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2009年11月6日金曜日

我が国のMVP

松井秀喜選手のワールドシリーズMVPと並んで、日本人を元気にさせるかも知れない記事が英エコノミスト誌にあります。

「見えづらいが不可欠-かけがえのない部品を世界中に供給しつづけてきた日本の中堅中小メーカー」
http://www.economist.com/displayStory.cfm?story_id=14793432
日本の強みは「もの作り」だなどと永年言われてきましたが、ブランド力で世界に勝負してきた東証一部上場の巨大企業の多くが、その組み立て加工技術の陳腐化に悩み続ける中、一般人には殆ど知られていない部品の性能の高さ、そして多くの場合驚くべきシェアを誇りつつも社名すら知られていないケースが多々見られる中堅中小の「サプライヤー」にこそ、日本の強さがあったという記事。しばしば日本を取り上げてきた同誌ですが、日本関連の記事のなかでこれまでで最も優れているという論評もあります。緻密なフィールドワークに快哉。

さて、モラトリアムやら商工ファンドの相次ぐ倒産で、中小企業金融はこれからどうなるのでしょうか?
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2009年6月10日水曜日

クライスラー売却「処分禁止の仮処分」、米最高裁が棄却

インディアナ州の“ハゲタカ”年金基金らが、労組など無担保債権者への配当は不当だと、クライスラー再建計画に待ったを掛けた。米控訴院は、それを“暫定的に”聴き入れ、伊フィアットへの事業売却を柱とする再建計画決定を停止した。

以上が、先週火曜日から昨日までの動きでした。
http://phxs.blogspot.com/2009/06/gm9.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_03.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_08.html
http://phxs.blogspot.com/2009/06/blog-post_09.html
只今、ワシントン・ポスト紙が伝えた速報によると、「処分禁止の仮処分」を暫定的なものから正式な上訴(full appeal)にするためには、「9人中4人以上の裁判官が、当該問題提起は上訴申立て受理を保証するに十分に深刻であると認めなければならない」ところ、インディアナ州年金基金等の担保付債権者たちはそのハードルを越えることが出来なかったと裁判所は伝えているようです。

WSJ紙は、フィアット側が「営業譲渡が直ちに行えないとなれば、クライスラーを継続企業(going concern)として保てるような代替案が再構築できるという保証はない」との準備書面(legal brief)を用意していたそうです。
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2009年6月9日火曜日

クライスラー売却処分、米控訴院が正式に停止措置

先週から取り上げてきましたクライスラー=フィアット問題。暗礁に乗り上げた事案について、過去記事に振り返っていただく際の“道標”として、些か強引ながら、「ステーク・ホルダー勝ち負け表」を作ってみました。
               担保付債権者  無担保債権者  株主  労働者(組合) (参考)同業他社
私的整理(既に却下)     ×       ×       ○      ○        ×
法的整理(更生案)      △       △      ×      △       △
法的整理(清算案)      ○       ×       ×       ×       ○

同業他社を(参考)としたのは、ステークホルダーとは通常言われないからです。この「勝ち負け表」で○を2点、△を1点、×を0点とすると、どの案でも合計点は4点になるので、要は分配の問題だということがハッキリわかります。社会厚生とモラルハザードのバランスを取るには、どれが相応しいのか?GM問題も視野に入れつつ、米国は政治と司法の鬩ぎ合いという局面に移りました。

その中で、米FRBには利上げ観測も浮上。「七転び八起き」のドル高調整説は間違ったか?
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2009年6月8日月曜日

クライスラーへの暗雲と雇用統計の好転?

先週、お伝えしたフィアット=クライスラーに「ちょっと待った」を掛けたインディアナ州の年金基金。米国控訴院は、「不良債権を安く買い叩いた筈だったのに、足が出た」ために、怒り心頭の同投資家の主張、(営業権のフィアットへの売却)処分禁止の仮処分を認めるという判断をしました。

既報の通り、フィアットは6/15(月)まで処分禁止仮処分が続いていれば、クライスラー購入を敬遠することが出来ます。世界中で54,000人(うち米国内で38,000人)を雇用するクライスラーの受け皿が消えてしまっては、クライスラー清算による雇用へのインパクトは部品メーカーを含め深刻で、オバマ政権が描いた処方箋を脅かす試金石だとWSJ紙は改めて報道しています。

同紙は、クライスラーで発生した「しゃっくり」はGMにも移る可能性があり、事態がより複雑になると予測すると同時に、リストラおよび財務立て直し先行のおかげで旧ビッグスリーのなかで唯一生き残ったフォードは、思わぬ「国営自動車」(Government Motors)の出現で競争上劣勢に立たされる恐れありとも論じています(但し、ゴールドマンサックスの分析は、フォードはGMが喪失したシェアの25%を獲得すると見込む)。

ドライバーを振り回した結果、どんなに左右の深いラフに打ち込んでも、ボールがフェアウェイにまで転がり落ちてくるゴルフ場では、飛距離だけでなく球を真っ直ぐ飛ばす技術を磨いた真摯なゴルファーは馬鹿を見るでしょう。雇用のセイフティネットを声高に叫ぶのは、米国の政権も、日本の野党も似たようなものですが、果たして自動車産業以外の衰退産業と公平に扱おうとしているか冷静に問う必要があります。

