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2009年5月18日月曜日

グリーンスパンのお株を奪ったミセス・ワタナベ

はい、昨夜のNHKスペシャル「マネー資本主義 第2回“超金余り”はなぜ起きたのか?~カリスマ指導者たちの誤算~」のことであります。

前回の米国投資銀行に代わり、今回はグリーンスパン氏が袋叩きにされるという予告編。ところが、本編では、劇中劇(!?)の藪から出てきたボストンバッグの3000万円を遺失物として届け出た富田靖子さん演ずる“主婦”渡辺みどりさんが、突如主役として踊り出ます。

外国為替証拠金(FX)取引の脱税手段として、「現金を捨てる(失う)⇒拾って届ける⇒拾得物として手に入れる」という技が有効なのかどうか「七転び八起き」は勉強不足で存じません。

番組ではグリーンスパン前FRB議長のほかに、ルービン元財務長官や榊原英資元国際金融局長も登場。95年に1㌦79円をつけた円高ドル安を、強力に修正させたのがこのふたりであると紹介されていました。

ただし、日本版ビッグバンの一翼である外国為替管理法の改正(為銀主義の撤廃等)の主眼が、まさしく外国為替証拠金(FX)取引の解禁であり、(為替介入だけに頼らず)民間の力(≒ミセス・ワタナベ)で米国のドル高政策を応援しようという用意周到な国策であった、とまでの洞察はありません。

何故、今になってレバレッジ規制なのか?国家戦略という観点から見た場合に、オバマ政権がもはや自国通貨高を望んでいないという、明言はしていないものの、十分に推定しうる意向をくみ取る必要はあるでしょう。勿論、直接の原因は悪徳スリッページ業者の排除であることに違いはないのですが。
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2009年3月23日月曜日

ガイトナー財務長官、去就を賭けて

米国金融システムの強化策を発表する予定。外国為替市場の注目が集まっています。

AIGの巨額ボーナスに対して、公的資金(≒TARF)を利用した金融機関のボーナスには90%課税をするという法案を可決した米国下院。ガイトナー財務長官は、バーナンキFRB議長共々、「AIGの巨額ボーナス支給を何故事前に阻止出来なかったのか?」という問題で叩かれるべく、米国下院での議会証言も予定されています。

ガイトナー財務長官が叩かれたのは、①脱税疑惑発覚で長官任命に手古摺ったこと、②去る2月の金融システム強化策の発表内容が具体性に欠け株式市場が暴落したこと、に続いております。ちなみに、当ブログで取りあげた「中国=為替操作国」発言は財務長官任命前のことでした。

2月に叩かれた「官民一体ファンド」での住宅ローン証券化商品を含む不良債権の買い上げについて、今夜具体策が出ることが予想されています。民間が1㌦出せば、公的資金(預金保険機構)が4㌦まで出すという案のようですが、AIG巨額ボーナス支給問題が悪影響して「民間の投資家は、公的資金を活用するビジネスに乗りたがらない」(WSJほか)という憶測も出ております。

本日日本時間午後9時45分に予定されているガイトナー財務長官の会見。今回も空振りに終われば、FOMC以降のドル安の流れが加速する可能性、また過去2週間連続して好調だった米国株式が大幅調整する可能性があるだけでなく、財務長官の更迭を経て、オバマ政権がある種の無政府状態に陥るリスクがあります。無政府状態という表現は、当ブログで主として我が国の永田町を描写してきたものですが、

「金融が政局になってしまうと議会制民主主義が機能不全に陥る」

のは日米欧似たり寄ったりです。近々同様の問題が日本もヨーロッパも襲うということで為替相場は引き続き不美人投票が続くものと思われます。

ところで、何故、金融が政局になると議会制民主主義が機能不全に陥るのか?

当ブログでしつこく批判しているモラルハザードの問題が頭をもたげることも大きな理由のひとつ。

「金は天下の回りモノ」の実例を海外メディアから2つご紹介します。

★中東ファンドがダイムラー株を9%取得(FT)
Aabarインベストメント社はアブダビの“半”政府系ファンド。殆どの中東系またはアジア系SWFが、落ちてくるナイフを早く拾いすぎてナンピン出来ない状態かと思いきや、まだニューネームがありました。自動車が売れないから石油も売れない。したがって、産油国による自動車産業の救済の余裕はないと思っていただけに意外な臨時ニュースでした。

★米国の複数の生保が、AIG救済を批判(WSJ)
生保業界の競争を歪めるとして、バーナンキFRB議長にAIG破綻を直訴。

当然です。我らがトヨタ、ホンダのためにも、GMを早く潰しましょう。
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2009年3月19日木曜日

FRB、米国債3000億㌦購入-驚愕のFOMC

市場関係者は予想外の国債買いオペ発表に驚き、為替相場は一転円高ドル安。しかし、当ブログや弊社セミナーを御利用下さっている方々にとっては「遂にこの日が来たか・・・」というご感想だと思います。一番驚いたのは、白川日銀総裁だと思うのは私だけ!?

米FOMC直前となった我が国の金融政策決定会合。こちらは国債買いオペ1.8兆円/月への増額>(年額で現在の16.8兆円から21.6兆円へ)を決めたが、直後の記者会見で白川総裁は「買い取り額は限界に近い」と述べています(今朝の日経朝刊)。

これに対して米連邦準備制度は、

★3000億㌦(約30兆円)の長期国債を買い取り(今後数カ月で)

★住宅ローン債権(ファニーメイやフレディマックの証券化商品など)の買い取りを倍増(7000億㌦⇒1兆4500億㌦)

日米の中央銀行の桁違いの「事実上の国債引き受け」に対して、米WSJ紙と英FT紙は異なる評価を与えています。

WSJ紙は、

「中央銀行の役割は、議会の承認を得ずに、金融危機に対して積極果敢かつ融通無碍に動けることだと印象付ける発表だった。殊に、米国議会では血税が更に金融機関救済に使われて良いのかどうか“政局”になりかけている状況において、中央銀行の柔軟性は一層重要だ」

と肯定的なニュアンスを感じましたが、一方FT紙は、

FRBの貸借対照表は、約3兆㌦(≒300兆円)に膨らむことになる(一挙に40%近く膨張)。米国債と住宅ローン債権だけでなく、信用市場活性化スキーム(=1兆㌦)を加えると、約4兆㌦(≒400兆円)。すなわち米国経済の三分の一の規模だ」

