時の銀行は担保偏重主義に陥り、人に貸すという観点、つまり審査とか信用リスク管理を疎かにした」という指摘。もうひとつは、「信用秩序の崩壊は中国産毒入り餃子とそっくりだ」という譬え話。「不良債権-債務超過」という名の猛毒が何処にあるか判らない疑心暗鬼がパニックを引き起こす姿は、毒入りではない全ての冷凍食品、全ての中国産が売れなくなってしまう状況と同じ。98年の夏から冬にかけて日銀信用機構局と合同で集中検査を行い、日長銀と日債銀に駄目出し、残りは健全行のお墨付きを与えたと。

FX会社の社長の立場では言い辛いのですが、FX業界にも猛毒があることは、今月初めに発表された集中検査結果からも深読み可能。猛毒入りの安物(=低スプレッド!)のせいで業界全体が疑心暗鬼に晒されるという事態だけは是非とも回避したいと思っている今日この頃。

話を戻すと、金融再生法(当時も捻じれ国会でこの法案も野党側の議員立法だったのだが、当時の官房長官の野中広務氏が野党案の丸呑みを即断してくれた、いまでも野中先生のような懐の深い政治家がいてくれたらと五味さん)で一時国有化された日長銀と日債銀以外は健全行として安心マークが貼られたのだがその後のデフレ経済で銀行の伝統的貸出先の経営も不安定になり(2000~01年そごう、マイカル等の倒産)、公的資金の予備的注入という別の枠組みを作らざるを得なくなったと。

金融行政の難しさが痛い程わかるお話でした。

毒入り餃子以外の健全行を風説やシステミックリスクから守ることが金融行政の使命、それでもその数年後には相場や景気次第で健全行の安心マークすら疑わしくなってしまうという苦悩から、やはり銀行のバランスシートが全てのリスクを背負い込む「間接金融偏重」に無理があると達観、今日の「貯蓄から投資へ」という金融行政に至ると締めくくられました。

ところで、昨今金融庁から出されている文書からは、今日のサブプライム問題を深刻化されているのは証券化が発達したために何処の金融機関にどれだけ毒入り餃子があるかわからないこと。プロ同士とは言え、毒入り餃子を売ったものにも責任がある、という趣旨のもの。

間接金融も駄目、証券化も駄目なら、どうすれば良いのでしょうか?

信用リスク管理がしっかりしていれば不良債権問題は発生しなかった(再発防止になる)とは必ずしも言えないと思います。
●中国、過去4年間で最悪の電力不足に(7/16FT)
●シティグループ、中国でデビットカード業務認可へ(7/17WSJ)
これまで外資系クレジットカードは、中国国内企業との合弁事業に限られる等、制約が多かった。
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2008年6月9日月曜日

バブルは何故繰り返されるのか?

週末、7(土)の正午過ぎ、NHKの衛星放送「地球特派員」という番組を見ました。米国のサブプライムローン問題について、小説家の江上剛氏が取材。コメンテーターとして藤巻健史氏、コーディネーターは金子勝氏。

元第一勧業銀行で、バブルの生成と崩壊、そして総会屋対策の当事者として銀行の浮沈を見てきたという江上氏。日本の金融のお手本だと言われてきた米国で、どうやら日本の不動産バブルよりも酷い事態が発生している。それをこの目で確かめたかったという江上氏が、いまだサブプライム問題は何処吹く風と嘯くニューヨークはマンハッタンの超高級マンションが主としてユーロ高で沸くヨーロッパの投資家、そしてオイルマネーを背景にした中東の投資家に驚くような値段で売られている現状。一方で、ロサンゼルス郊外やデトロイト周辺では家屋の差押の急増ぶり、シャッター商店街、テント住まいの家族が残酷に映し出されていました。

江上氏は、「日本の不動産バブルには勿論銀行も責任を負っているが、まだ銀行の貸出姿勢にはモラルがあった(!?)米国のサブプライムローンはモラルもへったくりもなかったのではないか。またそれを証券化して世界中に撒き散らすとは言語道断」と主張。

一方、元三井信託銀行、JPモルガンで伝説的ディーラーと呼ばれた藤巻氏は、「それでも米国は金融立国。何があっても金融という産業で生きてゆくという意識は磐石」と反論。

江上氏も、FEDの対応や、SWFからの増資受け入れなどに見るスピード感は羨ましいと溢す。

筆者は、日本の銀行経営の失敗の最大の原因は人件費を中心とするコスト構造にメスを入れられなかったからであると、20年前から思っています。

そして、これを総合企画部の末端係員時代にエリート幹部に事ある毎に繰り返し、嫌われ、苛められ、総合企画部の歴代最短記録の1年6ヶ月でクビになりました。その御蔭で、今日に至る証券業務に携わることが出来ました。

日銀と大蔵省の金融緩和政策と引き締めへの大転換、米国をはじめとする自己資本比率の規制や時価会計の強要、これらをひっくるめた米国陰謀説やユダヤ陰謀説は、大手銀行の「逃げ切り世代」にとっては言い訳にもならないでしょう。

また、不動産関連融資への傾斜は、リスク管理の幼さであるという主張も、リスク管理を高度化すれば銀行経営は健全になるという結論を引き出すという点で、くだらない議論のひとつです。

付加価値を失った人員、店舗、システムの経費をカバーするためには、リスクを感じつつも不動産にのめり込まざるを得なかったというのが正解です。

金融自由化と金利自由化で貸出先も減る、利ざやも減る。構造不況をいち早く認めるべきところ、「若手行員たちよ、知恵で乗り切り俺たちの退職金を稼いでくれ」というのは所詮無理なのです。証券業界を見てください。手数料の自由化が、証券会社の店舗や人員を不要にしていることは誰の目からも明らかなことです。

貸出先が減ったのなら、店を閉めるべきだったのです。これが「逃げ切り世代」には意思決定出来なかった。

FXを見てください。ドル円往復たった2銭は決してフェニックス証券だけではありません。20年前、筆者が銀行に入ったときは往復2円だったんですよ。

NHKの番組に話を戻すと、この程度の結論を導くために、ニューヨークまで飛行機を飛ばさないで欲しかった。というのが筆者の感想です。
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