ところで、金曜日の雇用統計。NFPRは予想ほど悪くなかった、減少幅が縮小しているということで、ドル高、株高。しかし、雇用主申し出ではなく個人家計から集計した失業率のほうは9.4%と1983年以来の最悪数値。どちらが真実か?というよりも、減少幅縮小で喜んでいる市場参加者は、速度と加速度との区別がつかない人達か?(不動産は動きだしましたが)ドルと株式は一旦売りを推奨。
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2009年6月3日水曜日

フィアット=クライスラーに「ちょっと待った!」

一昨日の「七転び八起き」ブログで、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しだとお伝えしたばかりでしたが、フィアットにとって飛んだ邪魔者が現れました。WSJ紙の臨時速報によると、「『伊フィアットへの事業売却』を軸とした連邦破産法11条によるクライスラー再生案」に異議申し立てをしたのは、インディアナ州年金基金のグループ。教職員の退職金の運用その他を預かっている大口債権者曰く、「自分たちの額面42百万㌦のクライスラー向け債権は担保付なのに、配当が額面比たった29%とは。。。無担保債権者の代表格、UAW=全米自動車総連が債権カットの見返りに新生クライスラー株を割当られるくらいなら、担保付債権者の配当を増やすべきだ」と。

この事案は、プレパッケージ型(受け皿フィアットを事前に用意しておく)倒産ですら、モラルハザード回避という点では万能ではないという、倒産法の難しさを抉っています。

我が国で言えば、倒産法には、破産法、民事再生法、会社更生法や会社法(特別清算)等、数あれど、担保付債権者が倒産手続きとは独立して担保物件を任意に売却できない(別除権が認められない)のは会社更生法だけ。(共益債権その他の問題を無視すれば)、担保付債権者の配当が100%に満たない限り、無担保債権者の配当は0%。その原則を曲げてでも、関係者協議により破綻企業の再生課題を優先するだけの社会的な意義があるかどうかは一概には断定できない問題です。

尤も、こちらのインディアナ州教職員組合のハゲタカ様、「クライスラーには再生の価値が無い、破綻による清算にすべきだ」という正論を吐いておられるというよりは、2008年7月に誰かしらから購入した債権(@額面の43%)が、29%に留まる配当だと大損が確定するので往生際悪く抵抗している、ということのようですが・・・

伊フィアットは、今月15日までに“更生終了”することが受け皿(スポンサー)になってあげる条件だとしているので、本件異議申し立てでゴタゴタが長引けば、GMのごとく、“法的な無法状態”になりかねません(尚、無法状態とは言い過ぎ。11条申請が受理されており、債務者クライスラーの占有の下、米国財務省が資金供給を行なっているわけですが、同ハゲタカ教職員組合は「金融機関でもないクライスラーへのDIPファイナンスにTARP(金融安定化法案の7000億㌦)を流用するのは違法だ」とまで罵っているようです)。

ところで冒頭、「フィアットに思わぬ邪魔者が・・・」と書きました。実は、邪魔者のお陰で再生計画が“御破算”になって、それでもクライスラーを買いたくてしょうがないという状態であれば、暖簾代は寧ろ安く収まるのかも知れません。本当の邪魔者は、「トヨタならもっと高い暖簾代を払える。プレパッケージは不公平だ」と待ったを掛けること。今更それはないでしょうが、或る程度はブラフが可能。我が国では東ハト倒産の事例で、プレパッケージされていたユニゾン・キャピタルが再入札の結果、事前譲渡価額より48億円をも上回る負担を強いられるという珍事がありました。否、資本主義たるもの、それが普通で、長銀(⇒瑕疵担保条項で悪評のリップルウッド)のときには誰ひとり「ちょっと待った!」が現れなかったのは何故でしょう?
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2009年6月1日月曜日

GM連邦破産法11条申立ては日本時間今夜9時?

Kマートなどの大型倒産事例の経験者、アル・コッホ氏が、同申請直後に企業再生請負人として指名されるとWSJ紙の観測。

コッホ氏は、既にこれまでアウトサイダーの立場でGM経営陣と定期的な打ち合わせに参加しており、GM清算時のシミュレーション分析を担当。無担保債権者への配当はゼロだ、との分析結果だったとは、とある筋の情報。

日本時間今夜9時(米国東部時間午前8時)のチャプター・イレブン申請よりも、注目したいのが、日本時間深夜(午前0時55分~)のオバマ大統領の演説。伊フィアットがスポンサー(再生管財人)として内定(プレ・パッケージ)されていたクライスラーの事例と異なり、GMには現時点で民間ベースの引き取り手はいない(辛うじて、独オペル⇒加マグナくらい)。上述のコッホ氏が挑戦しなければならない最大の仕事は、旧GMの、サタン、ハマー、サーブ、ポンティアック等のブランドや20個もの工場の売却。

有名ブランドや資本投下済の工場が廉価で「ばら売り」されるのなら、と甘い期待を寄せてはなりません。自動車産業の“ハゲタカ”は楽ではないのです。記憶に新しい、クライスラーを損切った独ダイムラー。90年代においては英国名門(?)ローバーを買収するも“ハゲタカ”に僅か10ポンド(2000円以下!)で見切り売却させられた独BMW(その後も、“MGローバー”は経営再建を果たせず、“ハゲタカ”は失敗に終わる)。

オバマ大統領の趣旨は、「倒産はやむを得ないとしても、廃業は避けたい。そのために米国は国家介入せざるを得ない」という方向だと予想しますが、新GM(ガバメント・モーターズ)の車なんて、誰が買うのでしょうか?