とインフレリスク(≒米国経済が好転した際にマネーサプライ【通貨供給量】を制御出来なくなる恐れ)を指摘。実際、金価格はFOMC後に6.6%も上昇し、1トロイオンス=942.90㌦に急騰しています。

有名エコノミスト(≠有能経済学者)の多くが鵜呑みにしているフィリップ曲線(インフレと失業率が反比例するという“経験則”)があります。確かにインフレ期待(≠今目の前のインフレ)は、金の延べ棒への投資家だけでなく、製造業をはじめ卸売業、小売業、そして勿論、不動産業にも設備投資や在庫投資をすると儲かるという気分にさせてくれます。安く仕入れて高く売れると思うから、または店子の収入が上がるから賃料を上乗せ出来ると思うから、です。

理屈では確かにそう。しかし、現実はどうでしょう。今年より来年のほうが物価が上がる。更に再来年はもっと上がる。そういう期待が蔓延したとしても、自動車を買う人が増えるでしょうか?デジカメやエアコンを買う人が増えるでしょうか?

失業や貧困、格差や需給ギャップの問題を、マクロ経済の問題としか見なさない伝統的な枠組みにこそ致命的な欠陥があるのです。

加えて、なまじ情報と統計が整備された日米のような環境においては、貨幣錯覚は成り立ちづらい。ばらまき政策など公的関与は「景気の駆け込み寺」たりえないという本音が、有名エコノミスト(≠有能経済学者)の間で殆ど語られないのは残念。

最後に、このブログは「FXダイアリー」であることを忘れるわけにはいきません。国債買い切り(マネタイゼーション)は実態的に自国通貨売りを目指す単独介入に他ならない。FOMCの結果、対ドルで円は買われたがユーロはもっと買われていることに注目。中国(人民元)は格別として、日銀と欧州中央銀行(ECB)とで、どちらが節度を守れるかが勝負。

そしてこれは中央銀行だけの問題ではありません。

「中央銀行の金融緩和がまだまだ足りない」

という政治から、

「国民ひとりひとりが他人に買ってもらえるものを作ろう、または売ろうという原点に立ち返らない限り失業や企業倒産は避けられない。自分の不幸を他人のせいにするな!」

と国民を叱咤出来る政治に転換出来る国の通貨が生き残る。私が長期的にはやはり円安と一貫して主張するのは、このような政治家が日本に現れ当選する可能性がゼロに等しいからです。
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2009年3月16日月曜日

日銀、銀行の資本増強支援-貸し渋り防止

★劣後ローンの引き受けを検討-政府保証が焦点に(3/16日経)
土曜日に英国の田舎で行われたG20でも金融政策では協調。財政政策では不協和音。日経の観測記事はこの流れに沿うもの。

「政府保証が焦点」だというのは本当か?これはブログの最後に意見したいと思います。

昨日放映されたNHKのど自慢。収録地が三重県津市だというので間違っても両親が出ていないだろうなと心配で、冒頭の5分だけテレビをつけ出演者を確認。ほっとしました。

収録場所の三重県文化会館は、筆者の中学高校時代当時は体育館に毛が生えたような多目的ホールでしたが、サントリーホールやオーチャードホールなどと見紛うほど素敵で瀟洒なホールに生まれ変わっており、びっくり。のど自慢の舞台と客席のギャップに、違和感を感じた視聴者のみなさんは、三重県出身者に限らず大勢いらっしゃった筈。

お決まりの収録場所の紹介(藤堂高虎、唐人おどり、・・・)もありました。が、津市の人口が30万人を超えたのは、数年前の大規模市町村合併があったからだけのこと。筆者の故郷、安芸郡芸濃町も現在では津市芸濃町(人口は約7000人)。驚くべきは、この芸濃町にも、三重県文化会館と同様に、NHK交響楽団や海外の名門オーケストラを招いても恥ずかしくないようなホールが、田んぼの真ん中に忽然と作られていることです。

筆者が前前前職で大変お世話になった上司から聴いた話。ロンドン交響楽団を率いて来日した世界的な韓国人指揮者チョン・ミョンフンに「日本から持ち帰りたい、お土産にしたいものは何か?」と聞いたら、「ホールをひとつ。どこの田舎のでも構わないから・・・」と皮肉に笑みを浮かべて即答したと言います。

ハードウェアは有り余るほど作られたのに、肝心のソフトウェアの中身が伴わない日本の文化の現実を哄笑した酒の席での発言は、土木だけでなく文化まで含めて官僚機構に税金の使い道を任せておくと国が滅びることも射程に入っています。

極端な貸し渋りで、黒字倒産や資産超過倒産まで発生しているとすれば、銀行経営への介入の意義はある。しかし、「輸出の減少⇒売り上げの減少⇒資金繰りの悪化」を後方支援する劣後ローンの引き受けは、無駄な公共事業と同種の無駄を重ねることになります。

今後どちらの政党がどんな政策をとるかに関係なく、我が国のホワイトカラーは約半数以上が無駄であることが判明する日が、そう遠くないと思われます。これまでその約半数の無駄なホワイトカラーを支えてきてくれたのは、汗塗れで働き通してきた町工場の役職員が稼いでくれた外貨です。この遺産も、我が国が13年ぶりに経験する国際収支の赤字によって食い潰されているのです。

1985年のプラザ合意以降の円高局面に発生したJカーブ効果(円高が輸出数量の減少よりも、単位数量当たりの売上増のほうが寄与して、かえって貿易黒字が増えてしまう現象)が、今回の円高局面では全く発生していないこと。このことに着目した経済誌紙の報道や経済学者の指摘は筆者が観察する限り全く見られない。それくらい深刻なのです。

先週金曜日の日経朝刊の経済教室は、元農水事務次官の「製造業が駄目なら農業に帰れば良い」という甘い発想で生き延びられるほど、逆スパイラル化が臨界点に達した日本の農業の再生は生易しくない、と冷徹な分析に基づき主張しておられ、目から鱗でした。