今朝のWSJ紙オンライン版のトップ面は、上記GMの最新情報と、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しとの報道、そしてトヨタ・レクサスの新型車の広告宣伝、と自動車関連の情報満載でした。
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2009年5月28日木曜日

崖っぷちのGMと米長期金利の急騰

株高は債券安(長期金利高)を、株安は債券高(長期金利安)を意味するという経験則があります。相関関係は多少落ちますが、為替については、前者は円安と、後者は円高とセットだと。

昨夜は、この経験則に反する、米国株の反落と米国債相場の急落が生じました。前者はDES(債権と株式の交換)を柱とするGMの私的整理案が予想を遥かに上回る債権者から拒絶されたこと、後者はMBS(不動産関連の証券化商品)の大口売りが、それぞれ直接の原因とされています。

GMについては、昨日の日本時間に「UAW(米国自動車総連)がDESに応じる」という“リーク”が伝えられ、既得権益側の根回しというか、既成事実化(GMのゾンビ化)に向けて、着々と手が打たれている空気はありましたが、事実上の破談を迎えたことになります。米国債の暴落についても、

「競争力のない大企業を公的資金で救済するという前例を作ってしまったら、そんなモラルハザード国家の借金など誰が引き受けるか!?」

という市場の恫喝と捉える必要はあります。

我が国も、まったく他人ごとではないスタグフレーションの始まりです。

資源相場の急騰が、新興国バブルと米国発不動産不況の引き金となったように、各国の長期金利の上昇は、モラルを犠牲にした財政出動でも景気回復は出来るという安易な楽観バブルに針を刺すものです。米国債の利回り曲線(イールドカーブ)の指標となる「10年物利回り-2年物利回り」は昨年8月に付けた過去最大幅をぶっちぎっての記録更新だとWSJ紙は伝えています。
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2009年2月10日火曜日

日産自動車、ルノー、プジョー

●仏政府、ルノーとプジョーに30億ユーロずつ融資へ(2/10ロイター)
フランスのサルコジ大統領は9日、国内自動車メーカーのルノーとPSAプジョー・シトロエンに、それぞれ30億ユーロ(38億9000万ドル)融資すると発表した。両社は見返りに国内雇用を維持するとしている。

今回の措置に対しては欧州の一部の国が反発しており、欧州連合(EU)の欧州委員会も内容を精査する意向を示している。

ルノーと言えば、もちろん、

●日産自動車、通期赤字2650億円。従業員2万人削減(2/9各紙)
国内で1万2000人、海外で8000人。全世界の従業員の約1割に相当。

10年前に日産自動車のCEOとなったカルロス=ゴーン氏は大胆なコストカッターとして名を馳せた。一部メディアは「“ゴーン”流、再び?」と描くが、日本国政府に資金繰り支援を求める姿は、資本の論理に従いやるべきことはやるかつての“ゴーン流”とは異質だと感じるのは私だけでしょうか?
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2008年12月12日金曜日

GM、破産専門弁護士を雇う

今週はいつも以上に固い話が多かったので、最後ぐらいは柔らかい話で終わらせたかったのですが、30分前にウォール・ストリート・ジャーナル紙オンライン版でアラート・ニュースが出ました(QUICK等我が国の有料メディアでも翻訳記事が早速出ているようです)。

かなりの確率で溝に捨てられることになりそうなデトロイト救済のための一時的な公的融資。我が国でも、債務超過企業への直接融資を政府が意思決定し実行することはありえないだけに、自由放任主義の殿堂こと米国で、下院こそ通過したものの、上院通過は当然疑問。オバマ政権の発射台くらいは綺麗にしておくべく、年内の問題は現政権に委ね、従前通り口出しをしないほうが賢明と思いますが・・・

ところで、破産専門の弁護士を雇うという記事だけでは、連邦破産法11条申立ての選択肢のための準備という意味合いであり、当ブログでも取り上げたクライスラーの場合と同じく、騒ぎ立て過ぎるのは読み間違いとなる点、要注意です。

さて、たまには我が国国政の話を。昨夜は各メディアが「たばこ増税は却下」を報じる一方、「JR東日本が喫煙所廃止」を伝えました。皮肉な組み合わせです。

たばこ1本につき3円増税だとか、数ヶ月前にはたばこ1箱1000円にすべきだとか、議論が注目されていましたが、歳入確保が目的なのか、(受動喫煙を含めた)国民の健康増進が目的なのか、そのどちらを優先すべきかを(くだらない反論を恐れずに)毅然とリーダーが示せば良いだけの話。当ブログに言わせれば、葉タバコ農家や煙草屋の陳情などに耳を傾ける必要はない。自分達が関わっている仕事が斜陽産業だと気づくために十分な時間が与えられていたにもかかわらず、作付転換なり業態転換なりで活路を見出そうとしなかった非常識と怠慢に対して、同情の余地はない。

さて、「JR東日本の喫煙所」問題は、煙草の煙が好きかどうかという趣味や健康の問題から離れて論じましょう。JRはJRでもJR東海の最新の新幹線N700でも、喫煙車両は遂に消えました(但し喫煙場所は残した)。繰り返しになりますが、分煙の徹底が十分かどうかをここでは議論しません。喫煙車両や喫煙場所のほうが掃除や空気清浄の費用負担が掛かるにもかかわらず、禁煙車両を利用している乗客と運賃が変らないことは実は不公平だったのです。逆に言えば、喫煙車両等の利用料として掃除や空気清浄の費用を上乗せすべきとの考え方に立てば、基本料金としての運賃は下げられます。否、丸々下げなくても一部はJR役職員の報酬やJR株主の配当に回っても、経営判断としてはありでしょう。