縦割り行政を組み替えることによってしか実現出来ないであろう、真っ当な補助金の使い方、専業農家、大規模経営を支援する枠組みに加え、筆者が予てから主張する

「少子化は自然の成り行き」

であることを受け入れ、

「一人当たり耕作(可能)面積」

を主要先進国並みに近づける努力。都市労働者は帰農だけでなく、資本流出に悩む新興国に活路を見出し、長期的には円安を待つだけのタンス預金を投資機会に結び付ける仕事を見つける。

時代としては、明治維新以降、ブラジルやカリフォルニアやハワイに活路を見出すべく裸一貫で旅立った移民一世の皆さんの心境が、これから再び沸々と沸いて来ざるを得ない局面であり、また過去の蓄積としてのタンス預金以外は然したる資源もないくせに、生活水準の低下は政治の責任だという風潮=大国病に陥った第二次大戦後のイギリスと酷似した状況に、今の日本はあります。

最後に冒頭お約束した「政府保証が焦点!?」ですが、既に国債以外の民間資産の買い入れに踏み切っている中央銀行(日銀だけでなく米国FRBも該当)にとって、政府保証の有無は関係ない。日銀法上の独立とは言え、総裁人事は立法府で右往左往する現実。上場会社とは言え、特融を含めた結果損失は税金で穴埋めされる構造。このように考えると「政府保証が焦点」というのは単なる茶番とも考えられます。
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2009年2月9日月曜日

無利子国債とタンス預金

経済学を学ぶには数学が必要、と断言すると、一部のコテコテのマルクス経済学者に叩かれますが、高度な数学を使えるお利口さんにとっては経済学は朝飯前という、「逆」は、必ずしも成り立ちません。

政府紙幣や無利子国債の是非についての議論。高等数学が正論を導くとは言えません。万人を納得させる論理を積み重ねても、意見が分かれるのが経済学の面白いところでもあり難しいところ。尤も、数学にも不確定性原理(ゲーデル)というのがあります。経済学の場合は、日常の具体的なテーマですら十分に不確定なのです。

政府紙幣については先週十分叩きました。これは与謝野経財相も同意見。その与謝野氏もバッサリとは斬らない無利子国債。

まず一言、「七転び八起き」の意外な考えを申し上げれば、本来は同様にばら撒き政策に他ならない政府紙幣という政策に比べて、経済上の効果や国民の反応が判りにくいという特徴があり、目眩まし政策としてやってみる価値だけはあるのではないか。。。

30兆円にも上ると日銀が推計するタンス預金。信用創造サイクルから脱線したベースマネーを何とかしなければ経済が浮揚しないというのが政策意図。先月の日経CNBC生出演とオンラインセミナーで使った米国のベースマネーとマネーサプライのグラフ(出所:FRB)をご覧頂くと、リーマンショック後の米国は同様の病気に侵されていることが見てとれます。中央銀行が国債に限らず形振り構わず民間資産を買い上げ“お札”を市中に供給しても、家計は銀行を信用しない、加えて銀行は融資先を信用しないゆえに、マネーサプライが意外と伸びないという現象。難しい用語を使いますと、信用創造の乗数や通貨の流通速度は、政策当局が調節できないほど落ち込んだままになっているのです。

マネーサプライさえ増やせば良いという政策が正しいかどうかは、「“為替力”で資産を守れ」に譲ります。

仮に政策目標が正しいとすれば、タンス預金に照準をあわせて無利子国債を発行しようが、引き続き中央銀行に金融緩和策をやらせようが、差はない。問題は、中央銀行が民間のどんな資産を買うか?無利子国債の発行代金という新たな財源で政府がどんな資産を買うか(どのような公共投資をするか)?つまりは、採算性を重視しない事業主に、予算の使い道をどこまで任せられるのかということがより深刻だと考えられます。

最後に、30兆円のタンス預金が、ペイオフ解禁のせいか、断トツに高い我が国の相続税率のせいなのか、わかりませんが、無利子国債の発行が万が一決まれば、現金の還流だけでなく、預金の解約も進んで、預け渋り対策+貸し渋り対策としては効果が中和されてしまう可能性も指摘しておかざるを得ません。ただし、やってみないとわからない。ゆえに、目眩まし効果だけは認める、と書いたのであります。

ところで、今、イギリスでは家庭用金庫が空前のヒット商品になっているそうです。無利子国債は家庭用金庫産業をクラウド・アウトする可能性はあります。それと、無利子とは言っても、政策当局が発行量を調節することによって、家庭用金庫の購入費用程度のプレミアム発行(無利子どころかマイナス金利になる)にすることも出来るし、相続税の軽減策をケチれば、ディスカウント発行(事実上有利子になる)にすることも出来ます。

貧乏家系の「七転び八起き」としては、無利子国債が実は「泥船」であって、無利子国債を買った人の多くは、過去に相続税や贈与税だけでなく諸々の脱税を犯してきた可能性が低くないと推定し、税務署に現金の出所を調べさせ、様々な不正蓄財を一網打尽に暴くきっかけになるとすれば、モラルハザードのない公正な競争社会と財政再建を同時に実現できると考えますが、二世議員を中心とした我が国の世襲政治にこれを期待するのは絶対に無理でしょう。
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2009年2月6日金曜日

政府紙幣は麻薬、伊吹文明氏

まさかヘリコプターでばら撒かれるのではないでしょうが、当ブログがこのようなばら撒き政策には一貫して反対してきました。

理由は3つ。

(1)貨幣錯覚が起こりうるという想定の誤り

2008年9月26日「貨幣錯覚は幻想に過ぎない」

(2)モラルハザード(やり逃げ)の防止こそ、健全な資本主義にとって唯一無二のルールであること

2008年10月17日「モラルハザードとファイヤーウォール」


2008年9月24日「良い銀行と悪い銀行」

(3)中央銀行が金融政策の範囲を広げている現状で、この手の議論のどこに意味があるのか、冷静に受け止められていないこと

2008年12月19日「米ドルはどこまで腐敗するのか?為替介入はありやなしや?」

2008年12月11日「中央銀行とは何ぞや?」

減反政策見直しの足を引っ張る古き悪しき自民党ですが、市場原理主義への徹底批判が渦巻く中、モラルハザード政策を麻薬と喝破する政治家も少なからずいらっしゃるのもまた自民党であります。