煙草を吸わないから主張しているのではなく、実は駅の便所も同じこと。我が国ほど、駅に限らず公衆便所があちこちにあり綺麗に保たれ且つ無料という国は先進諸国何処を探しても見当たらないのではないでしょうか。これは我が国の数少ない美点のひとつだと思いますが、家のトイレを使ったら水道代や家族の誰かによる掃除負担が掛かるのに公共のトイレなら税金負担(または駅のトイレなら乗客や広告主の負担)というのは不公平です。ひとり10円でも良いから掃除費用くらいは負担すべきです(そういうトイレもちらほら増えてきていますが・・・)。

何をセコいことを、と言ってはビジネスを構想出来ません。一日に何百人、何千人、何万人も往来する公共物なのですから、この経済効果は実に大きいのです。煙草を吸う人と吸わない人をごっちゃ混ぜにしたがん保険が淘汰されるように、便所も喫煙場所も掃除費用は利用者負担(公共経済学で言う応益負担)の徹底こそ、鉄道事業のようななまじ公共性がある企業や、税制のポリシーを決める政府与党にとってしっかり勉強をしてもらわなければならないポイントです。

以上は経済学の伊呂波。我が国の場合、官僚にも政治家にも経済学の素養のある人材が著しく欠如しているのも特徴。
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2008年12月9日火曜日

日本と北朝鮮は瓜二つ!

●米国議会、デトロイト救済のための150億㌦融資法案の決着に近づく(12/8FT、WSJ)

●ダウ=ケミカル、5000人削減(12/8FT、WSJ)
正社員の11%に相当。加えて契約社員も6000人首切り。米欧で20工場を閉鎖へ。

●S&P、ロシアを格下げ(12/8FT、WSJ)
ロシア通貨“ルーブル”からの資金逃避、原油価格の下落に加え、国内事業破綻回避のために外貨準備が直近5ヶ月で2000億㌦以上費消され、今年7月ピークだった外貨準備高は4000億㌦程度にまで低下したことが原因。BBB+⇒BBB(更に格下げの可能性あり)。

1998年のルーブル危機⇒ロシア国家破綻のときに比べれば、状況は全然ましであるとも注釈。

米系格付け機関に対する当ブログからの批判は、是非過去記事をお読み下さい。ここでは一言、米国のAAA~AAはどうなのかと言いたい。

●麻生太郎、1年以内辞任となる連続して3人目の日本の首相になる可能性大(12/8FT)
ちなみに、2世議員、いや2世首相(含む3世)も連続して3人目であることに皆さんお気づきですか?更にちなみに、2世議員(含む3世)となると、4人連続ですぞ。

日本と北朝鮮、国体は正反対だと皆さんお思いかもしれませんが、国家元首が世襲される点では瓜二つ。尤も、憲法上は内閣総理大臣は国家元首ではないですけど・・・
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2008年12月8日月曜日

スパゲッティ・ジャンクション

為替市場と株式市場の誰もが最も注目している米国ビッグスリー救済の行方。ウォール・ストリート・ジャーナルは意思決定へと向かう米国議会と同政府の揺れ動きを刻一刻と報じています。

まず、

●クライスラー、倒産は待ったなしとして、弁護士を雇う(12/5WSJ)
公的資金導入による救済は議会を説得できそうにないと、数週間前から動いていたとの憶測。

次いで、

●米ビッグスリー救済、米国議会の民主党首脳陣と共和党政府が暫定合意近し(12/6WSJ)
米国雇用統計が予想外に悪化。これが追い風になったか!?2009年初頭までは破綻を回避させるべく緊急の融資で「死刑執行猶予」reprieve?

ところが、

●デトロイト救済、一転足踏み(12/7WSJ)
自動車業界のリストラを監視する"auto czar"(自動車界の皇帝?)の採用とその役割について議会と政府で揉め始めたと。

同紙は『スパゲッティ・ジャンクション』と題する囲み記事で、デトロイトへの処置策として考えられる5つのオプションとそれぞれに立ちはだかる障害について整理しています。
①暫定的に2009年初頭まで破綻を回避するために申し出予算を絞って資金提供する⇔長期的かつ構造的な病理を何ら解決するものではないと共和党が反対
②エコ自動車開発のために250億㌦融資枠を開放する⇔融資枠の本来の趣旨に反すると民主党議員が反対
③「金融安定化法案」の予算枠を活用(財務省の裁量で温存するのではなく、議会があれこれに使えと命令出来るようにする?)⇔財務省はそれなら予算枠をそれなりに増やせと議会に要求するだろう・・・
④FRB連邦準備銀行が直接ビッグスリーに融資をする⇔FRBは猛烈に反対
プレパッケージ型倒産処理を米国が支援⇔デトロイトと民主党は反対

ちなみに『スパゲッティ・ジャンクション』とは、首都高の箱崎ジャンクションや阪神高速の阿波座ジャンクションより更に入り組んだ英国バーミンガムのジャンクションに付けられたあだ名。航空写真で上から見ると、冷めかけたスパゲッティがフォークに絡んだようでなかなか解(ほど)けない姿にも見えます。