さて、市場原理主義もどきに対して、それ見たことかと鬼の首を取ったような書籍や、規制緩和推進派だった有名経済学者が懺悔した書籍が馬鹿売れしているようです。市場原理主義(もどき)への批判は今に始まったことではなく、市場の失敗(政府の失敗も同様に深刻ですが)という経済学用語には古い歴史があります。その代表格が、「公共財」すなわち営利企業に任せておいても供給されづらい道路や公園のようなものです。

インフラとか産業基盤と言い換えても、相応の文脈において、同義語です。

ご覧のとおり、私はブロガーとして、ばら撒き政策、モラルハザード政策を断定的に否定しつづけてきました。簡単に言えば、「政府はゼロサムゲームの邪魔をするな」ということ。しかし、もちろん、物事には二面性があります。

マクロ経済は本当にゼロサムゲームなのか?「買って損をした人がいれば、売って得をした人がいる筈だから、社会全体としてはチャラだ」という自分の考えに間違いはないのか?

反論があるとすれば、こういう理屈ではないでしょうか?

マルクスの歴史観も、マルクスを批判する立場の歴史観も、いったん忘れて、人類がどうやって物質的に豊かになってきたかを思い起こしてみますと、ひとつは技術の進歩(発明や発見など)であることは明らかで、もうひとつは、

自給自足⇒物々交換⇒お金(貨幣)の流通⇒お金の貸し借り(金融=信用創造)

という経済のインフラの整備だと考えています。100年に一度の云々とは、金融が壊滅的となり、場合によってはその一歩手前の貨幣(通貨)まで怪しくなるかも、というインフラの破壊であるから、政府が乗り出さなければならない、という指摘はありうるかも知れません。

ちなみに現段階は、多くの国では、通貨危機までは至っておらず、金融(信用)の収縮が、貨幣の価値を尋常でないほど高めているというのが現状です(Cash is king)。極端な荒療治は、紙切れの価値が無限大に高まることはありえず、どこかで反転するまで放置しろというもの。しかし、当ブログをしばしばパクッている元市場原理主義者の先生方も、そこまではおっしゃらず、埋蔵金をここぞとばかりに使いましょうというご意見やら、それこそ政府紙幣云々とのご意見が聞こえてきます。

荒療治では選挙に勝てないから、麻薬でも抗生物質でも兎に角形振り構わずばら撒けという政策は、貨幣流通インフラにまでは浸食していなかった危機の程度を寧ろ高めます。

昨夜の利下げ後、一瞬健康状態を取り戻したかに見えるかつての基軸通貨国家イギリスも、そしてユーロ圏では、スペインやアイルランドも、本日のテーマ「麻薬としての政府通貨」に手を出さざるを得ない状況にあると考えられます。ばら撒き政策の技術上の問題としては、国別に中央銀行があり、国債等の買い切りオペ(マネタイゼーション)という選択肢が終始残されている日中米とは好対照です。
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2008年12月11日木曜日

中央銀行とは何ぞや?

●米FRB、独自の債券の発行を検討―米財務省が発行している政府短期証券の“従兄弟”みたいなもの(12/10WSJ)
今朝の日本経済新聞も思わず取り上げている奇妙な観測記事。直感的には各国中央銀行の歴史上、前代未聞の枠組み転換に関する超スクープ記事のようですが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙はどういうわけか敢えてアラート機能に載せませんでした。

実際には、「FRB法上の制約もあり、債券発行への道筋は平坦ではないだろう」とか、「債券を発行してバランスシートを膨らますのは財務省の領域であり、中央銀行が財政政策を独自で意思決定して実行までするというのは規律上よろしくない」という見方があり、実現は不透明ということでしょう。

しかし、火の無いところに煙は立たないのだとすると、
①質への逃避の結果、マイナス金利が付くほどの人気運用商品になってしまった政府短期証券。
日本経済新聞でみずほ証券の上野さんが「手数料を払って貸金庫に現金を預ける感覚」というのは直感的にはマイナス金利の理由が理解し辛いなかで非常に巧みな譬えです。加えて、
②CP(コマーシャル・ペーパー=民間企業が発行する合法的な“融通手形”)、住宅ローン証券化商品)、それに何と言ってもAIGへの融資等々で、米FRBの貸借対照表は約半年で倍以上にも膨張している(9000億㌦弱⇒2兆㌦超)
以上二つの背景が、FRB幹部をして、意味深長な珍言を語らしめたとも考えられます。

「景気と雇用の回復のためには、意図的にインフレを起こさせるべく、政府も中央銀行も形振り構っていてはいけない」というプロパガンダに当ブログは一貫して与しません。実現可能かどうかは別としてFRBの債券発行の選択肢というのは、どういう意味を持つのでしょうか?

財政政策とは、
「国債(税金または徴税権を担保とした国の債務のこと)を売るかわりに民間の資産を買ってあげるよ」
といううことです。

金融政策とは、
「現金(中央銀行の債務)を売る代わりに、国債(など)を買ってあげるよ」
ということです。

財政政策のほうは法律や議会(立法府)の制約が当然大きいのに対して、金融政策については迅速性という大義名分のお陰なのか、かなりの裁量が中央銀行にあるのが特徴です。財政政策も金融政策も「インフレの種蒔き」という点では同じですが、強制通用力のある価値尺度である現金のほうが種の殻は柔らかくて薄いため、発芽も成長も早いのも特徴です。

米FRBが、この時点で既に米国債以外の金融商品をのべつまくなしに購入して、殻が薄いインフレの種(=マネタリー・ベース)をばら蒔いている以上、これから発行を検討と言う債券はむしろ殻は固い⇒相当程度地面が湿っていないと(民間銀行に信用創造機能が回復しないと)インフレは発芽しない。ドサクサ紛れに、種も肥料も水もばら蒔いてきたFRBが、肥料も水もばら蒔きすぎた責任を後から言われても困るので、殻の固い種だけを蒔くという選択肢を準備しておこう、というのが理論的に考えれば今回噂の枠組みということでしょう。

勿論、財政政策と金融政策が一体化され、国債管理政策が議会から糸の切れた凧になれば、意図的インフレを起こすためには万能の力を持つことになります。中央銀行が既に「代替的金融政策」手法を手にしている限り、いまさら債券発行が可能かどうかというのは、直感的に恐れられるほど、大した意味は持たないのです。
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2008年12月5日金曜日

原油下落と金利下落

●原油価格、1バレル25米ドルまで下落!?メリルリンチが警告(12/4FT)
米国、欧州、日本の景気後退が、これまで商品市況高騰の牽引役だった中国の成長鈍化を招くならば、との説明。「100ドルを越えたら、次は200ドルだ」と騒ぎ立てた投資銀行業界が、半年も経たずに今度は「50ドルを割ったら、25ドルだ」と、懲りずに『順張り』予想で世間を騒がせる。この“ビジネスモデル”、もう終わったのではなかったのか?