さて、上記報道にも引用されていた12/5(金)の米国雇用統計。非農業部門雇用者数が1ヶ月で533,000人も減少したのは1974年以来。この年は、我が国でも店頭からトイレットペーパーが消えた第一次石油ショックです。戦後初めてマイナス成長を記録した日本は、石油ショックからの立ち直りでは米国を遙かに凌ぐスピードで、1985年のプラザ合意までの間に、日本的経営の卓越性、すなわち米国と異なり労働組合が産業別ではなく企業別なので不況期に労使交渉(労資交渉)が柔軟に行なわれる点が優れているという論説が支配的でした。労働組合が企業別で柔軟であることと終身雇用と年功序列の両制度は表裏一体をなすものです。では、今逆に、石油ショックからの立ち直りを遅らせたとも非難される米国の産業別労働組合というのは何処にあるのでしょうか?勿論、自動車や映画業界にはあるのでしょうが、ITやハイテク業界にあるという話を聞きません。

世界金融危機に米国発という枕詞が付こうが付くまいが、日本的経営の卓越性などは遠の昔に無くなっています。非正規労働だけを景気変動のバッファーにするべく、中流正社員が見た目だけ労使に分かれ既得権益にしがみついているだけという現象が、かなりの大企業や官僚的組織で観察される限り、超長期的にはやはりこの国は円安株安は免れないと考えられます(短期的には米中のダーティフロート前夜にあり極端な円高があり得ますが・・・)
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2008年12月4日木曜日

住宅ローンの休日

●米財務省、住宅ローン金利引き下げ案を検討(12/3WSJ)
問題のファニーメイ・フレディマック経由の30年物金利を1%引き下げ4.5%に。住宅価格下落に歯止めを掛けたポールソン財務長官の形振り構わぬカンフル剤。だが、ファニーメイとフレディマックの両GSEを不良債権の塊になるまで蹂躙し続けた根本原因こそ、需給を反映しない低金利での政策融資を長年押し付けてきたことだとは、両社が破綻か国有化か揉めた頃に当ブログで取り上げたグリーンスパン前FRB議長の批判の通り。

一方、大西洋の反対側では、
●英ブラウン首相、住宅ローンの利払いを最長2年間猶予するスキームを議会に提唱(12/3FT)
10億ポンドの予算を注ぎ込む案の詳細はまだこれから。昨今一躍「有名」になった大恐慌時代のF・ルーズベルト大統領の「米国バンク・ホリデー」に擬え、FT紙は臨時ニュースで「モーゲージ・ホリデー」と報じた。

●フォード社長、GMとクライスラーは生き残りが難しいと発言(12/3WSJ)
「自分さえ良ければ」というライバルを蹴落とす態度は道徳的には反感を買うのでは。世界的な規模の追求という路線を潔く見直したことで、GMのような致命傷を回避したということか。

●ロイター=ジェフリーCRB指数、2002年11月以来の最低水準にまで下落(12/3FT)
商品市況の世界的なベンチマークは、今年7月の記録的な高値から52%も下落。

●英ポンド、対ユーロと米ドルで下落(12/3FT)
ポンド/ユーロは記録的な安値を更新。
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2008年12月2日火曜日

破綻か?救済か?運命の日が近づく米国ビッグスリー

再建計画を携えデトロイトから一路再びワシントンへと向かう米国自動車メーカーの首脳たち。今回も自家用ジェットを使うのでしょうか?

先週金曜日の夜に収録致しました上記テーマのセミナーがオン・デマンド(再放送)で御覧頂けるようになりました。当ブログにリンクをアップしています(冒頭30秒、フェニックス証券のCMが流れますのでビックリなさらないでください)。

今回、忙しさに感けてパワーポイント無しで約45分喋っておりますが、案の定、話し忘れたことがひとつございます。全体の論旨には影響を与えないのですが、米国ビックスリーの「上位」2社、特にGMの派手なM&Aによる世界戦略が、装置産業であるがゆえに規模の利益(限界費用逓減)が認められるとされている自動車業界において、必ずしも規模の利益をもたらさなかったという含意です。

世界の自動車産業は、大手メーカーに限ればほぼ例外なく多かれ少なかれ資本面や技術面で非常にややこしい多角的な提携関係にあることは以前に指摘した通りです。が、ことGMに関しては、SAAB、OPEL、FIAT、VAUXHALLと欧州各国の伝統ブランドを傘下に収め、ここ日本においてもスズキ、富士重工の主要株主となっていました。これらの提携先のなかには、GMの資本参加のお陰で延命できた企業もありますが、日本の2社のように何のメリットも見出せないまま自社株買いを迫られるケースを見逃してはなりません(そもそもスズキの自社株買いは取締役会の先決事項なのかどうかも疑義がある)。

私がここで言いたいことは、もはや自動車産業のような規模の利益というイメージが漂う産業でさえ、必ずしも「大は小を兼ねる」とは言えなくなっているという事実です。レベルの違いこそあれ、トヨタ自動車や光岡自動車の経営陣は、自動車産業が装置産業であると一言では言い表せない経営の難しさとか本質を見抜いていた、というと買いかぶりすぎでしょうか?