経済学では、需要の増加や減少によって(物理的な理由等により簡単には)供給が増減しないモノの価格を『地代』と言います。名前の由来である土地がその典型例(だった)。括弧付過去形の意味は、もし現在でも都心の一等地に建蔽率や容積率に厳しい制限がある一角があるとすれば、そこはきっと景気動向で不動産価格が周辺の規制緩和された区画よりも遙かに上下動するでしょう、という意味です。『地代』の例としては他に、お金のためではなく兎に角好きでやっていた野球だったのに気がつけばプロ野球選手として球界を代表する名プレーヤーになってしまったみたいな選手の年俸。各球団による争奪戦は、この選手にとっては想定外の動きであり、このような引き合いのことを『派生需要』と言います。『派生需要』と『地代』が発生するモノの供給曲線は価格軸と平行なのが特徴です。

で、原油はどうか?代替エネルギーがないわけではない。供給側(OPECなど)の生産調整も出来る。未開拓の油田もある。等々を勘案すると、少なくとも今の世の中では原油価格は『地代』とは言い切れないのです。

メリルやGSのエコノミストは余程のアホか、賢いのだけどもいやいや相場操縦につき合わされているかどちらかでしょう。

●英100bp利下げ、1951年以来の低金利(12/4FT、WSJ)
1694年にイングランド銀行が創設されてからの最低水準。来年1月には更に75bp利下げして、1.25%とまで予想する向きも。

ところで"bp"はベーシスポイントの略で、0.01(パーセント)ポイントと同じ意味です。“0.01%”と言うと、(下落)幅のことなのか(下落)率のことなのかハッキリしないので、この記事のように幅であることをハッキリさせたいときに(ベーシス)ポイントという表現を使います。ブリティッシュ・ペトロリアム(英国石油)の略ではありません。

●ユーロも75bp利下げ、2.5%へ(12/4FT、WSJ)
欧州中央銀行の10年の歴史で、最大幅の利下げ。

●米ビッグスリー首脳、再び議会で金融支援を懇願(12/4Washington Post)
3社の金融支援要請額を合計すると340億㌦~380億㌦。2週間前に言われていた数字(250億㌦)から増額されているのは、たった2週間の間の赤字運転資金だったのか。

3社破綻だと250万人の労働者が失業の危機に晒されることを考慮すると、その際の対策資金に比べて、380億㌦でも安いという経済評論家の意見をワシントンポストは紹介しています。が、その評論家も、今後2年間で必要な借り換え資金は各社首脳が申し出ている数字より遙かに大きい750億㌦~1250億㌦だとのこと。
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2008年11月27日木曜日

ボルカー元FRB議長が現役復帰

●オバマ次期大統領、元FRB議長のポール・ボルカー氏を経済回復諮問会議の議長に指名(11/27WSJ)
グリーンスパン氏の前任者である御歳81歳のボルカー氏。レーガン政権のもとで、FRBの独立を守る数々の施策と発言が記憶に新しい。

さて、昨日ブログをお休みさせていただいたのも、またまた地方出張が言い訳。金融庁幹部の皆さんからのお話は主に証券行政がテーマでしたが、驚いたのはやはりFX業者の話。自己資本規制比率をわざと高い数字で申告していたが実際は債務超過。破綻後はもちろんお客様への預託金返還が不能という事態がここのところ頻発している。FX業者を監督している立場として「情けない」というご発言までありました。

それを言うなら、私は同業者の立場としても「情けない」し「腹立たしい」気分。FX業者のビジネスは真面目にシステム設計をし、忠実にFX注文をカバー先にヘッジしている限り(カバー先がリーマンブラザースのような事態にならない限り【注:但しリーマン日本法人は破綻したものの資産超過】)、大儲けも出来なければ大損して自己資本を毀損するビジネスではない筈。なのに、ドル円で1銭だのゼロ銭だの、レバレッジが300倍だの400倍だのと競い、異業種からの参入が絶えず、気が付けば130社を超える業者が蠢くのは、証券会社の(上場株式の)信用取引においては決して許されない、、、

×××信託銀行による「全額区分管理」が義務付けられていないこと×××

×××お客様の注文に対する「向かい呑み行為」が禁止されていないこと×

この「車の両輪」を悪用し、失敗すれば「破綻⇒顧客資産返還義務不履行」を覚悟すれば、大儲けできるという算段に基づいている点を指摘せざるを得ません。インターバンクのドル円のスプレッドをどんなに忠実に「良いとこ取り」をしても、エンドのお客さまにゼロ銭やら1銭を提示することは無理。「向かい呑み行為」という、《業者が勝つには顧客が負ければよい》という利益相反の発想を前提としているからこそ、FX先進国の欧州アジアで考えられないスプレッド競争とレバレッジ競争が我が国で過熱してしまったと見られます。

リーマンショック後の2ヶ月で金融庁の幹部の皆さんは上記指摘を迅速にご理解していただけたのだと拝察します。これから急速に起きるといわれるFX業者の淘汰が、どのような物差しで実現するのか、大きなヒントになると思われます。
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2008年10月31日金曜日

日銀利下げ幅は、たった0.2%

フェニックス証券のFXは「たった2銭」ですが、日銀の利下げ幅は「たった0.2%」でした。瞬間的に市場は大きく荒れており一概に失望で株安・円高と決め付けるわけには行きません。が、市場予測が「0.5%⇒0.25%」だったことを考えると、《絶対にグリーンを捉えると思われていたフェアウェイからのショートアイアンだったのに、手前のバンカーに沈んだ》という印象かも知れません。

ところで、今朝のブログのクイズの答えは・・・化粧品です。皆さん、正解でしたか?えっ、他にも答えはあるって??
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2008年10月30日木曜日

米国利下げ。FF金利は1.0%

同日、中国やノルウェイも利下げ。ECB、BOEも来週利下げが濃厚と、WSJ紙。

更なる利下げも臭わせたFOMC。「ゼロ金利政策が近づいていることのジレンマ」という表題でFT紙は90年代の日銀の政策が景気浮揚に成功しなかったことと今回の米国の事態を比較しています。

デフレ下で名目金利をゼロにしても、実質金利(注)は高止まってしまうわ名目金利はマイナスには出来ないわで万事休す。これが90年代の日本だ、と。現在の米国は(ヘッドラインインフレこそマイナスに転ずるリスクが濃厚だが、生鮮食料品とエネルギー価格を除いたコア)インフレは(元々の水準が)高いので大丈夫。金融政策の余地はある、と。

(注)実質金利=名目金利-期待インフレ率

しかし、中途半端な経済学者がよく間違える罠なのですが、只今現在のインフレ率と、その将来の予想とは意味が異なります。加えて、現在の米国金融の最大の問題は名目金利が一物一価になっていないこと、つまり銀行間市場の機能不全は依然続いているため、政策金利を引き下げても銀行間の(無リスク金利である筈だった)金利が高止まり、結局は実質金利を制御できない事態に陥り続ける恐れがあるということです。

完全雇用状態(デフレギャップが無い状態)を実現する金利を「中立金利」と定義づけ、中立金利の下落に対して政策金利の引き下げが後手後手に廻ると日銀が直面したゼロ金利のジレンマに陥ると論じたのがスタンフォード大学のテイラー教授です。金利政策に限定する限り(つまり、中央銀行の機能は金利政策だけではないということが言いたいのですが・・・)、米国の現況は既に90年代日本と同様の落とし穴に嵌っているといわざるを得ません。

ただし、ユーロ圏も五十歩百歩ですが。
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2008年10月24日金曜日

規制緩和論者の鬼の首

●グリーンスパン氏、米国議会で質問攻めに(10/23WSJ、FT)
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。

昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、

「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」

「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」

尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、

実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)

世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
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2008年10月9日木曜日

米欧6中央銀行、協調利下げ

米国2.0%⇒1.5%(公定歩合も同時引き下げ。本来のFOMCは10/30だった。)
英国5.0%⇒4.5%(本日10/9予定だったBOE総会は前倒しによりキャンセル)
ユーロ圏4.25%⇒3.75%(先週10/2のECB総会で金利据え置き発表が記憶に新しい)
カナダ3.0%⇒2.5%
その他、スウェーデン、中国、UAE・・・・

昨夜BBCで在東京特派員がキャスターから「日銀はどうして協調利下げに参加しないのか?」と質問され「日銀の政策金利は殆どゼロなので、下げようが無いからだ」と答えていたのが印象的でした。今週初、アスキー+マネージャパン共同企画で対談をさせていただいたソフトブレーン創業者の宋文洲さんも「日本が超低金利で海外に資本輸出し過ぎたのも問題の一端。FXもレバレッジを掛けさせ過ぎじゃあないのぉ」と忌憚の無いご意見。ごもっとも!わたしは「FX会社は、過度なレバレッジに頼らずに事業の継続が出来るような体制・体力を目指すべきだと、少なくともフェニックス証券は考えているんです。現在の競争環境で完璧な体制を築くのは至難の業ですが、フェニックス証券はその理想に相当近いほうだと自負しています」と回答。

日銀はさておき、協調利下げの前日のRBA総会、オーストラリアは予想幅を超える1%の利下げを発表。一時的な効果はあったものの、このところの豪ドルの下落は、対日本円は勿論ですが、対米ドルでも最悪状態です。これは今月23日に政策金利発表を控えるニュージーランドについても言えます。

4月以来、当ブログやセミナーで一貫して申し上げてきたことは、信用収縮⇒金融危機、つまりデ・レバレッジの局面では、為替相場は購買力平価に収斂するという読みでした。これが、対米ドルでユーロやポンドを売り推奨させていただいていた理由です。しかし、もうひとつ忘れてはならなかったのは相場は振り子だということ。極端から手を離したブランコは最下点では止まらず、もう一方の極端へと一旦は向かってしまう。信用収縮⇒金融危機の震源地である筈の米国が、それゆえに米ドルの空売りコストが割高になってしまっている要因も手伝い、米ドルのパフォーマンスは対日本円以外では頗る良好になっております。よって、豪ドルとNZドルは購買力平価を通り越しても下落が止まらない恐れあり。

そうは言っても、日本人にはファンが多い、オーストラリアとニュージーランド。セミナーでも申し上げたとおり、外貨預金の感覚で(すなわちレバレッジ=1からゆっくりと・・・)買い始めても良い時期なのではないでしょうか?外貨預金より取引コストが圧倒的に低いFX(外国為替証拠金)取引。円の一人勝ちがまだまだ続くと読まれる向きには、米ドル売り+豪ドルand/orNZドル買いというポジションも作って(このポジションは過去数週間は最悪のパフォーマンスでした。これを外貨預金でやるのは無理です)対日本円で中立(ニュートラル)にすることだってできます。米ドルを余計に売り建てて、対日本円買い長(ロング)にすることもお好みで可能です。

毎度のことながら相場は当たるも八卦、当たらぬも八卦。人生は七転び八起き。投資は自己責任かつ余裕の範囲で。。。いまほどこの原則が大事なときはありませぬ。
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2008年9月26日金曜日

貨幣錯覚は幻想に過ぎない

●麻生内閣、支持率53%―衆院選の支持は自民と民主が伯仲(9/26日経)
あれほど盛り上がりに欠けた自民総裁選でも効果があったというべきか、選挙民が愚弄されているというべきか、選挙民が阿呆だというべきか?米国での7000億㌦法案で「ばらまき政策」への抵抗がなくなっている雰囲気もプラスなのでしょうか?