GMが多国籍巨大企業だからと言って特別扱いをされないという毅然たる政策こそ、わが国で苦労されている中小企業の労働者やベンチャー起業家の皆さんに勇気と希望を与えるメッセージであると思います。

こういうことを繰り返していると、タイの空港を閉鎖したテロリスト集団のような既得権益勢力に狙われるのでしょうか・・・
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2008年11月21日金曜日

原油が暴落してもアメ車は売れない

●シティグループ、金融株への空売り規制を再開するよう議会とSECに求める(11/21WSJ)
金融株を標的にした「借株の手当てのない空売り(naked short sales)」は、撤廃済み。同時に、更に厳しい空売り規制=我が国でもお馴染みのアップ・ティック・ルールの復活も求めているらしい。米国ではアップ・ティック・ルールは2007年7月に撤廃されている。

シティグループの株式は、今週過去4日間で40%下落。

●ダウ平均445ポイント下落、原油価格50㌦割れ(11/21WSJ)
シティグループ株が26%下落したほかJPモルガン・チェース株も17%下落。金融株だけでなくエネルギー関連株が大きく足を引っ張る。

その原因が、原油先物の大幅下落。昨夜だけで1バレル当たり4ドル(7.46%)下げて、2005年5月以来の低水準に戻る。

今年7月3日に史上空前の1バレル145.29ドルを付けた原油価格。大手金融機関のエコノミスト達の大半が更なる高騰を予想し、中には200ドル突破まで嘯いた意見さえありました。しかもその根拠は原油値上がりの原因が投機ではなく実需だと。今週、昨夜の下落幅の大きさを実需の減少で説明するのは無理。FX同様、ヘッジファンドや個人がレバレッジを掛けて買い上がっていた分、強制決済が強制決済を生むという実態以上の下落にならざるを得ない現象に間違いがありません。逆に言うと、存亡の危機にある多くの大手金融機関は原油バブルを演出するためにエコノミストをして相場操縦に加担させていただけのことに過ぎないと言えます。

さて、実態以上に原油価格が下落しているのなら、ガソリンを無駄遣いしながら走るアメ車の需要は復活するでしょうか?ガソリンを電気プラグに替えてもエントロピー増大の原則にかわりはありません。

●米国上院の超党派議員、自動車業界救済措置で合意(11/21ロイター)
超党派と言っても、たったの3人。250億㌦の貸出について妥協すると発表。

一方、

●米国民主党幹部、自動車業界救済法案の決議を来月まで延期(11/21WSJ)
GM、フォード、クライスラー3社に対して、公的資金が如何に活用され事業再生し返済可能となるかについて、具体的な再建計画の提出を求めた。

救済か?破綻か?ハッキリしないことにはドルも株式も買いづらいのは当然の心理。オバマ政権発足が来年1月なのに対し、GMの資金繰りが厳しいのは来月。この間、特に週末は要注意ですが、今月末は28(金)が新月、29(土)が三の酉で火の用心だそうです。
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2008年11月20日木曜日

広告宣伝する余裕があるなら借金を返せ!

「債務超過で余命幾許かと噂される自動車会社が新車を発表したのか?」と勘違いさせるようなバナー広告がウォール・ストリート・ジャーナル紙オンライン版に出ていました。

広告担当を兼務しているFX会社の社長としては、このメディアのトップページのこの場所の広告料が莫大なものであることが想像できます。自動車に電源コードがくっ付いている写真をクリックすると、GMを救済しないと大変なことになるというYouTubeの動画などが出てきます。

ユーチューブですので、コメント不可の設定にも出来るのですが、あえてコメントを開放し、スパムメール、無関係な話題、名誉毀損以外は削除しないとGM側は書いております。それにしても、名誉毀損とまでは行かないとGM側が判断したのか、閲覧回数やコメント件数が多すぎて削除が追いつかないのか、米国経済を人質に取ったかのようなGMの態度に露骨な怒りを表しているコメントが消されず目立つのは皮肉です。

我が国なら、ネトウヨ(私も実名を明らかにしていなければ主張的には近いかも^^;)、チャネラーの如きと一笑に付されてしまうのかも知れません。日米ネット文化の違いをちゃんと理解せずに申し上げるのは危険ですが、この期に及んでGMが行なった広告投資の効果と反響を、米国国会議員たち(特にオバマ次期大統領を含む)がどう受け取るか、資本主義陣営の長年の牽引役としての矜持を示すのかどうか、大いに注目です。

今朝のブログで、GM破綻で株安ドル安と書きましたが、GM救済でも結局ドル安なのではないでしょうか?

最後に、先週末から今週にかけて2度にわたり書かせていただいたFX業者は絶滅するのか!?が大変反響を頂いております。FXのお客さまからもお客さまでない方々からも応援のメールや電話を頂いております。案の定誤解を招いてしまった部分が廃業する勇気を持つ社長の件。謙遜のつもりで書かせていただいております。決して廃業する予定はございませんし、現状ではFX会社130社のなかで8割が廃業または倒産したとしても残りの2割のなかに入ろうとずっと努力してきており、また勝算もございます。ご心配をお掛けし申し訳ございませんでした。
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GM、フォードの末路は

●アルカイダ、オバマ次期大統領のイスラエル支持姿勢を批判(11/19FT)
偽善的なイスラエル支援、イラク撤兵後はアフガニスタンに兵力を配置という戦略は破滅すると。
人種問題、宗教問題という内憂外患の打開に期待が掛かるオバマ氏にとって、アルカイダからのメッセージは重い挑戦に聞こえます。