「ばらまき政策」が意味を持つのは、勤労者に支払われる名目賃金の伸びが物価上昇に追いついていなくても平気または気付かないことが前提。これを貨幣錯覚money illusionと言いますが、情報化社会⇒ネット社会においては貨幣錯覚を前提とすること自体が幻想。「ばらまき政策」で作為的にインフレ経済を実現しても、それ以上に名目賃金が上がらなければ、勤労者は豊かさを感じ得ない。物価統計の取り方を変えるという奥の手はあるでしょうが、それを言うなら作為的インフレを起こさなくても勤労者は今直ちに豊かさを感じることが出来ます。ヘドニック法、、、なんて言うと難しくなってしまいますが、敢えて想像してみて下さい“5年前と同じ性能の”パソコン、デジカメ、薄型テレビ、携帯電話を。。。これらに対する支出が家計に占める割合に沿って物価バスケットに反映され、低価格化に高品質化を加味して計算すれば、我が国の実質賃金、実質成長率は恐ろしく高くなることでしょう。「ばらまき政策」は無意味なうえに、モラルハザードをもたらすので百害ありて一利なし、というのが持論です。

金融インフラの根幹であるインターバック市場。インターバンク市場からの調達が許される退屈で平凡な商業銀行業務と愚直に手数料を追求するブローカー業務または投資銀行業務。これらをヘッジファンド業務(含む裁定取引)や投資業務と切り離すことで、インターバンク市場は健康を取り戻せる筈。決して7000億㌦は必要ない。投資銀行と呼ばれる金融機関が“投資銀行業務”と“投資業務”をごっちゃにしたところが、過当競争下の禁断の果実だったのではないでしょうか

残念ながら筆者の意見は極々少数派。ここまで来たら7000億㌦を通さないと、インターバンク市場も含めどうにもならないのかも。。。

そんな中、
●英中央銀行、インターバンク市場への流動性供給を大幅削減(9/25FT)
先週が£250億⇒今週は£50億£。インターバンク市場の参加者がイングランド銀行に低金利で預けるくらいならお互いに貸し付け合ったほうがましと判断しているため、とFT紙。

最後に、日本時間昨夜11時台のCNNで、7000億㌦法案の是非について視聴者アンケートを行なっていました。結果は53:47で反対多数。メールで寄せられた意見のなかに、「叩き上げのアジアの企業経営者が、その何倍~何十倍もの役員報酬を貰っているハーバードやウォートンのビジネススクール卒業者よりも優れていることを思い知れ!」というのがありました。アジアに日本は含まれるでしょうか。
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2008年7月9日水曜日

旅の恥は掻き捨て

●FED、銀行救済を延長(7/8FT、WSJなど)
大手米系投資銀行に対するFEDからの緊急融資枠、来年も継続とバーナンキ議長。信用収縮がまだまだ続くとの政界の懸念が高まるなかでの発言とFT紙。

ニューヨーク時間午後遅い時間帯での同発言で、米国株は急反発、ドルは対ユーロで再び反発、原油価格も数ヶ月来で最大の下落幅となっています。

ちなみに昨日取り上げたアルミニウムの相場ですが、1991年の湾岸危機以来、最大の下げ幅を演じる急反落となりました。

ドルと原油の逆相関、誰しもまだまだ続くと考えている中で、中央銀行はマッチポンプ的な口先介入を続けるしかないのでしょうか。1998年冬から春にかけての日本銀行の債券オペを巡る発言の変遷を思い浮かべてしまいます。

ひとつくらいはサミットの話題も、、、
●ブッシュ大統領、温暖化ガス削減目標の設定に同意(7/8FT)
42年後の目標を数ヵ月後に辞める大統領が約束しても意味が無い、という発言も。

バスに同席しないブッシュ大統領夫人、環境問題を論じながらの美食の晩餐。サミット反対派に付け入る隙を与え過ぎ(怒)。世界遺産=熊野古道をテクテク歩いてもらって高野豆腐など精進料理を食べてもらうというセッティングのほうが受けたと思います。高野山、金剛峰寺を頂くなだらかな山頂こそサミットと呼ぶに相応しい。
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2008年6月12日木曜日

中国あるいはデカップリングの終わり

●メリルリンチ、ブルームバーグ株売却を検討(6/11WSJ)
株価下落局面で増資を敢行するよりも良いかも、と新CEOのジョン・セイン氏。氏が就任した昨年12月以降、150億㌦以上の資金調達を実施してきたのだが。

メリルリンチはブルームバーグ株を20%保有。50億乃至60億㌦の価値があると見られるが、大手運用会社ブラックロック社(50%株式保有で240億㌦の価値)に比べると、シナジーは薄い。

●“中国国家外国為替機構”、米投資会社TPGに約250億㌦投資(6/12WSJ)
ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)の存在感と益々高まりつつある影響力を見せ付けるディールだとWSJ紙。

モルガンスタンレーは、SWFの資産規模は現在の3兆㌦が2012年までに12兆㌦へと跳ね上がると予測。

昨今の信用市場の混乱と収縮にもめげず、TPGの動きは活発。ゴールドマンサックスと歩調を合わせ、オールテル社株をベライゾンに売却(保有期間たった7ヶ月で13億㌦の利益確定!)する一方、ワシントン・ミューチャルへの70億㌦資本注入のうち20億㌦を受け持つ。

中国と言えば、その一方で、、、

●中国株、下落の一途(6/11FT)
昨年10月の最高値から半分以下に。企業利益の成長鈍化、高インフレに加え、中国政府のインフレ抑制策の影響を見極めたいという動き。

中国の4月のインフレ率は8.5%と過去12年間で最高水準。中央銀行である中国人民銀行は今年5回目となる預金準備率引き上げを指示。5月のインフレ率は本日発表です。
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大雨の中の出勤お互いご苦労様でした_m(..)m_

2008年5月22日木曜日

それともスタグフレーション?