●ロンドンAIM市場、新規上場がなくなり輝きを失う(11/19FT)
我が国の東証マザーズや大証ヘラクレスもびっくりの規制ゆるゆるの新興市場。特にここ2年間はこの取引所の急成長と上場基準の甘さを米国当局者は「カジノと一緒だ」と揶揄してきた。世界中からベンチャー企業を集め、各国ライバル金融市場から羨ましがられてきたAIMは1995年の開設以来、最大の試練の年を迎えた。

ところで、私のブログのタイトルは今更ながら「七転び八起き社長のFXダイアリー」。本来は(?)、円高なのか円安なのか、早く教えろ!何処に書いてあるんだ?というご要望が多くて当然。尤も、過去6ヶ月、話が脱線しまくっても益々多くの読者の方々にご愛顧いただいているので、読者の皆さまの期待内容も進化してくださっていると推測されるのですが(汗;)。

気がつけば、米ドル円で95円から98円前後のレンジに「落ち着いてきた」為替相場。9月、10月に比べると、マクロ指標に素直に反応するようになりました(昨夜の例で、住宅着工や消費者物価)。しかし、現在の為替相場の最大の特徴は、株価指数⇒為替相場という因果関係の強さ。昨夜、FT紙が皮肉っぽく「未だにビッグスリーとして知られている」と報じた米国自動車産業が破綻か救済かが大きな波乱要因になるでしょう。

ニューヨーク・タイムズ紙が「破綻寄り」である理由が未だによく判らないのですが、勿論、このブログは破綻寄り(⇒自動車株・銀行株その他一層下落⇒米ドル安)。これは予想というよりは、そうあるべきだという政策論の話です。

今朝の日経新聞3㌻に出ていたGMワゴナー会長の発言「ある時期に景気が回復すると断言してくれるなら、追加支援は不要と約束できる」って、何様なのでしょうか?我が国証券会社の経営者は皆「相場が回復すると断言してくれるなら・・・」なんて、言いたくても言うべきでないとじっと堪えておられると思いますが。
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2008年11月13日木曜日

救済か?倒産か?運命の日が近づくGM

民主党寄り、労働者階級寄りとして知られるニューヨーク・タイムズ紙が意外な解説記事を載せました。
●窮地のGM,倒産か救済かの疑問を掻き立てる(11/13NYTimes)
ワシントンでは、GMの倒産を回避するために、救済パッケージを自動車産業にも広げようという動きが加速しているが、連邦破産法11条(いわゆるチャプター・イレブン)は皆が恐れるほどの悲劇を招くものではないという論調もある、と同紙が紹介。

オバマ新大統領、ペロシ下院議長等、民主党幹部をはじめ、当然のことながら、ワゴナーGM会長や自動車労連は破産回避の言い分として、自動車産業の裾野の広さを強調しています。が、「倒産で良いのだ」派の論陣は、航空業界や鉄鋼業界、小売業界の場合は、倒産こそ新たなスタートをより競争力のあるコスト構造とともに提供するものだと主張。また、倒産の壊滅的な影響を緩和する方法として「プレパッケージ」(保全状態での銀行借入枠や新しいスポンサーを予めこっそりと決めておいて倒産法の申し立てをすること)を提案するファンドマネージャーの意見も紹介されています。

もしかしたら、そのファンドはトヨタ株に投資していたのかも知れませんが(笑)。

米国から市場開放と自由主義経済を押し付けられてきた我が国で気を吐いてきたトヨタ自動車(の株主-と言っても米国籍の方々も大勢いらっしゃる筈ですが)の立場から、競争相手が自由主義のご本尊に救済されるかも知れないというのは納得がいかない話でしょう。

今では鳴りを潜めつつあるハゲタカが我が国に啓蒙してきたのも自己責任原則でした。つぎ込まれた公的資金が銀行を経由して次々と債務免除に流し込まれて、本来なら倒産を通じて新しいスタートか否かという選別過程に移るべき企業群を非効率のまま生き残らせてしまった我が国の90年代。前述のプレパッケージや保全状態での銀行借入(DIPファイナンス)など、自己責任原則と自由競争原理、すなわち真面目に健全経営してきた競争相手が馬鹿を見ない制度として会社更生法が改正されたのはその直後。これこそ、失われた10年の最大の副産物のひとつであり、今すぐGMに提要されるべき制度インフラなのではないでしょうか。
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2008年11月10日月曜日

公的資金でGMは救済されるのか?

●中国、4ヵ年で5860億㌦の景気刺激策(11/9WSJ)
米国の金融安定化法7000億㌦に迫る金額だが、これまでの税収により概ね賄える(但し、財政赤字は必至)。

●米国下院議長ナンシー・ペロシ女史、ポールソン財務長官に書簡(11/9WSJ)
金融安定化法7000億㌦の適用範囲を拡げ、自動車産業の救済にも使うべきだと。

モラルハザード抑止(自己責任原則の貫徹)は銀行救済においてのみ妥協が許され、事業会社への公的資金の直接投入については我が国自民党でも意見をまとめることは出来ないでしょう。しかし、例えば新銀行東京の不良債権の取立て不能と、不良融資先に対する都税による補助金ばら撒きと実態的に何処が違うのかと聞かれうると皆さん答えに窮しませんか?

さて、はじめてブログのお休みをいただいた先週金曜日、近畿財務局の金融監督官さまに弊社のむさ苦しい事業所までお越しいただき、事前に聞かれる予定になっていた株券電子化問題について話す暇もないくらい、世間の情勢につきお話をすることが出来ました。
★折しも米国の政権交代が決まり、従来どちらかと言うと、米民主党政権は対日強硬の傾向が強いが、外交・経済についてどのような変化が予想されるか?
★サブプライム、世界金融危機は何だったのか?
★これからのフェニックス証券のビジネスモデルについて?
これらの話題について、驚く勿れ、私がこれまでブログに書いてきたことそのままお話しました。私のブログは権力批判や官僚批判のオンパレードだという印象をお持ちの方が多いと思います。ある意味、それはその通りですが、表裏の無い私の意見を受け取っていただける懐の深いエリート官僚もどっこいいらっしゃるという嬉しい事実もあるのです。

ちなみに、FXに関しては、「顧客資産の区分管理を全額信託に」という法改正。賛成である。が、市場リスクが現行では自己資本規制比率の計算上反映されない「向かい呑み」行為も同時に規制しないと、今まで以上にカバー先にヘッジも預託もしないほうが金繰り上楽だという誘因が働き、かえって顧客保護に悖る。この点をしっかり主張させていただきました。悪徳な比較サイトやアフィリエートによって異常なスプレッド競争やレバレッジ競争が巻き起こされた我が国のFX業界ですが、もうそろそろパーティはお開きでしょう。これからは真の意味での財務と技術が勝負の世界です。
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2008年10月24日金曜日

規制緩和論者の鬼の首

●グリーンスパン氏、米国議会で質問攻めに(10/23WSJ、FT)
「規制緩和の前提に一部誤りがあった」とグリーンスパン氏は認める。が、「世紀に一度の信用収縮の蔓延(a "once-in-a-century credit tsunami)」の責任がグリーンスパン個人にあるという意見は認めない。早くも2005年の段階でリスクの過小評価について警告していた、と。

昨夜、火あぶりにされたグリーンスパン氏の発言で印象に残ったのは、

「『銀行経営者は銀行株主の利益を守るために最善を尽くすだろう。銀行経営者とその株主の利己心(利害)は相反する筈がなかろう』、と40年余り信じきっていた。その前提の一部に狂いが生じた。」

「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)だけは規制強化されても良い。が、それ以外のデリバティブ(金融派生商品)は現況のままでちゃんと機能している。」

「逆に『大きくて潰せない』問題を国会議員の皆さんに問いたい。『いくつかの大企業は潰れると市場や経済にただならぬ悪影響を与えるから政府はそういった企業の野垂れ死にを放置しないだろう』という発想は、より規模が小さいが頑張っている競争相手に対して不公平。『うちが潰れちゃ困るでしょう』と市場経済を“人質”に取ろうとする(「大企業とそれ以外の敷居」を持ち出す)大企業には何らかの罰則を設ける必要がある」

尤も、
「未曾有の一時帰休と失業の発生を食い止められるかどうか、定かではない。」とも、

実際、
●ゴールドマン・サックス、人員10%削減。GMとクライスラー、人員削減を追加へ(10/23FT他)

世界中でバラマキ政策が正当化され、モラルハザード大国の日本は敵失により浮上しつつあります。だから円高なのか?しかし、(マイカルとそごうは潰したのに)ダイエーを潰さなかった政府自民に対して、民主党鳩山氏が当時「これで小泉改革は終わった」と発言されたのを記憶しています。規制緩和論者の鬼の首を取って、規制強化を正当化する。景気や雇用を“人質”にとって、既得権益をこっそり守る。このようなことが許されているようでは、我が国もいつまでたっても良くはなりません。
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2008年5月20日火曜日

自動車メーカーの「不倫」

資源国オーストラリア通貨が24年来の高値。オーストラリア・ドルが対米ドルで1984年以来の最高値をつけました。米ドルは対ユーロでも弱く、3週間振りの安値をつける瞬間もありましたが、日本時間朝方に掛けて落ち着くという展開。

一方、株価指数は、英米ともに、今年1月以来の高値更新。リスク性向復活と見られる一方、トリシェECB総裁やウォーレン・バッフェット氏は「金融危機は解消からは程遠い」との指摘も。

雨風強まるなか朝の出勤、ご苦労様でした。わたしはズボンの皺がいっぺんに無くなってしまいました。

●米国、海外原油「依存症」解消へ(5/19FT)
原油の高騰、自動車の燃費改善、バイオエタノール活用で、1977年以来初めて原油消費量に占める輸入割合が減少に転じたとの報告。現在60%の輸入原油依存度は2015年には50%を切るとの見通し。

●マイクロソフトの対ヤフー提案、検索エンジンに集中?(5/19FT)
465億㌦での「まるごと」買収は捨てたが、検索エンジン業務だけでも210億㌦の価値があるとのアナリストの見方も。

同様に秋波を送るグーグルのシュミット会長はマイクロソフトの動きに反発、「インターネット産業にとってこのような企業間の『競馬』は不健全」と発言

●仏プジョーと三菱自動車、ロシアで合弁(5/19FT)
比率は7:3の予定。三菱自動車は既にプジョー407とシトロエンCを日本で作っている(って知ってましたぁ?)。

むかし、三菱自動車の財務の方が、「自動車メーカーは『不倫の歴史』だ」とおっしゃっていたのが、プジョー(の提携相手=トヨタ、フィアット、BMW,フォード)を見るだけでよくわかります。
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