昨朝のブログ記事「ムーディーズ格付け間違い!?バグのせいで4段階水増し」。今朝の日経では随分小さい記事でしたが、早速米SECが動き出す模様です。ムーディーズ株は16%下落。8年前の株式公開以来最大の下げに見舞われました。

原油価格は更に上昇し、133㌦を突破。FED4月の議事要旨は、「インフレと成長鈍化」を指摘、米国時間午後の株価を押し下げました。ダウは1.8%の下げ、S&P500は1.6%の下げ。

原油価格高騰といえば、アメリカン航空が便を大幅削減、数千人規模の雇用削減、荷物1個当たり15㌦課金と発表。便の削減は10%から12%程度になる見通し。

景気や雇用が、金融危機とコストインフレの挟み撃ちにあっている様子が伺えます。FEDはコア・インフレの予測を(従来の2.1~2.4%から)3.1~3.4%に引き上げる一方、雇用情勢も同時に悪化すると見通しております。

こうした中、ドイツのIfo指数が予想を上回る改善(4月102.4⇒5月103.5)。ユーロの対ドルでの買戻しが加速(!?)。フェニックス証券オンライン・セミナー第1回『ユーロ、どこまで強いか?』でユーロの対ドル下落を予想してからの下落幅の半分くらい値を戻してしまいました(TT)。この負け惜しみ(ではなくて分析!)は、来週月曜日午後8:00からのオンライン・セミナー『たかがポンド、されどポンド』でもきちんと総括します。

●世界の名だたる銀行、不良資産償却ルールの緩和を要求(5/21FT)
ドイツ銀行のアッカーマン会長が議長を務める300行の団体、「満期まで保有しなくても、2年持てば、時価評価ではなく『フェアバリュー』で評価させてくれよ」というオネダリ。時価会計がサブプライム・バブルの崩壊を負のスパイラルにしていることは確か。だが、日米金融戦争(何て言葉あったっけ?)の火蓋を切ったのは時価主義会計の導入でありバーゼル合意(BIS規制)であった。ゲームのルールが自分たちに不利になったと思いきや撤廃を求めるというのはご都合主義もはなはだしい。
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2008年5月14日水曜日

ガバナンスの時代?

昨日の日経新聞夕刊3頁に、「Jパワー取締役に賠償請求-TCI、監査役会に要請」と報道されています。一方、今朝の日経7頁には「TCIに中止命令-政府、Jパワー株買い増し申し出を却下」とあります。

後者(外為法に基づく行政処分)の問題については、各種メディアが追っかけており、拙ブログでは触れません。

前者の問題を「株主代表訴訟」の前段階と捉えると、従来日本では取締役が(私財を投げ打ってまで)経営責任を問われるケースというのは多かれ少なかれ「法令違反」が絡んでいたことが殆どであったのが、法令違反ではない「取締役の業務執行義務違反」でも60億円という大金を(Jパワー取締役3人に)賠償請求するという点で、前例がなさそう、という特徴があると思われます。

会社法は、初めから、取締役の義務違反にとって法令違反は必要要件だなんて言ってないわけでして、海外の禿鷹ファンドや訴訟ファンドは、その点はキチンと勉強していらっしゃるでしょう。

わたしも、解任されないように頑張るだけではなく、穴の毛まで引き抜かれないよう、寝る間を惜しんで頑張りま~す。

●昨夜のニューヨーク市場、小売売り上げは予想上回るも、金融セクターが足を引っ張り、株価はまちまち(5/13FT他)

Fedバーナンキ議長、「米国金融機関は、依然、正常からは程遠い状況」と発言

だが、その一方で、
●Fed、資産バブル対抗策を模索(5/13FT)
「中央銀行はバブル退治に努めるべきではなく、バブル崩壊の余波を緩和することに専念すべき」というグリーンスパン氏の教条を再検証中だとか。

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2008年5月9日金曜日

乱気流から混迷へ、今週末もFX

相場が落ち着きを取り戻すと、どうしても政局混乱という日本の欠点が目に付きやすくなるのは私だけでしょうか?

●IMF、発展途上国の中央銀行に利上げを要請(5/9WSJ)
高騰する原油価格と食糧価格。インフレ圧力に抗するため、主としてロシア、サウジアラビア、中国、東欧諸国という米ドルとの連動性の高い途上国に向けたメッセージ。

中国については、変動相場移行も視野に入れた発言と読める。

●AIG、過去最悪の損失_1-3月決算(5/9WSJ)
89年の歴史で最悪の四半期決算と、NYTimesは報じている。
1250億㌦の資本増強を同時に発表。

ウォール街のサブプライムショックは落ち着きつつあるものの、違う場所では被害拡大の傾向も。

●シティグループ、4000億㌦の資産売却を検討(5/9FT)
4000億「円」じゃないですから、念のため。シティのバランスシートのイメージが無かったのですが、全体の2割相当のようです。

●グーグル、ヤフーとの広告業務提携を歓迎(5/9FT)
どちらが白馬の騎士なのか?グーグルとマイクロソフト??

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2008年5月8日木曜日

今夜のテーマは強いドル。あるいは欧州中央銀行、金利据え置き?

ご心配をお掛けしていた知恵熱はほぼ下がりました。熱が出たら直ちに頭を使わなくするものですから、治りは早いです。が、同時に腰痛に苛まれ、昨夜は一睡も出来ませんでした。一生懸命働く従業員を尻目に先ほどお医者さんに行ってきたのですが、色々検査をしてもらったものの、原因不明ということで消炎鎮痛剤で様子を見ましょう、ということになりました。

サブプライムが一息付いたかのように見える米国経済、既にカードローンやホームエクイティに飛び火しているという説もあり、わたしの腰痛が放って置けないのと似ている。。。というのはこじ付け過ぎですね。

●ホワイトハウスの主席エコノミスト、米国経済リセッションではない(5/8WSJ)
ラザール氏。大本営発表か?火曜日のポールソンの楽観コメントに続くものだが。。。

●欧州と米国、「強いドル」で一致団結(5/8FT)
欧州中央銀行のタカ派は影を潜めつつあるのは事実。

●米SEC、流動性に関する開示を金融機関に求める(5/7FT)
投資銀行幹部のなかには、既にバーゼルIIに備え、十分な開示を行なっているのだが、、、との意見も。

●サーベラス、CICと連携模索(5/7FT)
CICは中国のソブリン・ウェルス・ファンド。これまでJCFlowersが同ファンドからマンデートを得、40億㌦を信用市場混乱で困難に陥った金融機関への投資に利用することに成功している。

最後に、またまた、番外編。。。ミャンマーのサイクロン被害、10万人を超えると国連が予測しています。軍事政権に問題はあることは確かですが、自然災害が内政干渉の材料に使われることには危険な香りも漂います。もちろんわたしはスーチーさんの見方ですが。

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